森にオーケストラ現る! 「せりがや冒険遊び場」に、超音楽的お遊び集団 「じゃねんず」がやってきた! 
私が去年の9月に取材をした「せりがや冒険遊び場」では、毎月色々なワークショップがおこなわれています。3月のワークショップは超音楽的お遊び集団 「じゃねんず」によるドラムサークルと聞いて、親子で遊びに行ってきました。

(text&photo:ながたに睦子)

 

昨年9月にオープンしたばかりの「せりがや冒険遊び場」(以下、「せりぼう」と表記)は、あっという間に地域に愛されるプレイパークになりました。プレイリーダーの岡本恵子さんによると、平日でも300人を超える子どもたちが訪れる日もあるとのこと。

 

絶妙な間隔で張られているロープは人気の遊具。いつも順番を待つ子どもたちでいっぱい

 

そんな「せりぼう」では、毎月のように「手作り工房」「子育てカフェ」「思春期講座」など、さまざまなイベントをおこなっています。3月のある日せりぼうで手に取ったチラシには、「今月の手作り工房は、超音楽的お遊び集団 “じゃねんず”によるドラムサークル」の文字。実は私、じゃねんず代表の傍島飛龍さん(以下、飛龍さんと表記)とは以前から面識があり、じゃねんずのワークショップにも、何度か参加したことがありました。じゃねんずは、普段は相模原市緑区にある藤野地区付近で活動することが多いのですが、私の地元・せりぼうでじゃねんずに会えると知り、ワクワクしながらワークショップに出かけました。

 

せりぼうに着くと、さっそくじゃねんずメンバーの2人が準備を始めていた。「何が始まるの?」……周りで遊んでいた子どもたちも興味津々

 

さて、超音楽的お遊び集団 「じゃねんず」とはいったい? という方もいますよね。じゃねんずのfacebookページにはこんな紹介が書いてあります。

「うまい下手関係なくだれでも自由に参加型音楽ワークショップをするお遊び集団。色んな楽器を用意しています。そしてマイ楽器持ち寄り大歓迎! 大きな輪になって音を奏でるもよし、踊り狂うもよし、大声で叫ぶもよし。 みんなで最高に魂が震える時間を生み出そう!」

なんとも楽しそうなメッセージ!

この日のワークショップのテーマは、「廃材を使って作った楽器で大演奏会をしよう」。じゃねんずのメンバーが準備してくれた道具を見ると、端切れ、ガソリンスタンドからもらってきたプラスチックのペール缶、王冠、針金、木の枝など。これらの廃材から、どんな楽器が生まれるのでしょうか。

飛龍さんはご自身が住まう藤野地区で、つぶれた工場をすべて廃材でリフォームする共同アトリエ「廃材エコビレッジ」を友人たちと作っている最中です。ふだんじゃねんずは「ジャンベ」と呼ばれるアフリカの太鼓をはじめ、様々な民族楽器を用いてセッションをするのですが、この日は、廃材を使った楽器を子どもたちと一緒につくって、そこから音楽を奏でてみようと思いついたと言います。

 

飛龍さんと、じゃねんず副団長の上條公一さん。2人が奏でているのは、ペール缶の底にバネをつけた楽器。このバネをぐるんぐるんと回すと、雷のような音がする。実際に「サンダードラム」という楽器があり、それを真似て即興で作ってみたとのこと。「買うと高いんだよ〜。でも作れちゃった!」とおちゃめに笑う上條さん

 

この日作るのは、「枝と針金で作るバチ」「王冠を使ったシェーカー」「トンガトンと呼ばれる竹の楽器」「サンダードラム」など。

 

みんなそれぞれ楽器を作り始めた。材料は、枝、古いカーテン、針金、王冠……など。いったいどんな楽器が出来るかな?

 

王冠を金槌で叩いてつぶし、3つまとめて釘で枝にうちつけて、振るとシャラシャラと音が出るシェーカーを作っているところ

 

竹の楽器づくりは男の子の仕事。「大きい竹持って来たね〜! ほら、頑張れ頑張れ!」と声をかける上條さんと、必死でノコギリを動かす小学生男子

 

どのブースでもみんな真剣に楽器を作っていました。あれ? よく見ると、子どもよりもお父さん、お母さんのほうが夢中になっている? なんて場面もありました。それぞれの楽器が完成すると、それらを持ち寄って、次はいよいよセッションです。

「は〜い、この楽器やりたい人〜!」

飛龍さんの声かけによって、子どもたちは自分のやりたい楽器に手を挙げていきます。そして、各パートに別れた子どもたちは、飛龍さんの指揮に従い、順番に音を出していきます。

 

さあ、これからどんな音楽が奏でられるのかな? ちょっと緊張の面持ち

 

ロープに廃材の鉄パイプをカットしたものをぶら下げて出来た鉄琴は、じゃねんずからせりぼうへのプレゼント。端から端までバチをすべらせると、シャラララーンと素敵なメロディ!

