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北原 まどかwritten by

成長を続けながら環境にやさしく、文化や性の多様性を受け入れ、住民が積極的にまちづくりに参加し、ローカルを大切にするまちとして、世界中から注目を集めるまち・米国はオレゴン州のポートランド。森ノオトのリポーター3人が子連れでポートランドの「日常」を体感するプログラムに参加してきました!

 

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子連れで、憧れのポートランドへ! Field Trip in PDXレポート(1)

世界のトップを走るエコなまち

 

ポートランドのダウンタウンにはマリンシューズのブランド「KEEN」のガレージショップがある。ほかにもナイキやコロンビアの本社や、ご当地発のブランドPOLARなど、ポートランドはアウトドアの聖地でもある

ポートランドのダウンタウンにはマリンシューズのブランド「KEEN」のガレージショップがある。ほかにもナイキやコロンビアの本社や、ご当地発のブランドPOLARなど、ポートランドはアウトドアの聖地でもある

 

ポートランド、全米で最もエコロジーでオーガニック、サスティナブルなまち。そんな地域の存在を知ったのは、2014年のことでした。森ノオトが横浜市と東急電鉄が進める「次世代郊外まちづくり 住民創発プロジェクト」に参加するなかで、まちづくりのモデルとして「ポートランド」のキーワードを、あちこちで目にするようになりました。

 

Made HERE PDXはポートランドで生まれたファッションやクラフト、食品やコスメのブランドを扱う専門店。質の良いお土産品をゲットできる

Made HERE PDXはポートランドで生まれたファッションやクラフト、食品やコスメのブランドを扱う専門店。質の良いお土産品をゲットできる

 

ポートランド市はアメリカ西海岸のシアトルに近いオレゴン州にあり、人口が約60万人、面積は横浜市より少し小さいくらいです。オレゴン州公式日本語ガイドによると、ポートランド市は全米で最もクリーンテクノロジー分野で働く労働者が多く(クリーンテクノロジーとは、太陽光発電などの再生可能エネルギーやエコ建築、省エネビジネスなどにかかわる産業のこと)、この20年間で雇用数を13%あげながらも、1人あたり22%ものCO2(二酸化炭素)排出量を削減しています。つまり、経済成長と環境を両立しているのです。

人間活動由来の温室効果ガスとして最大のCO2の削減に不可欠なのは、自動車重視から、公共交通網や自転車を使うライフスタイルにシフトしていくこと(モーダルシフトといいます)。ポートランドは市街地に路面電車(LRT)とバス路線が張り巡らされていて、ダウンタウンはどこでも駐輪フリー、クルマ社会のアメリカで6%もの人が自転車通勤しているといいます。

 

Jeans Farmのパーマカルチャー・ガーデンで採れたての食材を使ってみんなで調理。食べ物もキッチンも建物もトイレもすべて手づくり

Jeans Farmのパーマカルチャー・ガーデンで採れたての食材を使ってみんなで調理。食べ物もキッチンも建物もトイレもすべて手づくり

 

毎日、まちのどこかで地産地消かつオーガニックのマルシェが開かれていて、ポートランド発のオーガニックスーパーマーケット「New Seasons Market」は地元産・オーガニック度・環境配慮度から「お店がおすすめ」「まあまあ」「おすすめしない」の表示があって消費者がちゃんと選ぶことができる。家庭ゴミのリユースとリサイクルのシステムがしっかりしている……などなど、ともかく、エコロジー。

 

しかも、住民が「地域を元気にする」「隣近所の人たちと顔の見える関係をつくる」ために、マイクロライブラリーや交差点ペインティングなど、さまざまな仕掛けをおこなうための仕組みが整っているのです……!

