身近な自然を見る目が変わった!「あおば川ガール森ガールになろう!」参加レポ(後編)
谷戸の3大要素、雑木林、田んぼ、小川を確認しながら歩く参加者たち。最近は特に田んぼがどんどん減ってしまっているというが、この日の谷戸では、黄金色に実った稲をたくさん見ることができた
前後編にわたりお届けする「あおば川ガール森ガールになろう!」のレポート。後編では、「恩田の谷戸で横浜の原風景を感じてみよう」「鶴見川を歩こう&森への思いを聞こう」「青葉の自然と私」の3つの講座についてレポートします。

(text&photo:ながたに睦子)

 

2015年10月18日(日)に開かれた「あおば川ガール森ガールになろう!」第3回目の講座。この日は「恩田の谷戸で横浜の原風景を感じてみよう」がテーマです。講師は、「恩田の谷戸ファンクラブ」の藤田廣子さん。そして日頃から活動をともにしているメンバーも集まってくださいました。

「恩田の谷戸ファンクラブ」のメンバーの方々。一番左が今回の講師の藤田廣子さん

「恩田の谷戸ファンクラブ」のメンバーの方々。一番左が今回の講師の藤田廣子さん

「恩田の谷戸ファンクラブ」は1991年8月に発足しました。恩田の谷戸の素晴らしい自然と文化を次代の子どもたちに引き継ぎたいとの思いで集まった人たちが活動を続けており、メンバーには昆虫好き、農業好き、鳥好きなど、色々な人がいるそうです。

 

ところで「谷戸」の三要素とは、「雑木林」「田んぼ」「小川」を指しますが、このような谷戸が、会の発足当時は横浜にもたくさん見られました。今では三要素を満たす谷戸はわずか10ほどに減っているのだそう。

横浜の緑の量の移り変わりについて話す藤田さん。左が1991年のもの、右が1960年のもの。わずか30年でこんなに減っていることに驚く

横浜の緑の量の移り変わりについて話す藤田さん。左が1991年のもの、右が1960年のもの。わずか30年でこんなに減っていることに驚く

さて、谷戸や横浜の自然についての説明を聞いた後は、藤田さんの案内で、恩田の谷戸を散策しました。藤田さんからは、谷戸というのは、人が関わって出来た里山で、その土地には地主さんがいて、農家さんが手入れをしてくれているおかげで維持できているというお話がありました。藤田さんたちは「農家の応援団」という気持ちで活動しているそうです。

谷戸の3大要素、雑木林、田んぼ、小川を確認しながら歩く参加者たち。最近は特に田んぼがどんどん減ってしまっているというが、この日の谷戸では、黄金色に実った稲をたくさん見ることができた

谷戸の3大要素、雑木林、田んぼ、小川を確認しながら歩く参加者たち。最近は特に田んぼがどんどん減ってしまっているというが、この日の谷戸では、黄金色に実った稲をたくさん見ることができた

恩田の谷戸の雑木林の中を上って行くと、展望の開けた尾根道に出ました。この道の真ん中あたりを横浜市と町田市の境界線が走っています。みなとみらいが望める素晴らしい見晴らしの場所もあり、青空の下、少し汗をかきながらの散策は、日頃の疲れを忘れてリフレッシュできました。

「成瀬の自然を守る会」がお世話をしている山吹緑地。ここから町田駅方面を見渡す景観は、「第一回町田景観大賞」を受賞したとのこと。町田市民でありながら、こんな素敵な緑地の存在を初めて知った

「成瀬の自然を守る会」がお世話をしている山吹緑地。ここから町田駅方面を見渡す景観は、「第一回町田景観大賞」を受賞したとのこと。町田市民でありながら、こんな素敵な緑地の存在を初めて知った

 

毎回楽しみなお弁当の時間。この日のランチは藤が丘にあるお弁当屋さん「ハイナカフェ」のもの。森の中で美味しい空気を吸いながらのランチは格別!

