リモート座談会・今こそ考えたい私が選ぶ働き方。 後編 — 幸せな働き方って。
新型コロナウイルス(COVID-19、以下コロナ)の感染対策を機に一気に広がった在宅勤務、ひいてはリモートワークをテーマに森ノオトの仲間3人で集まった座談会。前編ではそれぞれの状況や感じていることなどを語り合いました。後編では、これからの働き方について話が盛り上がりました。

 

「前編ーわたしたちの場合。」はこちら

自分で選択をするって大切。

道代: 今後のリモートワークがどうなるといいか考えてみたいんですが。

 

朋子: 前から自分で選択をすることが大事だと思っていて、働き方も「選択できる組織の体制」と「自分で選択できる思考」の両方がないとダメだなって。組織の体制は、今回のコロナで大きく動いていくと思うんですよ。その上でちゃんと自分の選択を意思表示できなくちゃいけないと思うんです。例えば、自分にとってはテレワークの方がアウトプットを出しやすいからとか。自分で考えて、自分で選択するっていうことだけなのかなっていう気がする。

 

道代: 結局、言われたことだけやるのではなくて、そのプロセスも含めて考えていくということが大事ってことですかね。

 

あっこ: そうですよね。誰の言葉か忘れちゃったんですけど「考え方がひとつでは多すぎる(※1:文末参照)」っていうのがあって、色んな方法がある中から選ぶのが良いよねっていうか、選択肢が一つしかないとそれが大きすぎて他が入る余地がないっていう意味だと思うんですけど。それを感じることはありますね。(自粛下で)周りの人は割と器用に暮らしてるなと思ったんですけど、マスクをしてない人を攻撃するみたいなニュースを見ていると、考えが足りないって思うことが多いよね。他に意見を持つってことが怖いんですかね。

私の仕事の息抜きは庭いじり。1日30分までと決めています。昨年は2年がかりで芝生が完成しました

道代: 評価の話に戻っちゃうんですけど、日本って管理職としてのトレーニングを受けずに上司になるから、部下の評価を下しにくいって話を聞いたことがあって。そうすると、減点方式の評価になり、失敗すると減点されて左遷されたりするから、新しい意見を出してチャレンジしていくことも減るという話で。日本人の気質からしても、違う意見を出して叩かれることよりも、周りに合わせるっていう感じなのかなって妙に納得して。あと、部署によって仕事の成果が出やすい部署と出にくい部署ってありますよね。成果が上下する部署は評価が難しいのかな。本当なのかわからないけど(笑)。

 

朋子: いや、そんなことばっかりですよ。

 

あっこ: 朋子さんの場合は、自分ではアウトプットが上がったって思ってるわけじゃないですか。それを他の人が評価してくれてるのか自分では分からないってこと?

 

朋子: はい。

 

道代: それは、リモートではなく対面だと評価は分かりやすい?

 

朋子: いや、変わらないですね。私とかの場合は、細かいアウトプット評価とは関係なくて、平たく言えば、どこかの企業と仕事をしていくら売り上げたかというのが一番明確。最後はそこ。

 

道代: そこにつなげないとなんだね。

 

朋子: でも、今までは会って商談をする、会社に行くっていう働き方しかなかった。けど、オンラインでいける、またはオンラインの方がいいっていうことも、自分の仕事の中にはたくさんあるっていうことがわかって。それを自分でチョイスをしていくのが、私としてはいいって思います。

 

道代: 在宅勤務が進んで、無駄な飲み会が無くなったっていう声も聞こえるけど、私は仕事帰りの飲み会ってのにちょっと憧れたりもして。コミュニケーションに飢えてるのかな(笑)。

 

朋子: コミュニケーションですよね。うちの会社だと今まで(コロナ以前)は、出社してみんなでお昼食べて、夕方帰るか上司と飲みに行くみたいな通り一辺倒のものがあって。だけど、それがさっきの「考え方がひとつでは大きすぎる」じゃないけど、大きすぎちゃうんですよね。いろんな事情で早く帰らないといけないっていうことがあると、いくら他でフォローしていても、その大きすぎるものの中で埋もれてしまう。たくさん選択肢があれば埋もれないだろうなと、その方が面白いだろうし。その上で、今日は飲み会しようとか運動会しようとかっていうのがあって良いと思う。レクリエーションは大事だと思うので。

