日本のハーブ、よもぎ! 春の味覚で草もちをつくろう
草木の蕾がふくらみ、若葉が顔を出し始める春先、ふと足元を見ると、そこにはふわふわとした綿毛をまとった柔らかな若芽を見かけることが多くなります。昔から、道端や土手などでよく見かけた「よもぎ」です。この、春の息吹を力強く感じるよもぎで「草もち」をつくりました。

3月の中旬、子どもたちと一緒に緑地に出かけました。この日の目的は「つくし」。毎年、この時期になると散歩のついでにつくしを探し、見つけては調理をして食べていました。

 

しかし、この時に発見したのは、辺り一面がまだ枯れ葉色の下草の中から、ひょっこりと顔を出したふわふわの「よもぎ」でした。若芽を摘んで指でこすると、あの“草もち”の香り。子どもの頃、食べられる草として一番身近にあり、母と一緒に摘んで、草もちにした記憶がよみがえります。そうだ、今年は、はじめての草もちづくりに挑戦しよう!

 

綿毛をまとい、青みがかった独特の緑色は、まさに日本の伝統色である「蓬色(よもぎいろ)」。この小さな若芽から、野生味あふれる独特の香りが生まれる

 

「よもぎ」は、キク科のヨモギ属の多年草で、その栄養価も高いことから漢方では万能薬として扱われていました。3月から5月は、草もちの原料となる柔らかな若芽が出る時期であり、よもぎは道端や土手など私たちの暮らしの中で最も身近にある薬草のひとつかもしれません。

 

『日本の七十二候を楽しむ-旧暦のある暮らし-」(白井明大・著、東邦出版)では、二十四節季「穀雨」の旬の野菜としてよもぎが登場します。穀雨とは、たくさんの穀物をうるおす春の雨が降る頃のこと。まさに春のやさしい雨を浴びて、よもぎが顔を出す姿が想像できます。

 

「草もち」をつくるには、もちろん“よもぎ”が必要になります。今ではパウダー状のものが1年中手に入りますが、やはり自分の手で摘んだもので作りたい! そんな強い思いもあり、この1カ月ほどは子どもたちと野山に出かけてはよもぎを摘み、冷凍してストックしてきました。

 

オオイヌノフグリと一緒に仲良く生えるよもぎを発見。この風景を目にすると、春が来たことを実感できる

 

よもぎ摘みの帰りに、こんな素敵な風景にも出会え、子どもも私もスキップしたいような気持ち

 

30分ほど摘んだこの日の収穫。よもぎはそのままだととてもアクが強いため、摘んだその日に茹でてアク抜きをし、すぐに使わない場合は冷凍保存でストックする

 

茹でて水にさらした状態。眺めていると、吸い込まれるように清らかな緑色

 

さて、1カ月ほどかけてよもぎを集めました。その後、田奈恵みの里が主催する「よもぎだんご作り教室」に参加する機会があり、青葉区田奈町近隣の農家のお母さんたちからよもぎだんごのつくり方を教わりました。今回は、ここでのレシピを参考にしながら自宅で草もちづくりに挑戦しました。

 

■よもぎのアク抜きの方法

(よもぎは、柔らかく香りも強い若い芽を摘む。3月下旬頃がベスト)

(1) ゴミを取り除き、よく洗う。

(2) 鍋にたっぷりの湯を沸かし、その中に重層(よもぎ生葉100gに対して小さじ1程度)を入れて2分ほど茹でる。

(3) ザルにとりよく水ですすいで洗い、水の中に入れたまま15分ほどアク抜きをする。

(4) 水気を搾り、保存する場合はラップに包み冷凍保存する。

■草もちのつくり方

材料(15個ほど)

上新粉 250g

熱湯 約200㏄(粉の状態により調整)

よもぎ(茹でて、アク抜きした状態のもの)約80g

つくり方

(1) ボールに上新粉を入れ、熱湯を少しずつ加えながら木べらでよく混ぜる。粉っぽさがなくなりしっとりしてきたら、耳たぶほどの柔らかさになるまで手でよくこねる。

*粉や季節によっても生地の柔らかさが変わってくるので、熱湯の量はこねながら調節してください。

(2) クッキングシートを敷いた蒸し器に、(1)の生地を手でひと握りほどの大きさにしたものを並べ、強火で20分ほど蒸す。さらに、生地の上によもぎをのせて2分ほど蒸す。

(3)蒸し上がった生地とよもぎをボウルに移し、すりこぎで熱いうちに突いて生地とよもぎを混ぜ合わせる。生地が冷めてきたら、手水をつけながら手でよくこねる。

(4)白っぽいところがなくなり、なめらかな状態になったら、お好みの大きさに丸めて出来上がり。きなこやあんこと一緒にいただきます。

上新粉と茹でたよもぎ。上新粉と白玉粉を使うレシピもある。上新粉だけでつくるものはしっかりとした歯ごたえがあり、白玉粉を混ぜるとなめらかな食感が加わる。ちなみに、上新粉は、うるち米を洗い、乾燥させてから粉にしたもの。白玉粉は、もち米を洗って水に浸したあと、水を加えながら挽き、沈殿したものを乾燥させてつくったもの

 

蒸籠(せいろ)で蒸す前の状態。手でにぎり棒状にしたものを、空気が入るように並べていくとムラなく蒸し上がる。コツは、まさに焚火の火起こし。薪を並べるように!

 

蒸し上がり。真っ白な生地とよもぎの色鮮やかな緑色のコントラストがとても美しい

 

熱いうちに一気にすりこぎで突いていく。ほんのり温かい生地を手でこねる感触が心地いい

 

緑濃い草もちの出来上がり。しっかりとした歯ごたえ、ひと口ほおばると口の中いっぱいに草の香りが広がる。砂糖を混ぜたきなこをたっぷりとかけて……

 

冬が終わり、植物や小さな生きものたちが一斉に息を吹き返して、活動的になりはじめる季節。人もその気配に誘われ、そわそわと外へと出かけ、足元に広がる生命力あふれた自然からの贈り物を少しだけいただき、そして、口にする。1年のうち、その時でしか出会えない味、その過程で感じる季節の移ろいから、四季のある国に生まれたことへの感謝の思いがじんわりと湧いてきます。
端午の節句に食べるお菓子の一つでもある「草もち」、想像よりとても簡単に出来上がりました。今年は、よもぎを探しに、ちょっとそこまで出かけてみてはいかがでしょうか。

よもぎを探していたら、思いがけず“つくし”の大群を発見。こちらも持ち帰り、いただきました! ハカマ(ヒラヒラとしたもの)を取り除き、水でさっと洗い、ごま油と醤油で炒めて出来上がり

 

 

※なお、市民の森や公園での植物採取は禁止されています。畑の脇や土手は私有地であるケースが多いため、地主さんや農家さんの許可を得るようにしましょう。

Information

「田奈恵みの里」

http://www.city.yokohama.lg.jp/kankyo/nousan/megumi/tana/

*田奈恵みの里では、さまざまな教室が催されています。詳しくは上記ホームページをご覧ください。

清水 朋子
この記事を書いた人
清水朋子ライター
食べること、つくること、ワインとチーズ、焼酎を愛する食いしん坊。雑木林のような豊かな庭、愛するアンティークに囲まれた自宅の一角で、集会所+ときどき、喫茶として「Glänta(グレンタ)」を主宰している。小さな家の隅々まで愛おしみ使い尽くす、センスのよい暮らしぶりが注目を集める。
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