毎回楽しみなお弁当の時間。この日のランチは藤が丘にあるお弁当屋さん「ハイナカフェ」のもの。森の中で美味しい空気を吸いながらのランチは格別!

(※今回紹介した恩田の谷戸は民有地であり、地主さんたちとの信頼関係のもとに特別に立ち入りを許可していただいているとのこと。興味のある方は、まずは会に問い合わせてみてください)

 

2015年11月8日(日)に開かれた4回目の講座のテーマは「鶴見川沿いを歩こう&森への思いを聞こう」。講師は、森ノオトではお馴染み、「ミナトファニチャー」の湊哲一さんです。

 

この日参加者は市が尾駅に集合して、寺家ふるさと村にある工務店「工作室グリーン」のショールームまで歩いて行くことになっていました。しかしあいにく朝から小雨がぱらつき、妊婦だった私は散策を断念して、「工作室グリーン」でみなさんと合流しました。雨にも関わらずほとんど欠席はなしで、みな傘をさしながら鶴見川沿いを歩いてきたとのこと。そして、「雨の日の散策もまた気分が違い、しっとりとして良かった!」などの声が聞かれました。

 

工作室グリーンでは、湊さんより、横浜の森や水源についての話がありました。湊さんは、寺家ふるさと村で家具を作りながら、その木が育つ森や水源にも興味を持つようになったそうです。

講師の湊哲一さん。タブレットを使ってご自身で作っている家具の紹介や、間伐材の活用方法などをレクチャーしてくれた

講師の湊哲一さん。タブレットを使ってご自身で作っている家具の紹介や、間伐材の活用方法などをレクチャーしてくれた

湊さんからは、横浜の水源は道志川、相模湖、津久井湖、宮ケ瀬湖、丹沢湖から来ていること、また、水源を保つためには、森の適切な間伐が必要不可欠であることのお話も伺いました。間伐をしないと草木が育たず、根も張らなくなってしまうので、雨が降っても土に水を蓄えることができず、どんどん流れていってしまうそうです。道志村に頻繁に通うようになった湊さんは、道志の森の間伐ででた材木を使いフォトフレームやカトラリーなどに加工して販売しており、この活動が森林を保全することにつながっていると語ってくれました。

 

またこの日会場になった工作室グリーン代表の石井俊博さんは、湊さんたちが家具を作る時に出た建築端材で木質ペレットを作り、ショールームのペレットストーブで使っているそうです。空気を汚さず、木材を無駄にせずに使うことで、環境にも優しいとのことでした。

工作室グリーン代表の石井俊博さん。こちらのショールームでは名古屋コーチン22羽、ポニーを飼っているというのに、匂いがほとんどしない。米ぬかを混ぜた餌など、食べさせるものにとてもこだわっていることが理由

工作室グリーン代表の石井俊博さん。こちらのショールームでは名古屋コーチン22羽、ポニーを飼っているというのに、匂いがほとんどしない。米ぬかを混ぜた餌など、食べさせるものにとてもこだわっていることが理由

日々家具を使いながら、その家具に使われている木や森のことまでは考えたことがなかった私ですが、湊さんのお話を聞いて、森もやはり人が手をいれ環境が保たれていることや、森が荒れると水の蓄えが減るということを知りとても勉強になりました。そして日頃から少しでも皆が自然について考える機会を持つことが、自然を守っていくための第一歩なのではと感じました。

この日のランチは藤が丘のお惣菜屋さん「Revive Recipe TENZO」さんのもの。なんとお弁当を届けてくれたTENZOの植木真さんにとって、この講座の企画をした加茂千津子さんは中学時代の数学の先生!

この日のランチは藤が丘のお惣菜屋さん「Revive Recipe TENZO」さんのもの。なんとお弁当を届けてくれたTENZOの植木真さんにとって、この講座の企画をした加茂千津子さんは中学時代の数学の先生!

