土・水・草・いきものとたくましく遊んで親子で育ち合う。青空自主保育「ぺんぺんぐさ」
ウィズの森で手に取ったチラシには、元気いっぱい野山をかけ回る子どもたちの写真がありました。なんだか楽しそう! この春、青空自主保育「ぺんぺんぐさ」を立ち上げたのは、3人のお子さんを育てている自然派育児ママと、里山保育を行う保育園に勤務していたベテラン保育士さん。「ぜひ遊びに来てください」と誘っていただき、気持ちのよい秋晴れの日に子どもたちに会いに行ってきました。
(text:中島美穂)

青空自主保育ぺんぺんぐさは今年の3月にスタートしたばかり。3人のお子さんを育てている鈴木景子さんは、以前森ノオトでも取材したプレイパークなどを運営する青葉区冒険遊び場づくりの会代表を務めてきた自然派育児のお母さん。彼女の一番下のお子さんは3歳の男の子です。

自主保育というのは、既存の幼稚園や保育園ではなく、保育者や保護者が運営し子どもたちを預けあって育てるも子育ての場です。鈴木さんは全国各地にある自主保育の活動を知ってから、仲間と一緒に自然の中で子育てしたいと憧れていたものの、自宅周辺の青葉台には自主保育をしているグループは無く、自分で立ち上げるのは高いハードルのように感じていていました。

そこへ、以前からの知り合いで里山保育園の勤務経験もあるベテラン保育士の「みえこさん」が「いっしょにやろうよ!」と背中を押してくれて、プレイパークの仲間とともに思い切って「ぺんぺんぐさ」を立ち上げることになったのだそうです。

ぺんぺんぐさは“青空”自主保育とうたっているだけあって、園舎がありません。自然豊かな遊び場が活動フィールドになります。私は以前本で読んだヨーロッパの森の幼稚園のことを思い出し、ワクワクしながらこの日の活動場所である桜台公園へ出かけていきました。

青葉台駅から徒歩15分ほどの桜台公園は、鴨やカメのいる池やせせらぎがあり、雑木林を丘の上まで木々の間を登っていく散策道は、里山の尾根道のよう。

私が訪れた10月下旬は、すっかり秋らしく葉っぱの色も変わり、足下にはどんぐりがたくさん落ちていました。

 

「なにして遊ぼうか」子どもたちの目は朝からキラキラ輝いていた。送迎時はお母さんたちのコミュニケーションの場にもなる

 

朝9:30に約束の場所を目指していくと、ビニールシートを広げたところに、小さな子どもたちとお母さんがにぎやかに集まってきていました。

「おはよう!」元気に挨拶してさっそく遊び始める子、ちょっと涙でママとバイバイの子(でもママと別れた後はすぐに泣き止み遊びに加わっていました)、それぞれの表情でスタートです。現在1歳半から3歳まで9名の子どもたちが在籍していますが、この日はお休みの子もいて2歳と3歳の子どもたち5名での活動となりました。

 

風呂敷マントのスーパーマン参上!

 

保育士のみえこさんを子どもたちは「みえこ!」と呼びます。「子どもたちとは対等に、尊敬と尊重する気持ちを持って接しています」とみえこさん。ぺんぺんぐさは育児サークルではなく預け合いをしている自主保育なので、この日はみえこさんの他に当番で付き添っているお母さん1名と、9月から入ったばかりのお子さんと一緒に参加するお母さんの3名で子どもたちを見守っていました。どの子もとても懐いていて、お互いの信頼関係がしっかりと結ばれているのがわかりました。

 

斜面だって登っちゃう!大人がしっかりと後ろで見守っていますが手出しはしない。登り切った子は達成感で大満足のお顔

 

大人同士もあうんの呼吸でお互いをフォローしあっていました。「手は後ろ、口はチャック。目は離さない」というのが、ここでの大人のスタンス。子どもの自主性を尊重して、手を出しすぎないように子どものやりたい遊びをさせているのだそうです。時にはケンカだってありますが、子ども同士の関わりを大切にして、その中から学ぶことを大切にしています。

それは決して放任ではなく、子どもたちには常にまわりの大人の温かなまなざしが注がれています。斜面昇りなど少々危ないかな? と思われるような遊びも大人の注意がしっかりとむけられている中でのこと。「危ないからダメ!」と止められることもなく、子どもたちは全身をつかって体験することで感覚を磨いていくのでしょうね。

