とろとろと、ごつごつ。田んぼの準備で土の違いを感じる。
 田んぼの周りの草や木を刈り、くろ切り・くろ塗りを終えると、いよいよ田んぼの中の準備になる。第一弾は「田起こし」。田んぼを耕し、土を細かくする作業だ。(寄稿:田中)

季節は4月の中旬。はじめは、昨年収穫した稲の根っこを、鍬で掘り出しひっくり返していく。根はかなり深くまで伸びていたのだろうか、結構掘り出しにくい。土の栄養分を十二分に吸収し、お米を実らせてくれたと感じた。この作業は、時間はかかるが、単純な繰り返しで小学生にでもできる。見習い中の私にはふさわしい。根っこに感謝しながら、繰り返し続ける。

11月頃、稲刈の後の田んぼへ行くと目にする光景がある。稲の茎の間から、新しい若い緑の稲が伸びているのだ。それは、稲の根がしっかり生きている証拠。暖かい地方では、このまま伸びて二毛作、ということになるそうだ。お米に育つかは、土の栄養分がどの程度残っているかによるが。私たちの田んぼでは気温が下がり、この若い稲は自然と枯れていく。でも、周囲の緑も少なくなる頃、目を楽しませてくれて、稲の生命力の強さも感じさせてくれる。

田起しの作業は、稲の掘り返しの後にもいくつかの作業があると思う。でも、今年の体験ではそこまでだった。

田起こしから1カ月後、「代かき」の作業に参加した。場所は、NPOの会員の人たちが中心に作業をするどんぐり農園だ。田んぼに水が張られている。よーく眺めてみると、水面近くに土が見え隠れする部分や、逆に水で土がまったく見えない部分がある。おそらく土に凹凸があるのだろう。所々に稲の根が浮いていたりもする。

田んぼの中に入ると、水が少し冷たい。ちょっと身震いしながら足を入れると、土の違いを感じる。少し前まで農薬を使用していた田んぼとの違いだ。どんぐり農園では、足はひざ下まで、ズブズブと入り込んでしまう。とろとろと、ごつごつ。言うまでもなく、農薬を使っていない土は、とろりとしてまろやかだ。

「代かき」に使う道具は、グラウンド整備に使う木製のトンボだ。そのトンボで田んぼの端から順番に土を掻き混ぜていく。土の凹凸を水平になだらかにして、土を落ち着かせることが大切。この出来不出来が、田植えの際、か弱い苗の植えやすさに影響する。

外界と遮断されたような森の中の田んぼでの、一人の作業。先輩が帰った後、もくもくとグラウンドを整備する下級生のようだ。体が少しずつ温まってきて、ひんやりとした空気が心地よかった。

 

根を掘り返した後は、モグラの巣のようだ

 

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