森ノオト流ライフスタイル

この人に会いたい!

山川紋written by

ショセット建築設計室が設計し、青葉台の工務店「古今」さんが施工した築25年の木造戸建住宅のリノベーションが完成しました。冬は1階が極寒で、夏は2階がとても暑かった一般的な住宅の、省エネ性能を上げるリノベーションについて、詳しくご紹介します。

 

mixiチェック

家は「外」から断熱しよう! ショセット建築設計室(設計)×古今(施工)のエコリノベ

森ノオトが2015年度に開催した「エコDIYまちづくり」では、グリーンカーテンワークショップ天井のDIY断熱内窓づくりなどを学んできました。すぐに取り掛かれることや新しい技術を習得できてDIYの幅が広がりましたが、プロの力を借りないと難しい側面も多々ありました。

 

今回はプロが施工した事例として、私が主宰する「ショセット建築設計室」で設計をした住宅のリノベーションをご紹介します。施工は昨年青葉台に新しく設立された工務店「古今」さんにお願いをし、ちょうどこの3月に工事が終わりました。

 

(工事中)プロの腕はやはりすごい。大工さんによる階段の手すり。木目がピッタリ合っている「継ぎ」に感動。

(工事中)プロの腕はやはりすごい。大工さんによる階段の手すり。木目がピッタリ合っている「継ぎ」に感動。

 

今回、私たちが設計したのは、青葉区内にある築25年の木造の二世帯戸建住宅です。世代交代のため間取りを大幅に変更するにあたって、断熱や窓を変更する省エネリノベーションも合わせて実施しました。

元々は大手ハウスメーカーによる在来工法(柱と梁で構成される、木造住宅の一般的な工法)の住宅で、断熱材も当時の標準的なものが入っていました。柱などの構造部には問題がなく、そのまま使うことができました。

 

今回の省エネリノベーションでは、大きく分けて3つの改修を行っています。

 

(1) 断熱材の入れ替え

(2) 窓サッシの入れ替え(既存サッシは利用していません)

(3) 外付けブラインドの設置

 

まずは、既存の住宅を解体して、柱梁と外壁だけの状態にします。これが、築25年の住宅の内部の状態。比較的きれいで、安堵しました。

 

(解体後)国産ヒノキの柱が現れた

(解体後)国産ヒノキの柱が現れた

 

(1)断熱材の入れ替え

 

今回は費用バランスを鑑みて、住宅の断熱材として高性能グラスウールを使用しました。断熱材の入れ替えと共に、壁の中の湿気を逃がして、カビの発生やグラスウールの垂れ下がりを防ぐため、可変透湿性能のある気密シートを張っています。

屋根にはアルミ箔のようなシートを張りました。これは、輻射熱を反射させるためのシートです。夏の過熱を避ける効果や、冬場の暖房効率を上げます。

 

 

可変調湿性能のあるシートを使うときは、ビニルクロスではなく、紙クロスなど透湿できる仕上げ材を使う

(工事中)可変調湿性能のあるシートを使うときは、ビニルクロスではなく、紙クロスなど透湿できる仕上げ材を使う

 

(2)窓サッシの入れ替え

 

省エネリノベーションをするにあたって、一番重要なのは窓です。なぜなら、夏に住宅に進入する熱の73%、冬に室内の温まった空気が外に逃げる58%は窓からと言われるほど、窓に使われているガラスやアルミサッシは、屋根や壁と比べ、外気温を室内に運ぶ素材だからです。

25年前といえば、シングルガラス、アルミサッシが当たり前の時代でした。日本のサッシの性能は諸外国に比べればまだまだ低いのですが、ここ数年で一気に断熱性・気密性ともに上がっています。シングルガラスはLow-E複層ガラス(ガラスとガラスの間に特殊金属膜を入れて断熱と遮熱の性能を高めているガラス)やトリプルガラスへ、アルミのフレームは樹脂製にするなど、組み合わせによってかなり性能が高まっています。

冬場にアルミサッシをさわると冷やっとしたり、結露でカーテンがカビてしまったり、ということは、この家ではもう起きません。

 

今回は外壁を残したので、あとから補修して仕上げる。窓の端に見えている木部が外壁の下地

(工事中)今回は外壁を残したので、あとから補修して仕上げる。窓の端に見えている木部が外壁の下地

大手のサッシメーカーの高性能サッシの価格もだんだん下がってきてはいますが、戸建の住宅では窓の数が多く、サッシをすべて入れ替えるには、金額的にはインパクトがあるかもしれません。ただ、ここが住宅の温熱環境を一番制御するので、省エネのリノベーションをおこなうのならば、最優先することを私たちは勧めています。金額的には高くなってしまいますが、コストバランスを考えて、木製サッシを選択肢も入れることもあります。