 

 

「ポートランドの当たり前の日常」を感じる

 

プログラム4日目、交差点ペインティングで「ちんどん屋」をしているのが、主催者の一人、佐藤有美さん

プログラム4日目、交差点ペインティングで「ちんどん屋」をしているのが、主催者の一人、佐藤有美さん

 

「ポートランド」というキーワードが気になり始めたころ、私のfacebookの友達が続々とポートランドへ視察に行く姿が目に入るようになりました。「私もポートランドに行って、自分の目で確かめたい!」と、かの地への憧れは募るばかり。

……でも、我が家には1歳児、乳飲み子がいます。さて、どうしようか……。そんな時に、森ノオトの新リポーターで、中区で「まま力の会」を主宰する船本由佳さんがfacebookでシェアした「Field Trip in PDX」が目に入りました。こどもを連れて行ってもOK!というこの企画をプロデュースしたのは、「こどもうちゅう」や「greenz.jp」のライターで一児の母でもある佐藤有美さん。

http://www.cotoconton.com/#!pdx2016/cghg

 

森ノオトの2020年のビジョンを描いた時に、「ポートランドが今、世界中から注目されているように、私たちの地域を、お母さんたちがエコな経済循環の主体となって仕事を動かしている先進地にしていきたい」と語った私。その時の枕詞で必ず「……行ったことないけど」をつけていたのですが、こどもと一緒に憧れの地に行けるなんて!! 「お母さん」という概念には「こども」が対になっていて、お母さんが安心してイキイキ働くには、こどもが安心して受け入れられる地域であることが必要です。こどもを一人の人間として尊重し、歓迎してくれるこのツアーだからこそ、私たちが行くべきものなのだと思いました。

 

 交差点ペインティングでは、こどもも楽しめるような工夫が随所にあって、老若男女が1日を楽しんでいた

交差点ペインティングでは、こどもも楽しめるような工夫が随所にあって、老若男女が1日を楽しんでいた

 

 

決めてから行くまでは約2カ月。毎日仕事も忙しいし、子育てもあって、準備もままならないまま、2冊の本を購入しました。

 

 

現地でプログラムをコーディネートしてくれたユリ・バクスターニールさん。とびきりの美貌と知性、情熱の持ち主

「ガイドブックには載らない、ポートランドの日常を体感してほしい」と、現地でプログラムをコーディネートしたユリ・バクスターニールさん。とびきりの美貌と知性、情熱の持ち主

 

この本を片手に、現地でプログラムをコーディネートした日本人・ユリ・バクスターニール(Yuri Baxter-Neal)さんのつくったパンフレットと友人からの情報をノートに貼り付け、6月8日(水)から6月15日(水)までの8日間の旅をスタートしました。ユリさんは、母親もこどもも、ありのままを受け入れる多様性のまち・ポートランドの日常を丸ごと体験できる「Life Sampling」という活動をしていて、このプログラムはまさに現地の人に混じってポートランドの生活に溶け込むことのできるものでした。

 

同行の楽しいメンバーは、私の1歳9カ月の次女、船本由佳さんと3歳9カ月の長男くん、そして建築家で森ノオトリポーターの山川紋さん。現地で会う参加者メンバーは17人、地域や社会をよくしようとそれぞれの分野で活躍するソーシャルアクティビスト(旧来の市民活動家たちとはまた違う雰囲気なので、あえて横文字にしています)たちで、さらに7人のこどもたちが海を越えてやってきて……!

 

 

私たちの6日間の旅

 

<6月8日(水):ダウンタウンのまち歩き>

 

 ポートランドの象徴とも言える「ACEホテル」は、ロビーが市民向けに無料で開放されていて、コーヒー片手にインターネットや読書に興じる人が多い

ポートランドの象徴とも言える「ACEホテル」は、ロビーが市民向けに無料で開放されていて、コーヒー片手にインターネットや読書に興じる人が多い

 

日本発6月8日(水)15:45の便に乗り、ポートランドへは6月8日(水)8:45に到着。時差っておもしろい。

初日はUberに乗ってダウンタウンへ(インターネットで配車するタクシーのようなもの)。有名なACEホテルや、アウトドアのショップ「KEEN」などを見て、宿(Airbnb:エアビーアンドビー。インターネットで民泊を予約するシステム)で夕ごはん。全米チェーンのオーガニックスーパーマーケット「WholeFoods Market」でお惣菜を買って食べる。

 