2015年11月29日(日)に開かれた最終回のテーマは「青葉の自然と私」。この日までに参加者には「皆さんがお薦めする/関わっている/気になる身近な青葉を、考えて/持ってきてください」という宿題が出されました。

いままでの講座を撮影したスライドショーに、「わあ! こんな場面が撮られていたのね」「そうそう、こんな場所通ったよね」などと声が上がる。全講座の様子を振り返るのは楽しかった

いままでの講座を撮影したスライドショーに、「わあ! こんな場面が撮られていたのね」「そうそう、こんな場所通ったよね」などと声が上がる。全講座の様子を振り返るのは楽しかった

講座のスライドショーの後は、参加者がそれぞれのテーブルで話したことを、また次のテーブルに持っていって話すというワールドカフェ形式で、今回の講座で得たさまざまな思いについて語り合いました。その中では、「15年くらい青葉区に住んでいたけれど、自然については何も知らなかった」「失ったものの大きさと残っているものの貴重さを知った」「農業に関わってみたくなった」などの声が聞かれました。

この講座で得たものを真剣に話し合う参加者たち。自分の意見を伝えるときはみな熱が入る。普段青葉区に暮らしながら、これほど青葉区についてじっくり考えた機会はなかったとの声も

この講座で得たものを真剣に話し合う参加者たち。自分の意見を伝えるときはみな熱が入る。普段青葉区に暮らしながら、これほど青葉区についてじっくり考えた機会はなかったとの声も

最後に、全員で「川ガール森ガール宣言!」として、これからの自分の思いを伝え合いました。その一部を紹介します。

・少しでも地域密着人間になろう!

・今までは、見えてこなかった事・物に目を向けてみよう!

・里山に入ったら 木の精 水の精の声に耳を澄ませます!

・自分の感覚を解放して、もっと五感で自然を感じる!

・地元の農家・お店を応援し、あおばの緑を守る責任は自分にもあることを忘れないで、今度も自然保護活動にかかわっていきたい

・四季折々に川を歩き、森や谷戸を訪ね、もっともっと自然と仲良しになる!

 

ここでは紹介しきれないほどの、たくさんの宣言が聞かれ、私も参加者の1人として、このように皆と自然について共有できる思いを持てたことは、とても良い機会となりました。また、普段何気なく見ている草、花、樹木、水、土、などについても、もっと愛着をもって見つめることができるような気がします。

 

私は妊娠中・後期の大きなお腹での参加となりましたが、一緒に参加した方からは、「妊婦さんなのにすごい! 頑張って!」「きっと自然が大好きなお子さんが産まれるね!」などと声をかけていただき、それもとっても良い思い出になりました(なんと、講座最終回の10日後に無事第3子を出産しました! 講座でのウオーキングのおかげ?)。

 

そして、この度「あおば川ガール森ガールになろう!2016 <第2期>」の開催が決定しました。なんと、第一期の受講生から5人の方が運営委員として加わることとなったそうです! また、「あおばく川を楽しむ会」「恩田の谷戸ファンクラブ」への入会者が生まれたとのことで、この講座をきっかけに、青葉区の自然に親しもうと思う人たちが確実に増えているのだと、嬉しくなりました。

 

このレポートを読んで興味を持った方、春の温かい陽射しとともに、青葉区の自然にふれてみませんか?

Information

恩田の谷戸ファンクラブ

http://www.oyfc.sakura.ne.jp/

あおばく・川を楽しむ会

http://kawa-tanosimukai.sunnyday.jp/

鶴見川流域ネットワーキング(TRネット)

https://www.facebook.com/tsurumi.river.basin.networking/

ミナトファニチャー

https://www.facebook.com/MINATOFURNITURE/

工作室グリーン

https://www.facebook.com/kousakushitsu.green

「あおば川ガール森ガールになろう!」2016<第2期>(3/11より申し込み開始)

http://spiceupaoba.net/girl/

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