我が家のミニ発電所計画を目指して!  「独立型ソーラーシステムをつくろう!」参加レポ
私が最近気になる言葉に「ご当地電力」や「市民電力」があります。3.11以降、市民が主体となって太陽光などの自然エネルギーを使った発電を試みる動きが全国に広がっているようです。その一つを目指す「たまプラーザ電力」が主催した、独立型ソーラーシステムの組み立てワークショップの様子をリポートします。

(text&photo:ながたに睦子)

 
2014年5月25日(土)。たまプラーザ地域ケアプラザで、森ノオト(たまプラーザ電力)主催のワークショップ「独立型ソーラーシステムをつくろう!」が開催されました。友人が、市民電力の草分け的存在でもある「藤野電力」のスタッフをしていることもあり、以前からソーラーシステムの組み立てに興味のあった我が家。家族で電気のことを考えるよい機会になると思い、興味津々で参加してきました。

 

 

森ノオトメンバーでもある梅原昭子さん。主婦目線でわかりやすく電気の話をしてくれた

 

まずは森ノオトの「エレキ女史」でおなじみ、梅原昭子さんによる電気のお話。机に並んだ工具やら電線やらを見て、理数系が極度に苦手な私はちょっとひるんでしまいましたが、一つひとつ工具などを手にとりながら丁寧に説明してくれる梅原さんの話を聞き、学生時代に習った電気にまつわる単語や数式などを思い出しました。「アンペア、ボルト、ワットなどの単語は人名に由来しているんですよ」という梅原さんのお話を聞いて、会場からは「へえー!」の声も(アンペアさん、ボルトさん、ワットさんのお話は、魅力的なイラスト満載の、梅原さんのこちらの連載『琥珀の子 電気のお話』からどうぞ!)。

その後は、「家庭の電気製品の消費電力を調べてくる」という宿題をもとに、みんなでグループワークです。家で一番電気を使っているのはどの電化製品? などを話し合いました。また、ポストイットに家庭の電化製品を思いつくままに書き出す作業では、冷蔵庫、洗濯機、テレビなどの大きい家電以外にも「フードプロセッサーやミキサーも」「空気清浄機やアロマディフューザーもだね」などの声もあがり、家の中で電気を使うものがこんなにもあるのか! ということを改めて認識して、みなさんびっくり。

 

それぞれが持参した「電気料金表」を、じっくり見るものよい機会でした。受講者の方からは「電気って使えば使うほど高くなるの!? お得感が全くないのね!」「我が家はもうちょっと節電を考えないと……」なんていう声も

 

さて次はいよいよ、「独立型ソーラーシステム組み立てワークショップ」です。講師はたまプラーザ電力のメンバーである高橋新志さんです。実際に機材をさわって試せるとなって、参加者のみなさんの目の色も輝き始めました。

ところで、最近、個人の家の屋根の上などでもよく見かけるようになったソーラーパネルは、発電した電気を一旦電力会社の送電網につなぎ、自宅消費で余ったものは売電できるシステムで「系統型」といわれます。一方、今日のワークショップで作る「独立型ソーラーシステム」は、電力会社を通すことなく発電した電気を自宅で完結させて使うシステムのことで、小さく、持ち運びでき、貸し借りもできる、まさにマイ発電所。もちろん家庭の電気全部をまかなうことはできませんが、携帯電話やノートパソコン、ゲーム機などの充電はできるとのことです。「自宅で太陽光発電をしている」と言っても、一旦電力会社を通したものを使用しているのと、作った電気をそのまま自分で使えるのとは、ずいぶん印象が違うなあと思いました。

 

実際のソーラーシステムに使うパーツを前に、みなさん興味津々

 

独立型ソーラーシステムの組み立てに必要なものは、実際に電気を発電する「太陽光パネル」、パネルとバッテリーの中間にはさみ、バッテリーへの充電電圧の制御や過充電の防止をする「チャージコントローラー」、実際に電気を貯める「バッテリー」、バッテリーに貯めた電気を家庭でのコンセントと同じ感覚で使えるようにしてくれる、DC(直流電流)→AC(交流電流)変換装置の「インバーター」があります。

 

