3/7(土)「たねダンゴで花壇づくり名人になろう!」開催。たねダンゴとは??考案者・小杉波留夫さんにお話を聞きました
3月7日(土)に青葉区役所にて、グリーンアドバイザーの新井裕之さんを講師にお招きして、小学生の親子向けに「たねダンゴで花壇づくり名人になろう」というイベントを開催します。たねダンゴとは一体?? 新井さんの勤務する会社の先輩であり、たねダンゴ考案者でもある小杉波留夫さんを訪ね、たねダンゴ誕生にまつわるお話を伺ってきました!

小杉波留夫さんは、小学生の頃から園芸が好きで、横浜市都筑区に本社を構える種苗会社「サカタのタネ」に18歳で入社しました。42年間勤め上げたのち60歳で定年退職。その後も嘱託スタッフとして5年間サカタのタネが運営するガーデンセンター横浜にて、毎週土日に園芸ミニ講座などを開催するなど、花や野菜の植え方や育て方、楽しみ方を教える園芸相談員として活躍しました。

 

また、定年を機に自宅の半地下室を改装して「横浜園芸研究所」を設立。小杉さんは現在もなお、園芸や植物に関する研究を続けており、グリーンアドバイザー(植物の育て方についての正しい知識や、園芸・ガーデニングの魅力や楽しさを伝えることができる人)の資格認定を行う公益社団法人日本家庭園芸普及協会の情報誌で連載執筆も行っているそうです。

 

 

港北区にある小杉さんのご自宅兼「横浜園芸研究所」(写真:梅原昭子)

半地下の秘密基地のような研究所に足を一歩踏み入れると、窓辺にはたくさんの松ぼっくりや宙に浮いた植物が!

 

たねダンゴが生まれたのは、2011年に起こった東日本大震災がきっかけでした。小杉さんは当時、公益社団法人日本家庭園芸普及協会のグリーンアドバイザー委員会副委員長をしており、協会の復興支援委員会の委員長をすることになりました。当初は花苗や土、プランターやスコップなどの物品を被災地に寄付し、被災地にいるグリーンアドバイザーと共に仮設住宅の住人の方々と一緒に花を植える活動をしていました。しかし、震災から1年、2年と経つうちに段々と寄付を集めるのが難しくなってきました。そこで、花苗を贈り続ける「モノの支援」ではなく、花づくりのノウハウを提供していく「コトの支援」であれば、ずっと支援を続けていけるのではないかということで、花苗ではなく種を贈ることになります。

 

ところが、被災地で種播きをしても、風で飛んでしまったり、大雨で流れてしまったりと、うまく花を咲かすことができない事例が続きました。

「そんな時、被災地のグリーンアドバイザーが保育園の子どもたちと一緒に種播きをする際、園庭の砂を泥だんごにしてそこへ種を混ぜ、穴を掘って泥だんごを植えました、というレポートが上がってきたのです。すごく良いアイデアだと思いました」と小杉さん。

ところが、その保育園の花づくりは失敗に終わり、植物は育たなかったといいます。

小杉さんは失敗の理由を「アイデアは良かったのだけれど、サイエンスが無かったから」と分析します。それから、小杉さんはこのアイデアをどうアレンジしたら、花づくりを成功させることができるかを考え、研究しました。その結果、泥だんごに花の種だけでなく、土壌改良材や肥料なども加え、子どもからお年寄りまで、だれでも簡単に花づくりが楽しめる、たねダンゴという種蒔き方法が誕生したのです。

 

たねダンゴ考案者の小杉波留夫さん(左)と3月7日(土)の「たねダンゴで花壇づくり名人になろう」で講師を務めるグリーンアドバイザーの新井裕之さん(右)

 

たねダンゴは、まずケト土と赤玉土を7:3の割合で混ぜて泥だんごを作ります。ケト土とは、湿地や沼などの水生植物が枯れて水底に長期間にわたって堆積し、粘土状になった土のこと。他の園芸用土で泥だんごを作ろうとしてもお団子状にするのは難しく、すぐに割れてしまいますが、ケト土を使うことで、泥だんごに弾力とほどよい湿り気を与えることができます。また赤玉土を混ぜる際には水分が必要になるため、発芽を促進する水として、二価鉄イオン水を加えます。鉄は植物の成長にとっては必要なミネラルですが、水分に触れると錆びてしまい、錆びた鉄は植物が吸収することができません。そこで、錆びていない鉄分を含む二価鉄イオン水を使います。

さらに、泥だんごは、乾燥するとカチカチに硬くなってしまうため、それを防ぐために、土壌改良材として多目的に使われるケイ酸塩白土(秋田県で産出される白い粘土)を加えます。ケイ酸塩白土は、水を含むとふくらみ、乾くと縮むという性質があるため、たねダンゴを水と空気を含んだ柔らかい土に戻す役割をします。

また、発芽した植物の初期の栄養を支えるため、肥料も加えます。しかし、水溶性の化成肥料の場合、発芽前に水で流れてしまいます。植物は生長する際、根っこからクエン酸を出し土壌中のミネラルを溶かしながら吸収するのですが、その作用を利用した、クエン酸で溶ける肥料も泥だんごの中に入れます。

