わが家に火鉢がやってきた! 火鉢のある都市生活
リポーターの松岡美和です。私、ついに、憧れのマイ火鉢を手に入れました! 賃貸マンション暮らしで、3歳になったばかりの幼い子どもがいる松岡家。そんなわが家の、火鉢を手に入れるまでのエピソードから、火鉢を使う時の工夫などをお伝えしたいと思います。(Text:松岡美和)

昨年末、近所に住む織茂さんのおうちで火鉢の使い方を体験させてもらった記事を書きました。

「やっぱり火鉢が欲しい!」

そう思った私は、年末年始に帰省した時に、夫の祖母の家と私の祖母の家にどんな火鉢があるのかを探りました。

年末、夫の祖母の家で見せてもらったのは、「関西長火鉢」と呼ばれる火鉢でした。木製で囲炉裏のようでとても立派なのですが、大きくて場所を取り、家具のようで動かすのも大変です。さすがに借家住まいのわが家にこの大きな火鉢が入るところは想像できませんでした。

夫の祖母の家にあった関西長火鉢。ふたが付いているので、ちゃぶ台のように使えなくもない

夫の祖母の家にあった関西長火鉢。ふたが付いているので、ちゃぶ台のように使えなくもない

一方、私の祖母の家の階段の脇には、手あぶり火鉢がいくつか積み重ねて置いてあるのを何年も見ていて知っていました。手前に置いてあった大量の段ボールをどかし、火鉢の中を覗いてみると、中には灰が入っていて、錆びた火箸や五徳もありました。

「わ〜い! そのまま使える♪」と思ったものの……

火鉢を外に出し、中をよくよく覗いて見てみると、なんと灰の中にはタバコの吸殻が山ほど入っていました。祖母の家には七輪も炭もあり、すぐにでもお餅を焼いてみたい、とワクワクしていた私。タバコの吸殻を見て、「あぁ、ひいおばあちゃんもおじいちゃんもヘビースモーカーだったんだ〜」と生きていた頃の昔を思い出しながらも、すっかり餅を焼いて食べる気がなくなってしまいました。吸殻を取り除いたとしても、タバコの灰の上でお餅を焼いたら、体に悪そうな気がしたのです。

私の祖母の家にあった陶製の手あぶり火鉢。他にもたくさんあったらしいが、割れてしまったのだとか。灰皿代わりに使われていたとは……

私の祖母の家にあった陶製の手あぶり火鉢。他にもたくさんあったらしいが、割れてしまったのだとか。灰皿代わりに使われていたとは……

残念に思いながらも、中に入っていた灰を捨て、家族からは「え〜、火鉢持って帰るの? マンションじゃ危ないんじゃない?」と散々言われながらも、火箸、五徳、火おこし機と一緒に段ボールで梱包し、鷺沼の自宅に送ることにしました。火鉢は紺色で中くらいの大きさのものを選びました。灰を捨てると、火鉢本体は意外と軽いんです。何も入っていない大きめの素焼きの植木鉢なんかを持ち上げるところを想像してみてください。

こうして、鷺沼のわが家に火鉢はやってきました。

「灰はどうしよう?」 と思い、早速インターネットで「火鉢 灰」と検索にかけてみました。一番トップに出てきた会社のサイトを見てみたら、火鉢の大きさに対してどのくらいの量の灰が必要かなど、欲しい情報が詳しく書いてありました。オークション等も検討したのですが、灰に放射能の心配がないことなど記載されていたのも魅力的で、こちらで購入することに決めました。わが家の火鉢は直径39cmの丸型です。灰は20リットル(約14kg)用意することにしたのですが、これが1万円と結構高くつきました。

ちなみに、灰の産地は枕崎なのだとか。鰹節で有名なこの地名を見ながら、あぁ、たくさんの鰹節を作るためにたくさんの木が燃やされ、灰になっていくのだな……と鹿児島に思いを馳せました(ついつい、鰹節の作り方まで検索してみちゃったのでした)。

