昼夕夜、1日3回でも行きたい!みんなの隠れ家カフェ、千草台・「カフェ ド アルミロ」
東急田園都市線藤が丘駅から坂道を歩いて15分ほどのところにある千草台は閑静な住宅街。その一角にある「農住ショッピングセンター」はシャッターが閉まりちょっと淋しげな雰囲気です。前を通り過ぎかけて「ん?」ふり向くとそこにはかわいらしい看板が。ニヤリ。見つけてしまいました、私の隠れ家的カフェ。遠く長崎からこの地にやってきた若夫婦が切り盛りする「カフェ ド アルミロ」です。(Text:中島美穂)

昭和時代にタイムスリップしたような雰囲気の「農住ショッピングセンター」。シャッター街に見えるけれど事務所などが入っていて空室は少ない

 

長崎の観光地、グラバー園のすぐ近くで10年に渡りカフェを営んでいた小高正道さん・千春さんご夫婦が、ここ千草台に引っ越してきたのは2011年の初めのこと。正道さんの故郷である青葉区で物件を探していたときに出会ったのが「農住ショッピングセンター」の一角でした。

 

ショッピングセンターができた30〜40年前当時は、千草台がバス停の終点ということもあり、お肉屋さんやお惣菜屋さん、駄菓子屋さん、薬局などの個人商店が並び、なんでも揃う商店街として、地域の社交場的な空間でした。オープン当時は人が押し寄せ動けないほどのにぎわいだったとか。しかし駅前が開発され、バス路線も延伸して北八朔方面の住人が下車しなくなり、また千草台の高齢化が進むにつれて一軒また一軒と店をたたみ、今のようなシャッター街に。

 

不動産屋さんに勧められたらちょっとひるんでしまうような場所ですが、ふたりにとっては自分たちが無理なく店を構えられる身の丈に合った物件に思えました。

 

小高正道さん、千春さん夫妻。2011年2月に引っ越してきた。直後に震災。「カフェどころじゃないんじゃない?」「こんな時代だからこそ心休まる場所が必要だよ」と、半年かけてお店をオープンした

 

「好きなように手を加えられそうだったし、長崎の観光地とは反対に地域に密着したお店にしたかったんです」とふたりは話します。

 

決定打は、物件内見の日に横浜マリノスの中澤選手の応援歌を歌う地元小学生にすれちがったこと! 実はご夫婦ともに大のサッカーファンで、マリノスこそご贔屓のチームなのです。「縁とか直感を大事にしたいじゃないですか」と笑う正道さん。

 

ステンドグラスのシェード、テキスタイルの壁紙……異国情緒とジャンクとナチュラルが同居する不思議な空間

 

店の内装は昨年の震災の影響で資材がなかなか届かないなか、正道さん千春さんがプロの手を借りながらも、壁を漆喰で塗り棚を組み立て、DIYでていねいにつくりあげていきました。手づくり感あふれる空間の中で、長崎からともにやってきたステンドグラスの照明や、千春さんの愛読する絵本と正道さんのサッカー雑誌、レトロな味わいの人形や雑貨など、ふたりが選び抜いたものたちに囲まれていると、まるで大切な隠れ家に招かれたよう。こぢんまりした店内の藤椅子にすっぽりと腰掛ければ、なんとも落ち着いた気分に浸れます。

 

お店で使っている波佐見焼き(長崎県の陶磁器)の器や小物も販売

 

BGMもハイセンスでお店の雰囲気にマッチしていますが、「音楽まで自分たちの趣味にしてしまうと押し付けがましくなってしまうから」(正道さん)と、選曲はDJでもある友人におまかせしているのだそうです。アルミロは特別な場所ではなく、日常の中でほっと一息つけて、訪れる人が自分の素に戻れるような空間にしたいという想いがあります。

 

プチスイーツの盛り合わせは、アフターヌーンティーとしても満足感いっぱい! すべてホームメイド

 

コーヒーとスイーツは正道さん、フードは千春さんの担当です。長崎から取り寄せる中山洋行の自家焙煎コーヒーは、元々千春さんのお父さんのお気に入りで、千春さんが昔から慣れ親しんだ味。こだわりのコーヒーをベースに「お客様にはたくさんの種類の中からお気に入りを選んでほしくて」(千春さん)と、ホットもアイスもバリエーション豊かに揃えています。さらにお手製スコーンとミニサイズのデザート3種類の盛り合わせに飲み物がついたセットを選べば大満足のティータイムに!