 

あっこ: うん、それも選択できるといいですよね。今妊娠期間で出られないとか。その自由度が許されてて、あいつは来なかったからダメだみたいにならなかったらいいですよね。

 

道代: そういうのに行かない人を減点するのはちょっとね。やっぱり減点法をやめればいいんじゃないかなあって話聞いてて思った。

 

あっこ: そうだよねえ。

 

朋子: 減点法をやめた時に、どこがベースになるのかなあってちょっと思いました。

 

道代: ごめん。わかんないわ(笑)。

 

あっこ: そこが問われるよね。それって、森ノオトのコミュニティ運営でも難しくって、色々参加したりやってくれる人がいいみたいな風潮になっちゃう時に、いかにそうしないかっていう工夫を結構している。「居るだけでもいいんですよ」っていうのを醸していけるかが重要だなと思っていて。できることがすごいわけじゃないっていうのはあるんですよね。

あと、特に日本だと、女性ばっかりが会社や社会での扱いが低いのってどうなのっていうのがあって、女性が居た方が色々気づくし、居た方がいいっていう場合が多いと思うんですけど。

 

道代: 世界の女性の地位のランキングでもすごい下の方ですよね。(※2)

 

あっこ: なんなんですかね。仕事の方が家庭より上っていう風潮もね。個別に見ればいい企業もあるんですけどね。全体としてそういう空気というのがあって、女の人も自分を下げがちというか。

 

朋子: 私も、思考とか行動は男性として働かないとやりづらかったりすることがあって、今組織で頑張る女性の方なんかも、男性言語で仕事をしているからその地位にいらっしゃるのか?って思うことあります。

 

道代: 実は私も大学卒業後、少しだけ一般企業で働いていたんです。女性だけ制服を渡され、お茶汲みや掃除当番が回ってくるという感じで、仕事の内容もね。女性だと思っていたような仕事はできないんだなと思ってあっさりやめちゃったんですけど。

 

朋子: とはえ、森ノオトもそうですし、地域で面白いことやってたり盛り上げてるのって女性が多いですよね。副業とかも認められる世の中で、地域に自分の視点を広げてみるとか、やってもいいのかもしれない。私自身は新しく作っていける仕事内容なので、既存の部署に関しては、男性が男性としてやっていくのが一番生産性が上がるのであれば、まあそのままでもいいのかなっていう風にちょっと思っている。

 

あっこ: まあね。そうやりたい人たちはそうやってもらって。そこにロマンを感じる人たちもいるんだろうし(笑)。

 

朋子: その時に、そこにぽんと入っちゃった女性、例えばさっきの「考え方がひとつでは大きすぎる」に埋もれちゃって、電通の高橋まつりさん(※3)じゃないけど、ああいう悲しいことになってはいけないから、だから、選べたりとか自分で意識をして幅を広げられるように自分で考えなくちゃいけないんだろうなっていうのは常々思う。

(※3:2015年、大手広告会社電通社員の高橋まつりさん(当時24歳、女性)が、長時間労働などを苦に自ら命を絶った。電通は労働基準法違反の罪で有罪となったが、その後も労働基準監督署から是正勧告を受けるなどしている)

 

※2:世界経済フォーラム(WEF)が調査する、各国の男女平等の度合いを示す「ジェンダー・ギャップ指数」は、経済、教育、健康、政治の4分野14項目から算出され、Oが完全不平等、1が完全平等を示します。2020年、日本は対象の153カ国中121位で過去最低となっています(文末に補足あり)
(引用:内閣府男女共同参画局HP
http://www.gender.go.jp/public/kyodosankaku/2019/202003/202003_07.html
The Global Gender Gap Report 2020 http://reports.weforum.org/global-gender-gap-report-2020/

仕事と暮らし

道代: そういえば、リモートで無駄な会議って減ったんですか?

