初めてお会いする内藤さんがどの方かはすぐに分かりました。
「(野菜の)花はこうやって向けてあげるんだよ」。熱心に畑仕事を教えている男性が目に飛び込んできました。
以前から内藤さんのウワサは聞いていました。いろいろな野菜や果物を有機栽培でつくり、しかも安くて、販売する先々で人気なのだと……。スーパー農家さん♪ なんて勝手に想像していたこの方が内藤さんなんだ!
「こんにちはー!」。声をかけると内藤さんはにこやかに近づいてきてくれました。
青葉グリーンファーム代表内藤泉さん、52歳。14、5年前から趣味で農業を始め、ここ2、3年ほど前から本格的に有機農家として活動しているそうです。
前職は生協の職員として野菜の商品調達部で敏腕を振るっていたのですが、「野菜を売るよりもつくるほうが楽しい!」と専業農家に転身。ちいさな畑から始めて、いまでは青葉区内に畑が約1800坪、田んぼ5反2畝もの敷地を耕し、汗を流す日々です。
「僕の畑は人参酵母菌で有機栽培をしています」
穏やかに、かつ誇り高い表情で、自慢の畑を案内いただきました。
人参をすりおろしてヌカをまぜて発酵させたこの酵母菌を土に混ぜると“地力”が上がるのだとか。地力とは平たく言うと“虫に負けないチカラ”。
野菜は定植の際に虫の被害を受けやすく、ここで農薬を使う農家さんが多いそうですが、農薬に頼らなくてもこの“地力”によって、野菜は生命力を培うことができるそうです。
実際にウリハムシにやられたキュウリの苗が、その1週間後には元気に育っている様子を見せていただきました。
「じっと待ってあげること。野菜だって定植した時は辛い時。がんばっているんだよ」
有機農業は酵母菌や堆肥を自分でつくってこそ! と自負するのは、野菜がよりよい環境で育つ手助けをしたいという思いからなのです。
さらに酵母菌によって土の中の微生物のバランスがよくなり、慣行栽培(農薬や化学肥料などを使う一般の農業)では難しい連作や輪作も、場合によっては可能だそうです。
発酵堆肥は保温性があるため、保木の畑は周囲に比べて地温も1℃ほど高く、厳しかった今年の冬の寒さの影響をあまり受けなかったというのですから驚きです。
そんな人参酵母菌による野菜づくりは、現在内藤さんのネットワークによって広がっています。
無人販売でお金をきちんと払ってもらえなくて残念な思いをしていた地元の農家さんに「人参酵母菌で野菜をつくらないか、その野菜を僕が販売するよ」と声をかけ、いまでは地元を中心に7名の農家さんが賛同してくれています。
地元青葉区を中心に、お隣の麻生区などにも仲間が広がり、そのおかげで年間40~50種の野菜の販売が実現。さらに今年は相模原の有機農家さんとも手を結びハーブの入荷も予定されているそうです。
「グループが大きくなったから販売にチカラを入れています。協力してくれている農家さんのためにもね」と内藤さん。現在たまプラーザ団地、中川、東名高速道路上り線の港北PA、たまプラ軽トラ市などで精力的に販売網を広げています。
土づくり、ネットワークづくりに続いて内藤さんが大切にしている思い……それは子どもにこそ安全で美味しい野菜を食べてほしいということ。
「良い野菜は子どもが食べなくちゃね。そのためには、高値では買えない人もいるから低価格を心がけています」。
もちろん定期的に放射能検査も行っており、いまのところどの野菜も放射性物質は未検出だそうです。
取材の最後に「これから目指す農業を教えてください」と伺ったところ、間髪なく返ってきた答えが「そりゃあ、日本全国無農薬野菜でしょう!」
最高の笑顔で頼もしいお言葉をいただきました。
さあ、子どものため、未来のために有機農業の根を張る内藤さんに、是非みなさんも会いに行ってください。
hitomi’s point
内藤さんの話を伺っていると野菜が育つ手助けをしながら、仲間のため、子どものためと、何かのために有機農業をされているのだと感じます。これぞまさしく有機的な農家さん!そして何よりそれがたのしくて仕方なさそうなのが印象的でした。
直売所:保木交差点そば(たまプラーザから新百合が丘方面、美しが丘西エリア)
TEL:090-8434-9656(内藤さん)
営業日:毎週火・木・土曜日直売(10:00〜17:00)
その他、青葉台駅から徒歩5分のGood Friend Caféでは毎週水曜日に「軒下マルシェ」を開催。青葉区内の郵便局の「旬マルシェ」でも内藤さんの野菜を購入することができる。森ノオトのトップページにある「森ごよみ」や「森のマルシェネットワーク」では、今月のマルシェ情報を掲載しています。
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