<6月9日(木):DIYをめぐる旅と参加者の顔合わせバーベキュー>

 

ミシシッピ通りにある「Rebuilding Center」。DIY文化が根付いているアメリカならではの風景。廃材を活用するのでエコの視点からも素晴らしい取り組み

ミシシッピ通りにある「Rebuilding Center」。DIY文化が根付いているアメリカならではの風景。廃材を活用するのでエコの視点からも素晴らしい取り組み

 

South Eastエリアにあるシェア工房「ADX」を見学し、アウトドアショプ「Next Adventure」やホームセンターを見て回る。最近人気のミシシッピ通りへ向かい、ウィンドウショッピング、そして最大の目的地の一つである「Rebuilding Center」へ。巨大な廃材活用マーケットでは山川さんの建築家魂が炸裂。

16:00よりツアーの参加者の顔合わせ、オリエンテーション。パーマカルチャーデザインの会社経営者でもあるジュリアンさんの家でバーベキュー。

 

<6月10日(金):パーマカルチャーとアウトドア教育のワークショップ>

 

Jeans Farmでパーマカルチャー(循環型で有機的な農業やライフスタイル)を実践し、教えているマット・ビボウ氏による講義。ゲルの中でおこなわれた

Jeans Farmでパーマカルチャー(循環型で有機的な農業やライフスタイル)を実践し、教えているマット・ビボウ氏による講義。ゲルの中でおこなわれた

 

South EastエリアのJeans Farmでパーマカルチャー教育とアウトドア教育のワークショップに参加。自然界のエコシステムを学び、体験するプログラムでは、マット・ビボウ氏のレクチャーのあと、収穫体験やピザ焼きなどを楽しむ。

 

広大なJeans Farmの中をツアーして、水源を探検したり、動物の足跡を探し、大人も童心に戻った

広大なJeans Farmの中をツアーして、水源を探検したり、動物の足跡を探し、大人も童心に戻った

 

<6月11日(土):VBC(Village Building Convergence)への参加>

 

ファーマーズマーケットは地元の人から観光客までおおぜいの人で賑わう。地産地消でオーガニック、ジュースのビンはリユースでデポジット。とてもエコ!

ファーマーズマーケットは地元の人から観光客までおおぜいの人で賑わう。地産地消でオーガニック、ジュースのビンはリユースでデポジット。とてもエコ!

 

宿から歩いて10分ほどのところにあるハリウッドファーマーズマーケットで、地産地のオーガニック野菜、ジュースやはちみつなどの買い物。

 

昔、敷地の中に鳥居があったJeans Farm。どこか神秘的な空気が漂うこのファームに、もう一度鳥居を立てたいというマット氏の希望に沿い、日本人グループで鳥居用の丸太の皮むき

昔、敷地の中に鳥居があったJeans Farm。どこか神秘的な空気が漂うこのファームに、もう一度鳥居を立てたいというマット氏の希望に沿い、日本人グループで鳥居用の丸太の皮むき

 

お昼からは前日と同じJeans Farmで、おにぎりや味噌汁などの日本食をつくり、広大な敷地の中で、畑に水路をひく、畑の雑草とり、アウトドアキッチンの柱梁をつくる、鳥居のための丸太の皮をむくといった作業に参加。「みんなでコミュニティの場をつくる」という体験は、言葉の壁を越えてローカルとも交流できる貴重なひとときだった。

その後、ローカルグローサリーストア「New Seasons Market」で夕食と買い物。

 

<6月12日(日):シティリペア「交差点ペインティング」への参加>

 

日本でも注目を集める交差点ペインティング。楽しそうに見えるが、この実現までは半年以上の入念な準備と調整が必要だ

日本でも注目を集める交差点ペインティング。楽しそうに見えるが、この実現までは半年以上の入念な準備と調整が必要だ

 

近隣住民たちが、単なる交差点を「みんなの集える交差点」に変えていくための、「シティリペア」のイベント。地域のアーティストや活動家のサポートを得て、地域住民が「交差点という空間を場所に変える」ために、議論を重ね、合意をとり、行政と交渉し、関わりを深めていくプロセスに深い意味がある。

近隣住民50人以上、こどもはもちろん、高齢者、車椅子の人、ミュージシャンにダンサーにスケートボーダー、そして日本人の集団まで! 多様な人が入り混じり、交差点がかけがえのない「コミュニティの場」になっていく特別な1日を体験!