 

( 3)外付けブラインドの設置

 

太陽からの熱エネルギーを受け取るには、南に大きな窓があると効率的です。特に、冬場の暖房を使う時期は長いので、窓から入ってくる日差しがもたらす熱はとても重要です。

しかし、夏場は逆です。日差しをなるべく家の中に入れないように遮熱しないといけません。森ノオトのエコDIYまちづくりで作ったグリーンカーテンや、すだれで対策することもできますが、こちらの家では、自然素材塗料で知られるオスモ&エーデル株式会社さんが販売代理をしている外付けブラインドを設置しました。実は私たちの設計でも初めて使うので、設置されるのが楽しみでした。

 

日本では室内に取り付けるブラインドが主流ですが、省エネ住宅の基準の高い欧州では、ブラインドを外に取り付けるのが一般的です。光だけを遮るのであれば室内でも室外でもどちらでも良いのですが、熱を遮るには外付けブラインドで、家の中に熱が入る前に止めないといけません。

この外付けブラインドでは、室内のコントローラーでブラインドの向きや開閉を操作でき、家の中に入る光の量も調整できます。外からの目線も気にならず、快適な住環境になりました。

 

(完成後)1階のリビングに、外付けブラインドからの優しい光が室内の奥まで広がる

(完成後)1階のリビングに、外付けブラインドからの優しい光が室内の奥まで広がる

 

これら3点が主に省エネにかかわるリノベーションですが、さらに暮らしも豊かになるよう、様々な工夫をしています。

 

その一つが、階段室を使った風の通り道。1・2階に分かれた二世帯住宅なので、階段室はどうしても閉鎖的な空間になりがちです。あえて、その階段室をお互いのリビングに配置してガラス戸で仕切ることで、上下階のつながりをつくりだすとともに、天窓へ抜ける風の通り道となりました。

 

(完成後)2階の子世帯のリビングにある、階段室。プライバシーを守るために窓で仕切っているが、その窓を開け閉めすることで、直接声を掛け合ったり、夏の暑い日に換気をすることができる

(完成後)2階の子世帯のリビングにある、階段室。プライバシーを守るために窓で仕切っているが、その窓を開け閉めすることで、直接声を掛け合ったり、夏の暑い日に換気をすることができる

 

階段室の上部は北側の屋根の天窓となっています。北側の天窓がおすすめなのは、直射日光が入らず、やわらかい光であること。光が階段室に降り注ぎ、1階 のリビングまで光が届きます。

 

(完成後)天窓はもともとついていた位置から移動。さらに、北側で暗かった部屋にもつけて、明るさを確保した

(完成後)天窓はもともとついていた位置から移動。さらに、北側で暗かった部屋にもつけて、明るさを確保した

 

2階の子世帯のリビング。階段室を中心に回遊できる間取りとなっている

2階の子世帯のリビング。階段室を中心に回遊できる間取りとなっている

 

断熱・気密に加え、遮光をしっかり考えたうえで、風の通り道を確保すると、築25年の木造住宅でも、エコで快適、かつ豊かな暮らしができます。青葉区にはまだまだ同じように、断熱性能が低いけれども、構造部が良質な木造住宅がたくさんあります。

 

こちらの事例が、設計事務所・工務店と考えるリノベーションの参考になれば、幸いです。

インフォメーション

家は「外」から断熱しよう! ショセット建築設計室(設計)×古今(施工)のエコリノベ

リノベーション後の写真はこちらからご覧ください。

ショセット建築設計室ホームページ

http://chaussette-archi.com/works/1284/

 

古今

http://kokon-sumai.co.jp/

 

オスモ&エーデル 外付けブラインド「ヴァレーマ」

http://www.osmo-edel.jp/lineup/warema/

ライター紹介

山川紋

  • ライターのFacebookをみる

1981年名古屋生まれ。教育やWEB関連の仕事を経て、現在は夫と住宅の設計やリノベーションを手がける「ショセット建築設計室」を主宰。青葉区桜台のビンテージマンション「桜台ビレジ」に住まう。家族は夫と雑種のオス猫4匹。建築旅が好き。 ■オフィシャルサイト「ショセット建築設計室」

おもしろかった?

mixiチェック

こんな記事もあるよ

    関連はありません。。