 

ランチの「アルミロごはん」。平田牧場の三軒豚をトマトで煮込んだフレッシュな一皿。サラダ、スープ、プチデザート、ドリンクつきで950円

 

ランチにはこの地で出会った青葉台・Bakery kumaの山形パンを厚切りにしたトースト(アンチョビチーズやクロックムッシュ、黒みつきなこと生クリームなど10種類ほどのバリエーション!)や、サラダ・スープ・飲み物・プチデザートがついたセットメニューも。お肉や野菜は主に生活クラブのものを使用しています。中でも人気なのが長崎時代からの定番メニュー「えだまめとひき肉のカレー」。北海道産の牛肉と平田牧場の三元豚のひき肉を使用し、ジューシーでフレッシュな食感。えだまめがアクセントになって相性ばっちりです。マイルドな辛さなのでママとお子さんとでシェアできそう。

 

こちらはえだまめとひき肉のカレー。お肉と野菜でヘルシーなお味!

 

そしてカクテルなどアルコールメニューも充実。仕事帰りにふらりと立ち寄っていく常連さんも多く、お客さんからのリクエストでレパートリーも増えていったそうです。

 

ランチにティータイム、夜帰宅前の1杯まで、アルミロはお客さんの様々なシチュエーションに合わせてくつろげるカフェなのです。

 

お店裏手もすごく可愛い。ふたりのセンスの良さが垣間みられる。駐車場は2台

 

 

店名の「カフェドアルミロ」は、長崎時代店を構えていた洋館にかつて暮らしていたというポルトガル人のアルミロ・デ・スーザーさんの名前にあやかり、長崎をこよなく愛した彼女の想いを受け継ごうと名付けられました。

 

千草台に移ってからもアルミロさんのように地元を想う気持ちを大切にするふたり。アルミロは開店後1年足らずで幅広い年代の地域住民の方にあたたかく受け入れられています。

 

農住ショッピングセンター開発当時からこの地を知る年代の方が、お子さんお孫さんと3世代で来てくれたり、ひとりでやってきた中学生から恋愛相談をうけたり、アルミロには心温まるご近所さんとのエピソードが絶えません。

 

「この街に出会えたことが何より。住民の方がオープンで屈託なく接してくれるから、私たちも心を開いてとけ込むことができるのだと思います」(千春さん)

 

「さらに地元のみなさんから愛されて気軽に入れる店にしたいです。他の街の人に紹介したくなるような店になったら嬉しいですね」(正道さん)

 

千草台で愛され始めたみんなの隠れ家アルミロは、ショッピングセンターに新たな息吹を吹き込んでいます。

 

miho’s eye

取材中、正道さん千春さんが何度も「お客さんが応援して支えてくれるおかげ」というお話をしていたのが印象的でした。そんなふたりだからこそ、これからますます地域に根付いて幅広い年代のお客さんに愛されていくのだろうなと思いました。実はアルミロは、7歳にして“カフェでお茶”が大好きなうちのおしゃまな長女のお気に入りの場所でもあります。「アルミロに行こうか」と誘うとテンション上がりまくり(笑)千春さんセレクトの絵本はどれもムスメのお気に入りで、「今日はどれを読もうかな」と目を輝かせます。アルミロは私にとってもムスメにとっても隠れ家みたいに大事なカフェ。この地にやって来てくれてありがとう!

Information

café de Almiro カフェ ド アルミロ

住所:横浜市青葉区千草台32-14 農住ショッピングセンター0(ゼロ)号室

TEL:045-482-6493

OPEN:11:00〜22:00 ラストオーダー21:00

定休日:ブログでご確認ください(火曜休のことが多いです)

アスセス:東急田園都市線藤が丘駅より徒歩15分

http://almirocafe.exblog.jp/

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