 

<6月13日(月):ポートランドの今を知る、中心部のまち歩き>

 

ティリッカムクロッシング橋は2015年秋に開通したばかり。ティリッカムとは先住民の言葉で「人々の」という意味。ポートランドの象徴とも言える

ティリッカムクロッシング橋は2015年秋に開通したばかり。ティリッカムとは先住民の言葉で「人々の」という意味。ポートランドの象徴とも言える

 

ポートランド市12本目の橋で、人と、自転車と、ライトレールのためのティリッカムクロッシング橋(車は通れない!)を渡り、中心部へ。パール地区にある3つの公園を訪問、リノベーションで最高クラスの創エネ・省エネ建築の見学。1階がまちに開かれた商業施設、2階から5階までがオフィス、6階以上が住居という「ミクストユース」で、昼夜間で人の行き来が止まらないまちづくりを実現している。

 

パール地区にある3つの公園は、それぞれにテーマがあり、人々が「集う」ための仕掛けに満ちている

パール地区にある3つの公園は、それぞれにテーマがあり、人々が「集う」ための仕掛けに満ちている

 

全米1の個人書店「パウエルブックス」は、古本も新刊本も一緒に売られていて好きな状態を選ぶことができ、ポートランド発のアウトドアショップ「POLAR」でお買い物。個人と企業からの廃品・廃材の寄付で文具から食器、布、生活用品まであらゆるものをリユース販売している「SCRAP」で、廃材を使ったアートのワークショップを体験。そして、それぞれまちあるきのあと、全員で旅の感想をシェア。

 

家庭やオフィスの廃品を寄付で集め、それを販売したり、アートに活用している「SCRAP」は、ポートランドのリユース文化の象徴とも言える

家庭やオフィスの廃品を寄付で集め、それを販売したり、アートに活用している「SCRAP」は、ポートランドのリユース文化の象徴とも言える

 

<6月14日(火):帰国、6月15日(水)15:45成田着>

 

ポートランドの6日間を一緒に過ごした船本、山川、北原と、母に付き合ってくれたこどもたち

ポートランドの6日間を一緒に過ごした船本、山川、北原と、母に付き合ってくれたこどもたち

 

名残惜しいが、ポートランド生活もこれでラスト。とても美しい一軒家の宿・主人のトムにお礼を言って、日本へ帰国。

ポートランドで出会ったそれぞれの今後、特にこどもたちがどんなコミュニティで育まれていくのかが楽しみ……。

 

みんなで同じ目的に向かって「空間」をつくる。かけがえのない仲間たち

みんなで同じ目的に向かって「空間」をつくる。かけがえのない仲間たち

 

今後、以下のテーマで連載をしていきます。お楽しみに!

・エコロジーとサスティナビリティ(担当:北原)

・シェアとメイクのライフスタイル(担当:北原)

・住まいと建築とDIY(担当:山川)

・ママとこども(担当:船本)

・まちづくりと水辺環境(担当:船本)

ライター紹介

北原 まどか

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山形出身で月山から名前を受ける。2004年より青葉台暮らし。地域新聞記者・エコ住宅雑誌の編集部を経てフリーに。地球温暖化対策専門メディアの取材班、生協の広報、地域情報雑誌の編集など、暮らし・食・子育て・地球環境・エネルギーをテーマに執筆活動を行う。2009年に長女を出産後、地域で仕事をつくり、つなごう!と、『森ノオト』をスタート。3.11を機に足下からのエネルギーシフトを目指す市民団体「あざみ野ぶんぶんプロジェクト」を立ち上げ、活動は市民電力会社「たまプラーザ電力」へと続く。著書に『暮らし目線のエネルギーシフト』(コモンズ刊・2012年)がある。  ■オフィシャルサイト「http://tecology.strikingly.com

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