私がお話を聞いている最中も、大きな蜂が飛んでくると、「帽子をかぶろうね」と、みえこさんはさりげなく子どもたちに帽子をかぶせていたのが印象的でした。

 

ときには小さなケンカも。「どんぐりが欲しかったら何て言ったらよかったかな?」と、さりげなく大人が導く

 

子どもたちは、両手両足を使って急な斜面をよじ登り、坂道を駆け、拾ったどんぐりや葉っぱでお店屋さんごっこ。丘の上から道路を走る車を眺めては「おーい!」と手を振ります。自然の中で関心を持ったもので時間を忘れて遊ぶ子どもたちは、とっても満たされているように見えました。みんなとってもかわいい! 私には7歳と4歳の娘がいますが、もっと幼かった頃を思い出して、一緒に遊んでいるのがとっても楽しかったです。

 

みんなで食べるお昼ごはんは美味しいね!お家よりもたくさん食べる子もいるそう

 

午前中目一杯遊べば、お腹もペコペコ! 「おなかすいたー!」とみんなお母さんがつくってくれたおにぎりを頬張ります。「家では食事に時間がかかるんですけど、ここではあっという間に食べちゃうんですよ」とあるお母さんは笑顔で話してくれました。

 

お昼ごはんの後はみんなお待ちかねの絵本タイム。集中して静かに見入っていました

 

ぺんぺんぐさは保育者と保護者が運営を担いつくりあげていくコミュニティでもあるので、大人同士のコミュニケーションが大切になってきます。中には自分の思いを伝えるのが苦手とか、人見知りというお母さんもいたそうですが、みえこさんは大人の個性も尊重して思いを出し合える仲にしたいと、話し合いの機会も定期的に持ち、今ではパパも加わって家族ぐるみのお付き合いもするようになってきたそうです。

「知り合いもいなくてママ友もできず窮屈な思いをしてきたけど、思い切ってここに来たらみんなが受け入れてくれて、今では信頼できる仲間になれた」とあるお母さんは語ります。ここ“ぺんぺんぐさ”は、子どもがのびのびと遊べる場であると同時に、お母さんの居場所にもなっているのですね。経験を積んだ保育士で、先輩お母さんでもあるみえこさんにいつでも育児の相談ができるのも心強いと思いました。

森ノオトエリアには、たくさんの幼稚園、保育園など子どもが育つ場所があります。どろんこのびのび系、基礎的な学びを始めるところ、うちの娘が通うシュタイナーやモンテッソーリなど独自の幼児教育を実践する園、そして今回訪ねたような自主保育など、選択肢がたくさんあります。ライフスタイルや教育方針に合わせて、子どもが育つ場が選べるありがたさを改めて感じました。

ぺんぺんぐさの活動は基本的に週2回(9:30~13:00)ですが、「あそぼう会」といってメンバー以外でも一緒に遊べる機会をつくっています。自然の中でのびのび遊ばせたい方、自主保育に興味がある方、子育て仲間がほしい方、誰でも参加できます。お弁当を持って遊びに行ってみませんか?

Information

青空自主保育ぺんぺんぐさ主催「あそぼう会」

2012年11月19日(月) つつじが丘第1公園(通称ロケット公園・横浜市青葉区つつじが丘)

2012年12月14日(金) 桜台公園(横浜市青葉区桜台)

時間はいずれも9:30~13:00

参加費:400円(材料費、通信費等として)

持ち物:お弁当、お茶、帽子、着替え、雨カッパ

申込み・問合せ:Mail  aoba.penpengusa@gmail.com

Tel 090-9147-3027(担当:内藤 平日17:00まで)

  • ※前日朝10:00までにメールで申込みしてください。
  • ※あそぼう会参加の方の保険はありませんので、お子さんから目を離さないように気をつけてあげてください。
  • ※しらとり台第1公園のぷちプレイパークでもぺんぺんぐさの保育士が育児相談等のお手伝いをしています。

ぺんぺんぐさはいつでも仲間募集中です。来年度は年少児の保育が週3回になる予定です。お気軽にお問い合わせください。

http://jisyuhoikupenpengusa.blogspot.jp/

Avatar photo
この記事を書いた人
ライター卒業生ライター卒業生
未来をはぐくむ人の
生活マガジン
「森ノオト」

月額500円の寄付で、
あなたのローカルライフが豊かになる

森のなかま募集中!

寄付についてもっと知る

カテゴリー

森ノオトのつくり方

森ノオトは寄付で運営する
メディアを目指しています。
発信を続けていくために、
応援よろしくお願いします。

もっと詳しく