こうして作られた泥だんごに、最後に花の種(10種類ほどを混ぜたもの)を加え、仕上げに植え付ける際に目印となるようケイ酸塩白土の粉をだんごの周りにつけたら、たねダンゴの完成です。

 

たねダンゴ(写真提供:小杉波留夫さん)

 

福島県南相馬市の休耕地がたねダンゴによって、お花畑に(写真提供:小杉波留夫さん)

 

たねダンゴは、当初被災地の復興支援として考えられたものでしたが、「みんなで作業をして花壇を作れるのが良い」と、小学校の授業や保育園、老人ホームなどの活動でも取り入れられ、全国都市緑化フェア(公益財団法人都市緑化機構が全国各地で開催する花と緑の祭典)をはじめ、全国各地でたねダンゴを使った花壇づくりが行われるようになりました。

小杉さんも全国各地のグリーンアドバイザーに、作り方を教える「たねダンゴ講師養成講座」などを行い普及してきました。

 

「想定外だったのは、たねダンゴが園芸的なコミュニケーションツールになったことでした」と話す小杉さん。これまで種蒔きはどちらかというと孤独な作業のイメージがありましたが、たねダンゴだとみんなでワイワイ種播きができる。しかも、花が咲いたらきれいな花壇ができる。そして、花苗を植えるより低予算でできる。そういったことも、たねダンゴが普及した要因になったのです。

過去には、過疎化した地域の休耕地を「たねダンゴでお花畑にする」という町おこしのプロジェクトに活用されたこともありました。

 

たねダンゴは、見た目は手のひらに収まる小さな泥だんごですが、小杉さんの長年の経験と豊富な専門知識がギュギュっと凝縮され詰め込まれて作られており、また、これまで様々な地域で活用されてきたように、人と人をつなぎ、人と花をつなぐ、そんな大きな可能性を秘めたスーパー泥だんご=たねダンゴなのだと思いました。

 

そんな、たねダンゴを考案し、植物のことを熟知している小杉さんに、植物との付き合い方についてアドバイスを伺いました。「植物と仲良くすることは楽しいです。人と違ってノーストレスで接することができます。常識にとらわれずに、植物のことをよく見てあげる、毎日見てあげるということが大切です。そうすれば、何らかの答えが植物から返ってきますよ」とのこと。特に「常識にとらわれない」ということを強調していた小杉さん。教科書通りに植物を育ててもうまくいかないことなんてしょっちゅうだといいます。「枯らしてしまったこともあるし、枯らさないと植物のことが分からないよ」と話されていたのが印象的でした。

とにかく植物と仲良くしたい気持ちで毎日気にしてあげる。そうすれば、ちょっとした変化にも気づくことができ、それを見つけることが植物との対話になるのです。

 

昨年度から森ノオトが青葉区と共に取り組んでいる「フラワーダイアログあおば~花と緑の風土づくり~」では、花や緑を通して地域の方々とも対話を深めています。

3月7日(土)開催の「たねダンゴで花壇づくり名人になろう」では、主に小学生の親子を対象にたねダンゴが花壇になるまでのお話と、土の不思議を知って、花の命や土の生物への理解を深めます。

 

講師の新井裕之さんは、グリーンアドバイザーとして、青葉区内のいくつかの園芸サークルの活動を支援しています。そのほか、横浜市内の小学校での花壇づくり支援者への指導をするなど、地域活動でも活躍しています。植物の育てかたについて、わからないことがあったら、なんでも聞いてみてください。

持ち帰ったたねダンゴを身近な場所に植えて、花が咲くまで、お世話して、花壇づくり名人を目指してください! 許可がもらえたら、公園や学校の花壇づくりにも挑戦してくださいね。

Information

フラワーダイアログあおば~花と緑の風土づくり~

「たねダンゴで花壇づくり名人になろう」

日時:3月7日(土)10:30~12:30

会場:青葉区役所4階会議室(青葉区市ケ尾町31-4)

参加費:無料

定員:小学生の親子30組

 

申し込み方法:event@morinooto.jpに①参加者全員のお名前②申し込み者の住所③メールアドレス④電話番号⑤保育の有無をお書き添えの上、メールでお願いします。Eメールをお持ちでない方は、上記内容を明記の上、青葉区企画調整係へFAX(045-978-2410)でお申し込みください。

 

未就学児の保育のお申し込みは、開催2週間前の2/21(金)までにお願いします。お申し込み時にお子さんのお名前、性別、月齢をお書き添えください。

 

持田 三貴子
この記事を書いた人
持田三貴子ライター
樹木医で造園業3代目の夫とともに、都市生活に森のような循環を生み出すべく、Earth Worksという夫婦ユニットとして活動中。結婚を機にナチュラルなライフスタイルにどっぷり浸かり、いつの間にか3児の母に。横浜市都筑区で夢の民家暮らしをスタート、「竹隣庵」と名付け住み開きを目指している。
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