小池一美の農と食をつなぐ熱血報告Vol.3 青葉区梅が丘・徳江有機栽培野菜直売所
藤が丘駅から坂を南下し突き当たりを右、「有機野菜」ののぼりを目印に住宅街を入っていくと、何やら楽しそうな雰囲気の有機野菜の直売所があります。ご自宅の軒先で週に3回直売されている野菜。その奥ではいつも楽しそうに会話をしている人たちの姿が……。そんなハートフルスペース、興味津々で青葉区梅が丘・徳江有機栽培野菜直売所を取材してきました。

日差しが照りつけものすごく暑い夏の昼下がり、取材に伺ったこの日も例外なく3人のお客様が直売所の奥で会話に花を咲かせていました。お客様のお相手をしているのは徳江有機栽培野菜直売所の徳江イセ子さん。有機野菜や有機米を栽培している双子(!)の龍二さんと清二さんのお母さまです。

徳江さんでは長男の龍二さんが有機野菜、次男の清二さんが有機米を担当し、イセ子さんが直売所を切り盛りしています。

 

徳江さんファミリー。「畑担当」の龍二さん(左)と「田んぼ担当」の清二さん。ピースサインをしているのは母イセ子さん(!)とその奥にお父さんの二郎さん

 

 

ともとサラリーマンだった龍二さんが専業の有機農家になったのは10年前。以前から手がけていた家庭菜園でも有機栽培をしていたそうです。

 

「健康に育った野菜はおいしいし、農薬で体をこわしてやめてしまう農家さんもいるから、やっぱり有機栽培がよいと思う」(龍二さん)

 

そんな兄の背中を見ていた清二さんの心にも火がつき、龍二さんの畑の手伝いをしながら、5年前から米の栽培を始めました。有機栽培であるのはもちろんのこと、除草剤も一切使っていません。いまでは田んぼも広がり、6枚の田んぼで4種類のお米を育てています。毎年予約販売でほとんど売り切れてしまうそうで、直売所で、1kg単位で売っているお米を買えた人はラッキー! 精米もその都度というから、とても親切です。

 

清二さんの手で除草された美しい田んぼ

 

取材中、イセ子さんがキンキンに冷やしたミニトマトのアイコをお茶受けに出してくださいました。「おいしいっ!」と大感激のキタハラ編集長。

 

さらにお父さんの二郎さんがフレッシュトマトジュースをつくってきてくれました。いままさに搾りたて! なんて贅沢なジュースでしょう!

 

最高においしい!トマトジュースを小池も編集長も遠慮なくおかわりしてしまいました

 

今年、徳江さんの農園では、トマトが豊作だそうです。

 

でも、それには訳がありました。

 

「昨年獲れなかったから、今年はたくさん獲れるようにがんばりました」と言う龍二さんの力強い言葉通り、その思いは大きく実りました。

 

野菜は気象状況などで毎年同じように栽培、収穫することが難しいもの。特に農薬や化学肥料に頼らない有機栽培ならなおさらのことです。だからこそ「これまでの経験を活かして毎年毎年、前年よりも良い野菜をつくりたい」というのが、お二人の目標です。

 

そのために最も重要なのが“苗作り”なのだと、徳江兄弟は声をそろえて話してくれました。

 

トマトも時期を変え植えて夏の間収穫する。8月下旬までが食べごろ

 

徳江さん兄弟は、苗や種を大手の種苗会社から買うことはありません。固定種を販売しているネットワークから取り寄せるか、自分たちで育てた作物から種とりをし、苗をつくり、野菜を育てているので、実に手間をかけた野菜づくりをしています。

 

細やかでていねいな野菜づくりは畑や田んぼにも反映されるのだと、案内いただいてしみじみと感じました。思わず大きく手を伸ばして深呼吸してしまうくらい気持ちの良い空気。徳江兄弟の畑と田んぼはとにかく、美しい。

 

農薬や除草剤を使わない代わりに、ネットで虫をよけたり、コンパニオンプランツといって害虫を忌避する花などを野菜の近くに植えたり、常に勉強と試行錯誤を繰り返しながら、畑や田んぼの美しい生態系を保っています。

 

固定種(日本で古くから栽培されており、種をとってつないできた作物)の栽培にも力を入れています。こちらは固定種の長ナス、ジャパニーズピクリング

 

昨年は東日本大震災により発生した福島第一原発事故がありました。ここ青葉区でも、野菜の放射能汚染に不安を感じているお客様も多かったと言います。

 

やれるだけのことはやってお客様に安心してもらいたい、との思いで、多額の費用を投じて野菜や土壌の放射能検査をし、幸い影響は受けなかったそうです。

 

お客様に安心して野菜を食べてもらうために掲示されている放射能検査の説明書き

 

「徳江さんちの野菜のおかげでいつも元気でいられるのよ!」というおばさん、「お兄ちゃんたちがんばってね!」と声をかけてくれる地元のおじさん、田んぼに興味を持ち田植え体験しにきた地元の小学生……。この街には、徳江さんの野菜やお米のファンや応援団がたくさんいます。

 

「これまでたくさんのお客様が応援してくれました。お中元やお歳暮用にと注文をいただけるのは、野菜の価値を認めてもらえていると思えて、とてもうれしいです。感謝はお金では買えません。そのためにも有機農業を長く続けたいです」とイセ子さん。

 

こうした思いがあるからこそ、徳江さんの直売所にはいつも多くの人が立ち寄り、イセ子さんと会話を交わしたくなるのでしょう。

 

おいしい野菜にプラス、イセ子さんから元気がもらえる♪ 素敵な直売所に皆さんもぜひお越しください。

 

hitomi’s point

直売所で購入した黄色い丸ズッキーニ。「牛乳・バナナと一緒にジュースにするとおいしいよ!」のアドバイス通り、自宅で試してみました。牛乳とバナナの甘味がさっぱりとして、シャキシャキした清涼感のある食感もプラスされた、夏にぴったりのジュースでした! 徳江さんの直売所では、おいしい野菜の食べ方も教えてもらえますよ。何と言ってもイセ子さんは、自慢の息子が育てる野菜の世界一のファンで、最高に美味しい野菜を最高に美味しく食べるためのノウハウ、すべて教えてくれます!

Information

徳江有機栽培野菜直売所

OPEN: 毎週月・水・土(11時?17時)*8/13、15お休み

住所:青葉区梅が丘7-11

TEL:045-532-4128

小池 一美
この記事を書いた人
小池一美ライター
横浜市青葉区出身。森ノオトのリポーター、走る!ロコキッチン「コマデリ」、焼き菓子販売「トミーヤミー」の3本柱で地元と関わりながら暮らしている。AGRUの小川穣さんとのユニット「labo2(ラボラボ)」では、食の素材と地域を楽しむ活動を展開中。
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