愛着のわく家具と暮らしの店「Fremont」(フリーモント)
【森ノオトリポーター養成講座修了レポート(2) おおかわらあさこ】木々や植物、お散歩が大好きなわたしにとって、大きな川や畑、豊かな里山が残る町田市野津田町は大切な場所です。この里山を背景に小鳥がさえずるのどかな風景の一角に、アンティークブルーの屋根をのせた古い平屋が佇んでいます。家具工房と器や雑貨を扱うお店「Fremont」をご紹介します。

「ここは何だろう……と訪ねてくる方も多いんです」と、「Fremont」のオーナーで家具職人でもある、柳弘之さんと麻美子さんご夫妻。

 

グリーンの窓枠に赤い実のリース、木の看板がお出迎え。2つ並んだメーターまでもが素敵に思える

 

町田市のお隣、相模原市古淵で育った弘之さん。小さい頃から絵やものづくりが好きで、服飾の専門学校を出ましたが、「流行りや華やかな世界は自分には合わない」と、家具づくりの職業訓練校に。その後、3カ所の木工所で経験を積みます。

麻美子さんは浅間山に抱かれた城下町、長野県小諸市出身。相模原市の短大で保育を学び、長野で3年間保育士として働いてきました。自然の中でたくさん身体を動かしたり、山に粘土を取りに行ったりと、理想の保育環境で働いていましたが、雑貨の仕事がしたいと転職。ところがいつの日か、季節ごとに大量にものを仕入れ、売り、セールをするという販売形態に疑問を持ちはじめます。

そんな中、家具職人として独立を夢見る弘之さんと出会い意気投合。その後、一つひとつ大切につくられたものを扱うお店で経験を積み、結婚をし、2010年7月、町田市中町で器・生活雑貨のお店「Fremont」を開きました。

 

柔らかな光に包まれたオーダー家具の見本や器・雑貨が並ぶ店内。扉の奥が家具工房

 

そして2014年、お2人がいつかは……と思っていたことが重なります。弘之さんの独立の決心と麻美子さんの妊娠、そしてある物件と出会いでした。そこは野津田町で25年続いた印刷所で、お2人が好む古い木造の平屋。湘南や津久井湖付近など、広い範囲で家具工房も併設できる物件を探していた弘之さんでしたが、この物件に一目惚れし、その日のうちに契約を決めたそうです。また、元印刷所ということで、広さや家具製作の音の面も申し分なく、約30坪の工房と10坪ほどのお店をお2人で少しずつリフォーム。2014年10月「Fremont」は家具工房を併設し、古いものと新しいものを融合した雰囲気のあるお店に生まれ変わりました。

 

外装は元印刷所のまま。訪れるとわかるが、周辺はおだやかな空気が流れる。「Fremont」とは、お2人で旅した米国・サンフランシスコとバークレーの地図を広げ目にとまった地名で、あえて意味を求めずに店名にした

 

お店には弘之さんが製作するブランド「Made in Fremont」のオーダー家具・器・小物と麻美子さんが自ら使ってみて良かったと思う、手のぬくもりを感じる器やガラス、シャツ、身の回りの道具などがセンスよく並んでいます。

「オリジナリティを重視したり、ジャンル分けするのではなく、無垢本来の存在感を大切にし、スタンダードであり、できるだけシンプルに。空気感、佇まいを意識し、大きいものから小さいものまで、こういうのがあったら良いな、と思われるもの、何年も使っていただけるものをつくりたい」と話す弘之さん。

家具の木材は経年変化を楽しめるチェリー、雰囲気のあるウォールナット、定番のナラを、ドイツ製の自然塗料で仕上げています。独立してからクルミやサクラ、メープル材をクルミオイルで仕上げた器と、家具作りの端材でランプシェードや花器などの小物をつくり始めました。

 

小さな古い本棚に並んでいるのは、本好きの弘之さんの選書や写真集。この本棚を目当てに町田駅から歩いていらっしゃるお客さまもいる

 

今後、木を扱っているお店だからこそ、森林保全や整備に関わったり、端材やおがくずの利用法なども考えていきたいという麻美子さんに、弘之さん作品でお気に入りをたずねると、「やはり素材を無駄なくという思いから端材で作る一輪挿しや花器が好きかな」と、照れた表情の弘之さんを見つめながら答えてくれました。

「Made in Fremont」の家具はもちろんのこと、器や小物もとても魅力的です。シンプルなことに加え、わたしは弘之さんの木を扱うセンスや飾らない空気感に惹かれます

