森ノオト主催事業

新着エコニュース

宇都宮南海子written by

5月22日に森ノオトの会員限定イベント「寺家ふるさと村で森のリトリート」が開催されました。講師は株式会社「森へ」の代表取締役として、那須や富士五湖で「森のリトリート」を主宰している山田博さん(青葉区在住)。頭ではなく心で感じる「何もしない時間」をレポートします!

 

mixiチェック

森の達人から学ぶ「何もしないをする」時間。森のリトリートをレポート!

「寺家ふるさと村で森のリトリート」の講師の山田博さんは、企業や組織で働く人を主な対象として「森のリトリート」を那須や富士五湖の森の中で開催しています。自分との対話、人との対話、そして森との対話から自身の内省を深める活動をしています。 そんな森の達人である山田さんは、森ノオト編集長の北原まどかさんと同じく山形県の羽黒山で山伏修行をした仲間でもあります。その縁もあり、横浜では初めてとなる「寺家ふるさと村で森のリトリート」の開催が実現しました。

心地よい五月晴れとなったこの日、太陽が西に傾き始めた時間に「森のリトリート」が穏やかに始まりました。

スタッフとして参加した私ですが、当日まで何をするのか詳細がわからずにいました。「今日はどんなことをするんでしょう?」と尋ねると、「何もしないんですよ、ははははははーっ」と白い歯を見せて笑う山田さん。まるで子どものような屈託ない表情を見て、これから始まることに期待が膨らみます。

会場となったのはNPO法人農に学ぶ環境ネットワークの奥座敷「どんぐり農園」。普段はNPO会員しか入れないどんぐり農園は、寺家ふるさと村の中でもより一層深い森を感じる場所です。

参加者みんなでどんぐり農園を目指して歩きます。西日に傾き始めた陽の光が美しい。左手奥がどんぐり農園

参加者みんなでどんぐり農園を目指して歩きます。西日に傾き始めた陽の光が美しい。左手奥がどんぐり農園

参加者が揃うと、まずは円になり軽い自己紹介から始まりました。この日は大人12人に子ども13人のなかなかの賑やかさ。「今日は特別なことは何もしません。森を感じるということを普段と違う形で体験してもらいたいと思っています。虫や動物が『いたー!』という気づきではなくて、ただそれを『感じる』こと。そんなことをしていきましょう」と山田さん。その言葉に「でも、どうやって?」とみんなの疑問が浮かびます。

右端、緑のTシャツが講師の山田博さん。普段は山中湖などの本場の深い山で活動している山田さんとあっても「この場所は良い!」と寺家の懐の深さを気に入っているようです

右端、緑のTシャツが講師の山田博さん。普段は山中湖などの本場の深い山で活動している山田さんとあっても「この場所は良い!」と寺家の懐の深さを気に入っているようです

まずは人間の感覚を司る五感をフルに使うウォーミングアップから。「とにかく今日はすべてを急がずゆっくりとスローダウンしてみて下さい」と山田さんは言います。座って目を閉じて、森の音に耳を傾けます。不思議なもので、さっきと同じ場所にいるのに、目を閉じるだけで今まで聞こえなかった鳥の声や、虫の飛ぶ音がじわじわと聞こえてくるようになりました。子どもたちからは「鳥のコンサートみたい!」と可愛らしい声も上がりました。

次は嗅覚。無意識でいると特別な匂いには気づかないけど、身を屈めて地面に顔を近づけると、土も植物も確かな匂いを放っていることがわかります。「こんなことしたのは、子どもの時以来だなぁ」と参加した大人たちも、次第にこのワークに溶け込んでいっているようでした。