 

最初はちょっと表情の固かった子どもや、少し恥ずかしそうにしていた大人たちも、いつのまにか笑顔になり、自由に思い思いの音を奏でます。途中で楽器の交代もあり、子どもたちは競うように色々な楽器を試していました。

ペール缶で出来たドラムを叩くとポンと小気味よい音。竹で出来たマリンバからはカンカンと乾いた音。太い針金を曲げて作ったバチで金属の棒を叩くと、キンキンと元気良く響く高音。鉄パイプの鉄琴からはシャランと軽やかな音。

手づくり楽器のハーモニーはだんだんと重なり合い、やがてその場にいた40人程の人たちによって一つの音楽となりました。壮大な音は芹が谷公園全体に響くほど。森のオーケストラが誕生です! その音は胸にずんずんと響き、じゃねんずのメッセージ通り、まるで魂がふるえるかのようでした。

 

「はい、大きく〜!」「はい、小さく〜!」「だんだん小さく〜、だんだん大きく〜」「はい、ストップ!」……飛龍さんの巧みなファシリテーション(指揮)にあわせて、音が大きくなったり小さくなったり、時にピタリと止んだりする様は見事だった

 

なんどもセッションを繰り返すうちに、みんなの息もぴったり合うようになりました。「最後に一回みんなで合わせて終わりにしようね〜!」という飛龍さんのかけ声に合わせ、最後のセッションが終わったとき、そこにはみんなで一つのことをやり遂げた一体感が生まれていました。セッションが終わってからも、みんなが自由に楽器を奏でる音があちこちで聞こえます。音楽って本当に人の心を明るく、楽しく、元気にしてくれるのだなあと、改めて感じた時間でした。

 

この日来てくれたじゃねんずのメンバーは4人。真ん中が飛龍さん、後ろが副団長の上條さん、助っ人のコバヤンと嶋ちゃん。じゃねんずは年齢、性別問わず、常にメンバーを募集しているとのこと

 

セッションが終わったあと、飛龍さんとせりぼうのプレイリーダーのうさぎこと岡本恵子さんに、少しお話を伺いました。

岡本さんと飛龍さんの出会いは、町田のある福祉施設でおこなわれたじゃねんずのワークショップ。その施設には重度の障がいのある方もいたそうですが、飛龍さんのファシリテーションによって、みんなどんどんと笑顔になり、参加者が一体になって音楽を奏でている様子に感動し、すっかり飛龍さんのファンになってしまったそうです。その後、せりぼうの前身であるたぬき山にもじゃねんずを呼び、そして今回、せりぼうでの初のワークショップも大成功。岡本さんもじゃねんずのメンバーもとても充実した表情でした。

もともとじゃねんずは、地域の仲間同士の音あそびがきっかけで結成されました。その楽しそうな様子をみた地域の方から「夏祭りに出ない?」と声がかかり、出るからにはみんなで練習して、周りも巻き込んで楽しくやろう! と盛り上がり、そこから色々なイベントに出るようになり、だんだんとメンバーも増えていったそうです。

今では名ファシリテーターになった飛龍さんですが、最初はみんながついてこなくて上手くいかず、鏡を見ながら一生懸命特訓をしたこともあったそうです。それにしても、今日会ったばかりの人々を一つにまとめてオーケストラを作り上げる様子の見事だったこと! 「場数を踏んで、どんどん上手になっていったんだよ」と、飛龍さんは笑います。

セッションの様子を音でお伝え出来ないのが残念! じゃねんずに興味のある方は、ぜひじゃねんずの出演するイベントに出かけて、セッションに参加してみてください。きっと「魂がふるえる」その瞬間を体験できると思います。

そして飛龍さんは、万華鏡作家としても活躍中。飛龍さんのブログには、じゃねんずの活動はもちろん、万華鏡ワークショップや飛龍さんのさまざまな作品、自宅のエコハウス計画や、廃材エコビレッジ……など楽しい情報が満載でとても魅力的。ぜひ覗いてみて下さい。森ノオト的には、エコハウス計画や廃材エコビレッジにも興味津々!

帰り道、我が家の7歳の娘は、自分で作った楽器をシャラシャラ鳴らしながら「みんなで音を出したの、すごく楽しかった! 次会えるのはいつかなー」とつぶやいていました。じゃねんずがまたせりぼうに遊びに来てくれる日が待ち遠しいです。

Information

超音楽的お遊び集団 「じゃねんず」

https://www.facebook.com/janens.Drum.circle?fref=ts

傍島飛龍さんのブログ

http://sobajimahiryu.blog67.fc2.com/

せりがや冒険遊び場

http://seribou.jimdo.com/

せりがや冒険遊び場facebook
https://www.facebook.com/serigayaboukennasobiba

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