 

器は旋盤を使ってつくる「ひきもの」と、工具(のみ・かんな)を使ってつくる「くりもの」の2種類。これはウォールナットのしのぎ皿。弘之さんの木工ブランド「Made in Fremont」の名刺のデザインもお店の雰囲気にぴったり

 

客層は30代から70代くらいと幅広く、作家さん約30人とお付き合い。「地元の作家さんとは顔を合わす機会が多く、個人的に仲良くなっちゃうのでわがままも聞いてもらっています」と笑顔の麻美子さん。移転前の中町も野津田町のお店も弘之さんのご実家に近いことから、お2人からは「地元」という言葉を多く耳にしました。

この地を大切に想うことで周りのお客さまや作家さんと仲良くおつき合いでき、信頼関係を築いていく……そんな麻美子さんのお人柄に、移転しても、中町時代のお客さまは変わらず足を運んでくださるとのことです。

 

地元の作家さん、sonu(新沼千尋さん)の作品。ムラサキツメクサやタチツボスミレなど、可憐な草花をモチーフにし、染めと刺繍で仕立てたブローチ。台紙の裏には学名と植物の説明も

 

ご縁があってやって来た野津田町。元印刷所の方はこの場を受け継いでくれることをとても喜んでくださり、周辺の方々とは顔を合わせて親しく付き合い、歓迎し見守ってもらっているもよう。今までの出会いも大切に、地元の作家さんとは変わらず仲良くしていきたい、引き続きワークショップや展示会などをおこない、たくさんの方々がつながる楽しい場所にしたいそうです。

 

旋盤で器をつくる弘之さん。この時にでる「おがくず」は、燃料や芋類の保存など、様々な利用法がある

 

「お互いに正反対の性格」というお2人。

ははは、と優しく穏やかに笑う弘之さんはポジティブで行動派。そして職人気質です。一方で、想いを丁寧に語り、明るい麻美子さんは慎重派だそう。

だけれども、好きな音楽やものの感覚は同じ。レジ横のシンクに仲良く並ぶお揃いの曲げわっぱがそれを物語っています。

 

ぬくもりを感じる「ベビー用器セット」。こちらは小鉢2枚と平皿1枚のセット。小鉢と平皿のみの2枚セットもある。お子さまの成長と共に、素材違いの器の経年変化も楽しめそう

 

そんなお2人は、まもなく待望の赤ちゃんを迎えます。偶然にも最近ベビー用器セットのオーダーを受けたとのこと。器はすべて違う木材でつくられていて、大人になっても小皿として使えるのもよいですね。「今後はベビー用品や小物を増やし、ベビー用の木の器セットは定番にしたい」と大きなお腹をさすりながら幸せそうに話す麻美子さん。お店は今後もゆっくり木・金・土の週3ペースでオープンします(日曜日以外は弘之さんが工房にいるのでお声がけできるそうです)。

 

オーナーの柳弘之さんと麻美子さんご夫婦。お客さまから評判が良いという、端材から生まれた一輪挿しと共に……

 

夏に行ったら、お店で赤ちゃんがすやすや眠っているかな……。その頃には、いくつかベビー用の小物が並んでいるかもしれません。

豊かな自然に囲まれた野津田をお散歩しながら、暮らしの楽しさを見つけに、

ぜひ、訪れてみてくださいね。

 

「産めるかなぁ、大丈夫かなぁ……」と大きなお腹をなでる麻美子さんに、優しい笑顔でうなずく弘之さんは出産に立ち会う予定。わたしも赤ちゃんに会える日が楽しみ

 

今後の展示会

10月 吉永哲子(のりこ)さん器展

器展以降、帆布バック受注会、お正月飾り販売等を予定しているそうです。

Information

オーダー家具・器と雑貨のお店

Fremont(フリーモント)

〒195-0063

東京都町田市野津田町803

TEL 042-860-2481/FAX 042-860-2486

Open/木・金・土(12:00-18:00)

駐車場2台あり

HP: http://fremontwork.net/

おおかわら あさこ
この記事を書いた人
おおかわらあさこライター
自然のもの、手仕事が放つ光を切り取り、写真におさめるフォトグラファー。ピュアでやわらかな感性から生まれる作品に、とびきり繊細でやさしい言葉をふわりと添えるフォトレポートが多くのファンを生んでいる。植物が好きで、フレッシュな姿もドライな様子も載せた植物図鑑をつくるのが夢。
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