高橋さんが一つひとつの機材について説明。電気が発生するものなので、扱いは慎重に

 

高橋さんのデモンストレーションを見ながら、参加者の皆さんも、実際に機材をさわってみる。「理系はさっぱりだめ!」と言っていた主婦の方々も積極的に作業に参加

 

高橋さんのデモンストレーションを見た後は、各テーブルに分かれて、実際にソーラーシステムを組み立てる作業をしました。今回の参加者にはお子さん連れの方も何人かいたのですが、お子さんでも大人に負けじと積極的にドライバーを持ってねじを締める作業を手伝ったり、実際にパネルを窓際に持って行って、どれくらい発電できているか……などを大人と一緒に確認していたりと、子どもほど目がキラキラとしていたのが印象的でした。

 

機器のねじを締める作業に集中する参加者の男の子。表情は実に真剣! お母さん曰く、ねじ締めなどの作業はいつも家でも手伝っているので慣れているとのこと

 

実際に自分の手でソーラーシステムを組み立ててみて、みなさん満足げな表情です。窓際に持って行って、太陽の光を浴びたソーラーパネルから電気が生み出される様子を見ると、「おおー!」と感嘆の声が。「自分の家でも早速組み立ててみたい!」「これなら私にもできそうな気がしてきた」などと、幾つもの「マイ発電所」が生まれそうな発言が聞こえてきました。

 

実際に携帯電話が充電されている様子を見る子どもたち。将来の理系男子の誕生の予感!?

 

ワークショップを終えたあと、みなさんで雑談しながら、参加者のみなさんからはこんな声が聞けました。

「実際に太陽の光がエネルギーに変わることが実感できた。自分でもさっそく組み立ててみたいし、このソーラーパネルをますます周りにも広めていきたいと思った」

「なにげなく見ていた電気料金表を改めてみて、自分の生活の電気の規模を見直せたのが良かった。ソーラーシステムにも益々興味がわいた」

「今まで、太陽光発電というと、男性の分野のように思っていて、敷居が高いと思っていたけれど、女性の講師の方が説明してくれるとわかり易く、自分にもできそう! と思えててよかった。お子さんたちも興味深そうに参加していたのが印象的」

「子どもにも節電の意識が芽生える。ゲーム機器などはソーラーパネルで発電した電気を使い“自分の電気を使ってゲームをする”という感覚が生まれるのがよい」

参加者のみなさんには、3.11以降の計画停電などで、「電気は当たり前にあるものではない」と、電気の大切さを改めて実感したという人も多かったようです。今回のワークショップを経て、自分の家でどれだけ電気を使っているのかを改めて見直して、節電に励もう! という意識がより一層大きくなったという声もたくさんの方から聞けました。

私もこのワークショップに参加する前は、他のみなさんと同じように、太陽光発電と聞いてもなんだか敷居が高そうだなあと、ちょっと手がでない感じだったのですが、実際に参加してみて、今すぐにでもソーラーシステムを作ってみたい意欲がむくむくとわき、帰りの車の中では、夫とどんなソーラーシステムを作ろうかの話題で盛り上がりました。また、電気は目に見えないものなので普段何気なく使ってしまい、その存在をあまり意識もしませんが、自分で作った電気というと、途端に愛着がわいてきます。そして自分で作った電気が減ってくると「もったいない! 節電しよう!」と意識するようになるのもいいことですね。

我が家は、このワークショップの後に、契約アンペア数を30Aから20Aにダウンしてみました。これから夏本場に向けて、おひさまのエネルギーをたっぷりと享受できる時期です。その前にぜひ我が家の「マイ発電所」を作り、この夏は家族で節電に励み、エネルギーについて考える時間を持ちたいと思いました。我が家の発電所が無事に完成した暁には、ぜひその様子もレポートしてみたいと思います。

 

参加者にはこんなかわいい「マイ発電所」シールが配られた(このキャラクターは森ノオトでもおなじみもりたろうの妹、もりこちゃん)。もりこちゃんがたくさんの場所で見られるようになるといいな

Information

次世代郊外まちづくり 住民創発プロジェクト 「たまプラーザ電力」

https://www.facebook.com/tamapulaenergy

 

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