ついでに、「火消し壺」も一緒に購入することにしました。子どもが小さいので、火のついた炭を火鉢の中に置いたままにしておくわけにはいきません。使わない時には、そのまま燃え尽きて灰になるまで置いておくのではなく、火消し壺の中で消火した方が、炭の節約にもなると思いました。

祖母宅から持ってきた火鉢(右下)と、ネットで注文した木灰(きはい)と火消し壷

祖母宅から持ってきた火鉢(右下)と、ネットで注文した木灰(きはい)と火消し壷

そして、肝心の炭のお話。

炭はホームセンターなどで売っているので、比較的どこでも手に入りやすいと思います。実は、私のひそかな趣味に「懸賞」があるのですが、なんと、新聞の懸賞で段ボール1箱6kgの炭(1名様に!)が当選したのです。国産のくぬぎの炭で、切り口が菊の花のようです。完全な丸型ではなく、茶道などでも使われるお茶炭としては規格外なんでしょうけど、十分に美しい炭です(おそらく、購入すれば5千円程度)。

断面が美しいくぬぎ炭。樹皮が離れていたり、まん丸でなかったりするので、一級品よりは多少劣る

断面が美しいくぬぎ炭。樹皮が離れていたり、まん丸でなかったりするので、一級品よりは多少劣る

調べてみると、炭にも使用期限のようなものがあるみたいです。匂いや水分などを吸着しやすいため、早めに使用した方がよいそうです。炭は水を浄水したり、除湿や消臭に使ったりといろんな使われ方がありますが、例えば、トイレなどの消臭に使っていた炭などを燃やすと嫌な臭いまで出てくるというのだから、なんでも燃料にしてよいというわけでもなさそうです(使えないわけではないのですけどね……)。

この他に、火ばさみの代わりとしてトング(閉店する魚屋さんでいただきました)・軍手・空き缶のフタ(火おこし機の下に当てて、炭の火の粉が落ちないようにするための代用品)・焼き網を用意しました。そして、ちょうど実家から、娘のおひな祭りにと、手作りの3色(青のり・ごま・桜エビ)のし餅が届きました。

左上から火消し壷、火消し壷のふた、トング、火おこし機(その下に空きカンのフタ)、軍手

左上から火消し壷、火消し壷のふた、トング、火おこし機(その下に空きカンのフタ)、軍手

風がない日のベランダで、火鉢に灰を入れました。

購入した灰に添えられていた注意書きの通りに、火鉢の中に灰の入った袋を逆さまにしていれ、そ?っと抜き取る。こうすることで灰がぶわっと舞い上がることが防げる

購入した灰に添えられていた注意書きの通りに、火鉢の中に灰の入った袋を逆さまにしていれ、そ〜っと抜き取る。こうすることで灰がぶわっと舞い上がることが防げる

購入した20リットルの灰のうち、4分の3ほどを入れた。火鉢の淵から7?8cmほどの深さになった、ふかふかの灰。使っていくうちに少し沈むらしい

購入した20リットルの灰のうち、4分の3ほどを入れた。火鉢の淵から7〜8cmほどの深さになった、ふかふかの灰。使っていくうちに少し沈むらしい

さぁ、準備万端! いつでもOK!

……と、いきたいところでしたが、使い始めるタイミングを見つけるのも考えものでした。なにせ、娘は3歳。母と子の二人っきりでいるときに、目が離せない炭火を使うのは怖いなと思ったからです。そして、時間帯ですが、午前中は家事などでなかなか忙しい上に、昼食後は昼寝をするのが娘の日課となっています。夕飯のタイミングで火鉢を使ってみることに決めて、夫の仕事が休みで、家族3人揃う日を待ちました。

3月初め、やっとやってきた夫の休日、16時過ぎから火鉢初挑戦です。具沢山の豚汁を用意しておき、あとはお餅を焼いて食べるだけ、という簡単な晩ごはんにすることにしました。

以前、織茂さんのおうちで体験したときは七輪で火をおこしたのですが、今回は火おこし機に炭を入れてガスコンロにかけることにしました。ところが、なんと、なんと! わが家のガスコンロは消火機能のセンサーが付いており、火おこし機が熱くなるためなのか、すぐにピピッと言って火が消えてしまうのでした。遠火にしたら大丈夫かなと、持ち上げてセンサーから離しても、付けっぱなしと判断されるのかまた消えてしまいました。

