Vol.9(最終回) 稲穂の生長と収穫

2010.11.18

今年も収穫できてよかった

 

 出穂(しゅっすい)の時には、薄緑色だった稲穂。次第に深緑色になり、朝、夕に涼しさを感じる頃になると、稲穂の色がさらに少しずつ変わっているのに気づく。日を追うごとに黄金色に近づいていく。一粒の種籾から、一本の苗が芽を出し育ち、田植えから約5カ月。ついに収穫の時を迎える。

 稲刈りは、やっぱり田植えと並んで、稲作の二大ハイライトだと思う。田植え、稲刈りには、それぞれ最適な時期があるし、その作業を何回にも分けて時機をずらして行うことになれば、後々の生長に影響を及ぼし、収穫の時期もばらついてしまう。田植えや稲刈りは、昔は一時的に親族・縁者や隣近所の人たちの手を刈り、一気に行ってきた作業なんだろう。

 さて、農に学ぶ。でも収穫の季節がやってきた。たわわに実った稲を、鎌で、ざくっ、ざくっと刈っていく。単純な作業の繰り返しだが、一緒にやっている人たちと、息がシンクロしていく感覚。一面の稲を刈り取った時には、田植え同様に少し達成感もある。大勢の人たちで、汗をかきながら、ひとつの作業をともに成し遂げる。人と人とのつながりや、自然からの恵みを感じながらの、一年に一回限りの作業。その希少さが、お米に対しての人の思いを、さらに増幅させる気がする。

 この国で、稲作社会が形成されてから二千年以上も、(辛い?楽しい?)イベントとして続いてきた稲刈り。稲刈りの後は、さっきまで稲が生えていた田んぼに竹で馬を組み、稲穂を天日干しする「はさがけ」に移る。はさがけは、単に稲を乾燥させるだけではなく、時間をかけて、じっくり旨みを貯えていくという役割もあるのだそうだ。

 昨年の今頃は、台風ではさがけが無残にも倒れてしまった。台風通過の翌日、報告を聞いた何人かが集まり、はさがけをやり直した。倒れたままだと、稲穂が水に浸って間違えて芽を出すことがあり、せっかくの収穫物が台無しになってしまう。そんな窮地を速やかに立て直してくれる人たちとの関係が、そこにできあがっていた。

 

 農に学ぶ。の活動を通して、これまでの食に対する関わり方が大きく変わった。単に「食べる」という関係から、「少しつくって食べる」という関わり方に変わったことで、お米や自然に対して、これまではなかった視点が生まれ、また農とふれあう機会がたくさん訪れた。

 その機会を得られたことで、自分はもちろん、お米や自然もそれぞれ生きていて、命らしきものがあるんだ、ということを感じることができた。そんな時は、お米づくりに関われてよかったな、と思い、これからも続けていきたい、と感じざるを得ないのだ。

 

(最終回です。これまで読んでいただき、ありがとうございました。)

 

 


台風で倒れても立て直しできることがすごい

 

 

 

 

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いーじー田中(田中英司・たなかえいじ)
NPO法人農に学ぶ環境教育ネットワーク事務局長。2004年、田植えの援農に初参加。2008年、NPOの活動本格化とともにNPO正会員として農作業に参加、事務局としても汗を流す。本業は広告・プロモーションの企画・制作・実施のプロデュース業務。本業の経験を生かし、「自分を表現してみたい人、応援プロジェクト」始動・活動中。
http://www.nounimanabu.net/

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