寺家回廊初日に合わせてオープンした、ものづくりプレハブ空間「JIKE STUDIO」。扉を開けると、ギャラリーには江戸の空間が広がります。併設されたカフェでは、古い椅子やテーブルが江戸の粋と寺家の田園風景を受け止めます。展示次第でどんな空間にもなれる、変幻自在の「JIKE STUDIO」は、寺家の新しい文化の創造拠点です。

寺家町の新しいアート拠点「JIKE STUDIO」

2010.10.08

新しいお店ができるたびに、その一方で必ず、廃棄処分されるカウンターや部材、椅子やテーブルがあります。空間内装や建築を生業にする寺家町の会社「月造」に集まってきた「かつてお店で愛されてきた材料たち」が、今、カフェのカウンターや床材として蘇りました。

 

 

カウンターの部材を見ると、複数の部材が組み合わされている。テーブルも、椅子も、バラバラ。それが古いプレハブ空間の中でしっくりマッチしている。ガラス越しに、ギャラリーで展示されている江戸の世界が広がる。

 

JIKE STUDIOでは、新しい材料はいっさい使っていません。椅子もテーブルも、部材も、すべて古いものを使っています」

こう話すのは、青葉台駅前の「gallery a」でいつも元気で明るい笑顔を振りまいている、ギャラリー担当の坂上浩美さん。JIKE STUDIOのオープンに当たり、最近は青葉台ではなく、寺家に缶詰状態だといいます。寺家回廊の事務局を担当する傍ら、JIKE STUDIOの開廊に向け、展示に準備に引っ張りだこ。ようやくオープンしたJIKE STUDIOは、これからもまだまだ変化していきそうな匂いがします。

 

 


 

 

カフェ内にはテーブル席、カウンター席がある。カウンターは窓に面していて、眼前には寺家の美しい田園風景が広がる。ここでお茶を飲んでいると、いいアイデアがたくさん浮かびそう

 

新しいモノや空間を造るだけでなく、今存在している建物や空間をていねいに見直し、そこへの思いや愛を生かしながら次に伝えていくことをコンセプトに、家、お店、街をつくっていきたい……。そんな思いを抱きながら建築業務に携わってきた月造社長の月森忍さんが全幅の信頼を寄せるのが坂上さんで、月造の「ソフト」部分、つまり、モノ、ヒト、コトをつなげるギャラリーとカフェの運営を任されています。次世代に伝えたい芸術、工芸、人、そして思い……。それが、JIKE STUDIOgallery aに集まってきているのです。

 

 

毎週水曜日と土曜日には、寺家町の名店「モリタヤ」の団子を提供。日本茶とセットで850円。そのほか、もえぎ野の人気のパン屋「パン・ド・コナ」のチーズケーキセット(ハーブティかたんぽぽコーヒーとセットで850円)も

 

寺家回廊での企画展では、檜の細工師・三浦玉舟(みうらぎょくしゅう)として知られる三浦宏さんの「江戸の町、イキな町 三浦宏の世界展」を開催。大正時代に浅草で生まれた三浦宏さんは、船大工であった父と祖父、そして浅草の職人たちの中で育まれ、自らも風呂桶職人として木に携わる仕事をしてきました。1980年代から江戸の長屋、呉服屋、湯屋、吉原の街などを時代考証に基づき再現。今回、その三浦さんの作品が、JIKE STUDIOに「江戸の街」として蘇りました。

 

 

「人間が小さくなったら住めるようにつくった」(三浦さん)という、江戸の街。道具、人々の姿、建物の内部に至るまで、成功につくられている

 

三浦さんの作品に魅せられた写真家・田所美栄子さんのワークショップ「針穴写真で江戸を撮る」も、この10日に開催されます(予約受付中。1010103016308000円。江戸弁当付き)。また、1023日(土)には、「江戸の町、イキな町」をテーマに、世界的庭師・安諸定夫さんと三浦宏さんの対談が実現します。

寺家町の空間で、世界レベルの作品や作家と気軽にふれあうことのできる機会が得られるなんて!

 

 

カフェでは、その時の企画展に合わせたグッズや作品が展示される。お茶を飲みながらもアートにふれられる。カフェ内では、寺家回廊参加作家や来訪者との交流がみられた

 

「作家、作品は、世界クラス、地元作家など、有名無名にこだわらずに、ご縁のある方々を大切に、ともかく“心”をお伝えしていきたい。JIKE STUDIOは広いし、何でもできる空間。モノにこだわらず、食や空間、踊りがあってもいい。心動かされる、いろんなジャンルの人々とコラボレーションしていきたい」

と、坂上さん。寺家町という環境を生かしながら、JIKE STUDIOが今後、どんな発信して、またどんな人が集い、出会い、新しい世界が造り出されていくのか、とても楽しみです。

 


 

JIKE STUDIOでは、gallery aで扱う作家の作品で、お茶をいただくことができる。手にもって、ふれて、口につけて確かめると、作家の心が伝わってくるようだ

 

★ワークショップ「針穴写真で江戸の町を撮る」の詳細は、

http://tsuki-zo.jp/gallerya/

 

(写真提供:JIKE STUDIO)


キタハラ’s eye

私はこれまで、「粋=カッコイイ」という意味だと思っていました。三浦洋さんは「粋とは、人のやさしさ、美しさのこと。それをわかる心がないと成立しない」とおっしゃったと、坂上さんに教えてもらいました。「人のやさしさ、思いやり、心を伝えたい」というgallery aやJIKE STUDIOは、まさに「粋」な空間だと言えるでしょう。私は、いつも元気な坂上さんに会うと、その度に前向きなエネルギーをもらえます。穏やかで静かな寺家に、元気な太陽のような存在がまた一つ、増えました。

JIKE STUDIO(じけ・すたじお)

住所:神奈川県横浜市青葉区寺家町435-1

TEL:045-350-3804

OPEN:10:30〜17:00(寺家回廊会期後は11:00〜17:00)

定休:火曜

駐車場:あり

アクセス:東急田園都市青葉台駅よりバス「鴨志田団地」行き、終点鴨志田団地バス停下車徒歩15分 →Google Mapで見る

http://tsuki-zo.jp/jike-studio/

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ecolocoライター・キタハラprofile

キタハラマドカ
山形出身。地元タウン紙記者時代にバダイと縁ができ、以来この街を「新しいふるさと」と定める。フリーライターとして食、住、子育て、地球環境の記事を各種媒体で執筆。自宅で生まれたecoloco娘の食を記録したブログ「たまごはん」更新中。
http://tecology.exblog.jp/

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