 

朋子: 企業の会議って「成果を出すため」の会議とは別に「同じ釜の飯を食う」的な会議が多いから、ダラダラしちゃうんだと思うんですよね。オンラインでそういう会議を長時間はきついですしね。

 

道代: 確かに、長時間のオンライン会議ってちょっと辛いかも。人数もあるよね。

 

あっこ: 森ノオト事務局の会議をZOOMでやってるんですけど、いいなって思っていて。移動時間もなくなるし、6人くらいだとそれぞれの顔が見えて、逆に親密になんでも話せるなって。朋子さんがやりやすくなったって言うように、リモートワークが進むって、やっぱり女性にとってはメリットが多いんじゃないかな。

 

朋子: 子どもが3人いる友だちが、平日のワンオペがなくなってすごくラクって言ってました。

 

あっこ: なるほど。だんなさんが家にいるからってこと?

 

朋子: そうそうそう。

 

あっこ: 今のリモートワークでちょっといいなあと思ったのが、男の人がちょっと女の人の気持ちが分かるとか、家にいるって楽なだけじゃないぞってことが分かるとか、そういう効果はあったんじゃないかって思っていて。街に昼間男の人がいるって、もっと普通になった方がいいじゃんて思うんですよね。

 

道代: 男性が育休を取るのは厳しくても、在宅勤務だったらね。通勤時間分だけでも家事や育児できますよね。

あっこ: あとは家の構造とかが問題になってきますね。

 

朋子: 私引っ越しますもん。今週。

 

あっこ: 今週?

 

道代: お子さんも2人になるし?

 

朋子: それもあるし、今は仕切りだけのワンルームなんで、万が一コロナになった時のためにっていうのも大きいかな。在宅勤務だとお家の構造とかの問題が出てきますよね。

 

あっこ: だって家ではたらくように出来てないもんね。

 

朋子: そうそう。

 

あっこ: 逆にコロナ離婚とかも言われてきてて。仕事してるのにうるさいって言われてとかね。

 

道代: コロナとは関係ないけど、子どもができてからシェアオフィス借りた人が何人かいますよ。私も人がいると気分が変わったり、思考や人脈も広がるのかなって、シェアオフィスいいなあって思う時があって。

 

あっこ: それはありますね。基本家で何でもやりますけど、カフェに行きたいとか。雑踏の中でやりたい時とか、ああいうところの方が集中できたりすることもあって。そうだよね。この期間、カフェとかに全然行けないっていうのはちょっとね。

 

朋子: あー、それ辛い。

 

あっこ: 私の場合、森ノオトのオフィスがシェアオフィス的に使えちゃうんで。近場での二拠点って求められているのかな。

森ノオトの理事の人が、家で小学生の娘との時間が耐えられなくなって、森ノオトのシェアオフィススペースを使うことがあったんです。それで、1日だけでもすごいラクになったって言ってて。ちょっと離れる時間が必要だったみたい。

 

朋子: 分かる。

 

あっこ: 日本は家狭いから、一緒にずっといて煮詰まる問題はありそうですね。

お母さんが家にいる時間が長いと子どもは変わります?

 

朋子: そこまで大きくは変わらないかな。

 

あっこ: 逗子だと海もあるし、散歩する分には自然も多くていいよね。良さそうですよね。

 

朋子: そうなんですよ。密にならないで外に行けるので、良いですよね。

 

逗子市に住む朋子さんは、2歳の息子さんとよく海へお散歩に出かけるそうです。5月の晴れた青空のもと、ソーシャルディスタンスもバッチリ!

あっこ: 在宅勤務だとローカルのつながりって結構重要になるのかな。それがあるのとないのとでは、全然充実具合が違うのかなってね。

 

朋子: うちも地域のコミュニティに幾つか所属していて。夫はそのコミュニティの人たちと朝5時半とかから海で泳いで、今はできないけど泳いだ後ご飯食べて帰ってきたり。彼はそれがあるだけで、気持ちの持ち方が違うというか。

 

あっこ: それはリモート前から?

 

朋子: はい。ローカルな環境に救われるのは大きいですね。今の環境だからコロナにも耐えられているのかもしれない。

 

あっこ: そもそも逗子が好きで住んでるんですか?

