誰もがつどい、つながり、元気になれる場をめざして。「スペースナナ」
あざみ野駅から県道13号線に出て登戸方面に向かい5分ほど歩いた左手に大きなガラス扉のお店があります。ここはカフェ?ギャラリー?オープンでウェルカムな雰囲気に足を止め中に入ってみたくなるような空間。それが“つどい、つながり、楽しさを生むところ”スペースナナです。(text:中島美穂)
光が差し込む明るいギャラリー。絵画、写真、手芸作品などの発表の場として地域に開かれている。

光が差し込む明るいギャラリー。絵画、写真、手芸作品などの発表の場として地域に開かれている。

“横浜・あざみ野でつどい、つながり、楽しさを生むところ”というキャッチフレーズで、活動は多岐にわたります。

 

私がうかがった1月16日(水)はちょうどギャラリースペースで斉藤道雄さんの写真展「目のことば〜手話を生きるこどもたち〜」を開催中でした。ギャラリーに差し込む陽の光に写真の中の子どもたちの顔がいっそう輝いて見えました。

 

ギャラリーと1枚の壁で別けられたスペースにはフェアトレードブランドや福祉作業所の商品が並び、奥にあるカフェではフェアトレードのコーヒーや紅茶、ハニージンジャーなどの飲み物がいただけます。このカフェスペースは絵画・造形教室などの講座や勉強会などが開かれるスタジオでもあります。

 

その隣には隔月刊誌『くらしと教育をつなぐWe』など書籍の編集発行とイベントや講座の企画開催をする有限会社フェミックスも併設されていて、スペースナナはいつも人の出入りがあり、よい気が巡っている空間です。

見ず知らずの人が突然「チラシを置いていただけませんか?」と来るのですから、当然びっくりされたり怪訝な顔をされることは覚悟の上。ドキドキしながら扉を開けると、スタッフのみなさんがしっかりと話を聞いてくれ、快くチラシを受け取ってくれました。そればかりかなんと上映会のチケットまで販売してくださることになったのです。

 

それからもご縁は続き、あざみ野ぶんぶんプロジェクトの活動も応援し続けていただき、私個人としてもスペースナナ主催のイベントに参加するようになりました。

NPOスペースナナ共同代表のおひとり柴田暁子さん。大らかで明るく優しい。整体師・フットテラピストで健美体操の講師でもある。スペースナナ内の和室では柴田さんの整体やフットテラピーも受けられる

NPOスペースナナ共同代表のおひとり柴田暁子さん。大らかで明るく優しい。整体師・フットテラピストで健美体操の講師でもある。スペースナナ内の和室では柴田さんの整体やフットテラピーも受けられる

現在スペースナナを運営しているのは20名ほどのスタッフ。ほとんどが女性でエネルギッシュな中にも明るい優しさと大らかな雰囲気を感じます。たまたま前を通りかかったのでちょっとお茶でも……と立ち寄ったらちょうど料理部の活動中で「あら、よかったらお昼一緒にどう?」なんてお誘いを受けたことも(笑)。

 

そんな気さくなみなさんの中で「がんばってるわね〜」といつもねぎらいの言葉をかけてくれるおひとりが、柴田暁子さんです。

 

スペースナナのオープンは2010年のこと。きっかけは、当時都内に事務所があったフェミックスが毎年主催していた『We』の読者イベントでした。“誰もが安心して生きられる社会”実現のためにさまざまな立場の方たちが交流を深める「Weフォーラム」は、アートフォーラムあざみ野が2008年と2010年の会場になり、それまで教育や福祉、子育てなどをテーマに地域で活動してきた柴田さんたちがスタッフとしてフォーラムを支えてきました。

 

その際、「度重なるミーティングなど、活動の拠点となる自分たちの“居場所”がほしいね」と盛り上がり、時を同じくして持ち上がったフェミックスの移転話、さらに横浜市経済局の商店街空き店舗事業に当選したことが重なり設立の機運が一気に高まりました。

 

2010年の夏に場所が決まり、オープンがその年の12月ですから、そのスピード感には驚かされます。

3.11直後、仲間と新聞紙のエコバックづくりをしたことで不安が癒されたそう。その後もスペースナナでは被災地支援イベントや脱原発勉強会などを開催している

3.11直後、仲間と新聞紙のエコバックづくりをしたことで不安が癒されたそう。その後もスペースナナでは被災地支援イベントや脱原発勉強会などを開催している

そして地域に開かれた場をめざしてスペースナナが走り出して間もない2011年3月11日、東北東関東大震災と東電福島第一原発の事故が起こりました。

 

あざみ野でもガソリンや日用品が品薄になり、計画停電もあり、人々は不安で落ち着かない気持ちに覆われていました。

 

震災から数日後、スペースナナでは新聞紙でつくるエコバックづくりの講座が予定されていました。中止も考えたものの、迷いながらも開催してみると、集まった仲間と手を動かしながら不安な気持ちを話し合うことで、メンバーもとても癒されたそうです。

 

この出来事があってからさらに地域とのつながりや、集まれる“場”があることの大切さを感じるようになった、と柴田さんは話してくれました。

 

オープンから2周年の昨年12月、スペースナナはNPO法人になりました。「これからますます地域の方とつながりたい。ここに来れば誰かがいる、話ができる、つながれる。そんな場でありたい」と柴田さんは話します。

 

スタッフ同士のミーティングも毎週開催。メーリングリストなど便利なツールを活用しながらも直接顔を合わせるコミュニケーションを大事にしているそうです。

 

スペースナナが考える“地域”にはもちろん、社会的にマイノリティになってしまいがちな人たちも含まれています。「私たちが講座やイベントなどを発信して、必要な方に情報を受け取ってもらい、ここに来てやりたいことを見つけてつながってほしい……」。スペースナナはこれからも世代や性別、障がいの有無、国籍などを越えて、誰もが安心して集い元気になれる場を目指しているとのこと。みなさんもぜひ、スペースナナの扉を開けてみてください。

カフェスペースにある掲示板。地域の様々な情報が寄せられている。森ノオトのリーフレットも!

カフェスペースにある掲示板。地域の様々な情報が寄せられている。森ノオトのリーフレットも!

 

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Information

スペースナナ

住所:神奈川県横浜市青葉区あざみ野1-21-11

TEL:045-482-6717

営業時間:11:00〜18:00

定休日:月曜日・火曜日

http://www.spacenana.com/

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