四つん這いになって地面に顔を近づけます。私はドクダミの匂いが強く香っていることに気付きました

四つん這いになって地面に顔を近づけます。私はドクダミの匂いが強く香っていることに気付きました

「触覚を研ぎ澄ますには足の裏が一番」ということで、靴も靴下も脱いで、裸足で土と葉っぱの上を歩きます。ここでも大事なのはゆっくりと。ちょっと硬くて踏むと痛そうな枝の上も、ゆっくり歩くことで避けることができます。裸足になると、心だけでなく体の感覚も解放されたようにリラックスした感じがありました。

大人も子どもも裸足に。ちょっとひんやりした土が気持ち良い

大人も子どもも裸足に。ちょっとひんやりした土が気持ち良い

五感を使ったウォーミングアップが終わると、それからはなんと「自由」! どんぐり農園の中を思いつくままに自由に過ごす時間です。自然に対して開き始めた五感そのままに、心赴く場所で、心赴くままに過ごしてみます。子どもたちは、田んぼの中の生き物を観察したり、木を重ねて遊んだり。その声を聞きながら、大人たちは、土の上に寝転がって本気で寝る人もいれば、ただただ佇む人、みんな思い思いに過ごしていました。

すっかり森に溶け込んでいる?!

すっかり森に溶け込んでいる?!

気持ち良く眠りにつくお父さん

気持ち良く眠りにつくお父さん

 いつの間にか仲良くなっていた子どもたち。森が人と人との距離も縮めているように感じます

いつの間にか仲良くなっていた子どもたち。森が人と人との距離も縮めているように感じます

大人になればなるほど、「何もしない時間」を意識的に与えられることって、普段の生活の中でなかなか無いことですよね。寺家暮らしを最近始めた私ですが、馴染みの出てきた風景の中でも、こうやってじっくりと寺家の森の中に腰を下ろすことはなかったなぁと思いました。息子に呼ばれあちこち動き回りながらも、森の音や匂いがいつもよりもフィットしている感覚がありました。

 

ざわざわざわと次第に波をうつように揺れる木々がまるで『となりのトトロ』のワンシーンのように美しく、私はしばらく眺めていました。

ざわざわざわと次第に波をうつように揺れる木々がまるで『となりのトトロ』のワンシーンのように美しく、私はしばらく眺めていました。

30分ほど自由に過ごした後は、「自然の中から感じたことを自由に描いてみて下さい」と山田さん。色鉛筆を使って、頭に浮かんだイメージをみんなそれぞれに描いていきます。心に残る感度そのものが「自然からのメッセージ」なのだそうです。

参加者の絵。草の上に寝転がった景色を描いたそうです

参加者の絵。草の上に寝転がった景色を描いたそうです

山田さんは、「この場所に最初に足を踏み入れた時よりも、リラックスしている感じがしますよね。それって人間だけじゃなくて、森も安心したってことなんですよ。森も最初は様子を見て緊張していたけど、人が自然に馴染んでいくとお互いに落ち着いてくるものだと思うんです」と語ります。森が私たちを受け入れてくれた、という感覚がとても印象的でした。

気付くと日没が近づく夕刻に。木々の雰囲気も緑に深さが増し、夜に向かう色味を帯びています。寺家の自然の中で、「何もしない時間」を過ごした参加者たちは、「気持ち良かったー」「こういう時間、良いね」と感想を話していました。帰り道、今年初のホタルを発見。寺家の自然からのギフトをもらったような気持ちで、森を後にしました。

自然の中で自分を見つめ、本来持っている感覚を開放する森のリトリート。次回開催にも期待をしています。

ライター紹介

宇都宮南海子

  • ライターのFacebookをみる

宇都宮南海子(なみこ): 元地域新聞記者。エコツーリズムの先進地域である沖縄本島のやんばるエリア出身。総勢14人の大家族の中で育つ。2016年、都内から憧れの(!)青葉区寺家町へ住まいを移す。寺家暮らしでチャレンジしたいことは農業。2012年生まれの野遊びとウルトラマンが大好きな男の子のお母さん。

おもしろかった?

mixiチェック

こんな記事もあるよ

    関連はありません。。