 

朋子: 元々、東京に住んでいる必要性はないと思っていて、鎌倉が出身なので、その近郊で探して。夫も海が好きだし。 規模感が少し小さいのもおしゃれ過ぎないのもちょうどいいみたいな。テレワークになってくると、どこに自分の土台を置くかって結構大きいですよね。

 

道代: どこでもできるよね。週一出社だったら日本中どこでも好きなところに住めるかもしれない。

 

あっこ: そうすると、住む場所の方が重要っていう風潮になってくるかもね。

 

朋子: 近くの人と話しているのは、逗子の方で暮らす人がまた増えるかもねって。

 

あっこ: 私も移住考えた。もっと田舎でもいいなあって。

 

道代: 私は青葉区がちょうどいいかなあ。

 

朋子: ちょうどいいって大事よね。

 

あっこ: 私はお二人と全然違うタイプじゃないですか。個人的にはお金を使わずに、贈与とか物々交換でいける世の中がいいって思ってるんだけど、リモートが進めば単純に交通費はかからないし、家も都内じゃなくていいなら家賃も下がるだろうし、生活にかかっていた余分なコストがなくなるなって。それをベースにして暮らせるような仕組みになっていって、働きたい人は働けばいいし。みんながみんなそうしなくて良いじゃんって思っていて。

 

道代: そうですよね。働き方は生き方でもあるから、朋子さんも言うように「自分で選択できる、する」ってことは本当に重要。それを叶えるためにも、いい形でリモートワークが続いていってほしいですね。今日はありがとうございました。

 

 

終わりに

この日の座談会では、ワークスペース確保の必要性や肌感覚の共有などのコミュニケーションをどう補うかという課題が上がりつつも、多様なライフスタイルを可能にする在宅勤務を含めたリモートワークのよさ、特に子育て中の女性にとって多くの利点があることも分かりました。

森ノオトという小さなコミュニティに集う仲間でさえ、働き方や生き方への思いは三者三様。在宅勤務の広がりとともに、多様な考えや生き方が認められれば、ワークライフバランスが実現しQOL(生活の質)も上がり、みんなが幸せに暮らせる世の中に近づくのではないでしょうか。
私自身もどう働き、どう生きたいのかをもう一度考えてみようと思います。あなたは何を選択しますか?

 

※1:「考え方がひとつでは多すぎる」とは、英文学者で評論家、エッセイストの外山滋比古さんが著書『思考の整理学』(ちくま文庫)に記した言葉。アメリカの女流作家、ウィラ・キャザーの「ひとりでは多すぎる。ひとりでは、すべてを奪ってしまう」という言葉は恋愛のみならず、広くすべてのことに当てはまると考え、最初から一つものに絞ってしまうと他が見えず視野が狭まるが、複数のことに関わる、テーマも複数持っている方がのびのびと広がりが出るという哲学的な言葉。

 

※2 補足:ジェンダーギャップにまつわる話題が3人から出てきましたが、文中のジェンダー・ギャップ指数の図表1で取り上げた通り、世界の中でも日本は男女の不平等さが際立っています。それとともに知ってほしいのは、日本人の幸福度の低さ、さらに注目したいのは、幸せと感じている男女別の割合です(図表2・3)。ジェンダーギャップ指数で計られる「経済、教育、健康、政治」4分野、中でも「経済、政治」では女性よりも格段に優遇されているはずの日本人男性の方が、女性より幸せと感じる割合が低い結果に。逆に、男女ともに幸福度の高い国は、ジェンダー・ギャップ指数も上位の結果となっています。女性だけでなく男性が幸せになるためにも、女性の地位向上、ひいてはジェンダーの垣根がなくなることが重要ということがわかります。

 

図表2:国連の関連機関(SDSN)による2020年の「世界幸福度調査」では、幸福度は、所得、自由、信頼、一人当たりのGDP、寛容、汚職のなさ、健康と寿命などによって算出されている。日本は「寛容」の低さが顕著となり、153カ国中62位。G7で最下位。
(引用:世界幸福度調査2020  HP https://worldhappiness.report/ed/2020/
図表3:およそ100カ国の研究機関などにより調査される国際プロジェクト「世界価値観調査」による男女別の幸福度の差を数値化すると、男性の幸福度は日本がもっとも低いことが示される。調査発表は5年ごと。
(引用:文春オンライン https://bunshun.jp/articles/-/13949

畑道代
この記事を書いた人
畑道代ライター
広島市出身。本や雑誌を得意とするグラフィックデザイナー。フリーランスとなって12年の節目に、新たな刺激を求めて森ノオトに参加。築34年の古家のセルフリノベがライフワーク。夫・息子と3人暮らし。
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