ガスコンロに火おこし機を置いての火おこし。これがなかなかうまくいかなかった。火おこし機は卓上のカセットコンロでは絶対に使用してはいけないそう。爆発の危険性があるため

ガスコンロに火おこし機を置いての火おこし。これがなかなかうまくいかなかった。火おこし機は卓上のカセットコンロでは絶対に使用してはいけないそう。爆発の危険性があるため

ガスの火が消えるたびにつけなおしたりしながら、強火で約5分。炭が赤くなってきて、時々、パチパチッと火の粉をふきました。念のために火おこし機の下に空き缶のフタを当てて、火鉢まで素早く移動させました。灰に穴をあけ、中央に炭を置きました。火鉢の淵に網をそのままのせて、お餅をのせました。

炭は火のついた方を上にして、半分ほど灰の中に埋めた

炭は火のついた方を上にして、半分ほど灰の中に埋めた

火鉢は和室の窓際に置きました。換気は1時間に2〜3回でよいらしいのですが、今回は窓を少し開けたままにし、隣の部屋の窓も少しあけた状態にしておきました。3月に入ったとはいえ、夕方はさすがに寒いので、家族3人愛用のちゃんちゃんこを身につけました。

ここまでくると、あとは楽。といっても、たいして時間はかかっていない。ぷくっと焼けたお餅に醤油をつけ、海苔を巻いて食べた

ここまでくると、あとは楽。といっても、たいして時間はかかっていない。ぷくっと焼けたお餅に醤油をつけ、海苔を巻いて食べた

18時まで、と決めていたので、残った炭はベランダに置いた火消し壷の中へ移しました。「どこか遠くに遊びに行くより、贅沢な遊びだねぇ」と言いながら、初めての火鉢は終了。2時間弱でしたが、とても楽しい時間が過ごせました。

残った炭は火消し壷の中に入れ、酸素を遮断するために確実にフタをする。あらかじめ移動させなくても良い場所に置き、数時間は素手で触らないこと

残った炭は火消し壷の中に入れ、酸素を遮断するために確実にフタをする。あらかじめ移動させなくても良い場所に置き、数時間は素手で触らないこと

翌日。火消し壷の中を覗いてみたところ、思っていたよりも、炭は残っていました。

火消し壷の中の消し炭

火消し壷の中の消し炭

後日、娘が寝た後、仕事から帰ってきた夫と二人だけで火鉢をやってみました。前回の残った炭を火おこし機にのせました。センサーでガスの火が消える度につけ直すのは同じでしたが、前回よりも火はつきやすかったです。

消し炭は火がつきやすい

消し炭は火がつきやすい

途中で、火の付いていない炭を1本、火鉢の中に足しました。赤くなった炭の横に置いておくだけでも、火がつくのでこれは便利です。

食事の横で、お餅を焼いたり、スルメを焼いたり。夫はお酒を飲みつつ……

食事の横で、お餅を焼いたり、スルメを焼いたり。夫はお酒を飲みつつ……

私は晩ごはんを食べたあとだったので、夫に付き合って一緒に食べていたら太ってしまうな〜とは思いつつ、焼きたてのお餅の誘惑には勝てずに食べてしまいました(笑)。夜中の火鉢もなかなか良いなぁと思いました。他にやりたいことがあっても、火鉢から離れられなくなるところが、弱点といえば弱点でしょうか。

火鉢を使う際に、一番大事なのは、時間の余裕かなと思いました。暖房的要素は薄く、ゆとりがあって初めて楽しめる、「遊び」だなぁと感じました。手元はじんわりと暖かく、見ているだけでも癒されます。

今後は、灰ならしなどの小物類を集めたいです。新しく買うのではなく、どこかに眠っていないか探してみたいと思います。それから、やっぱり炭火は良いですね。炭についても、色々と調べてみたいなぁと思いました。

わが家の火鉢ライフはまだまだ始まったばかり。新しい楽しみを増やしながら、気長に付き合っていきたいです♪

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