「お手伝いしましょうか」。その一声でバリアフリーに
藤が丘商店会の青年部が中心となって様々な企画を催してきた「藤カルチャーカフェ(FCC)」の第6回目、「ココロのバリアフリー”講演会」が3月24日(日)藤が丘地区センターで開かれました。「ココロのバリアフリー」を提唱する(株)K-plus+ 池田君江さんのお話を聞き、車いすや高齢者の疑似体験をしてきました。

池田君江さんの壮絶な体験談や日本のバリアフリー事情に真剣に聞き入る参加者のみなさん。池田さんがリハビリに励む映像では涙ぐむ方も

私が住む青葉台から電車でわずか30分ほどの渋谷で2007年に起きた温泉施設の爆発事故。テレビから流れるショッキングなニュース映像を鮮明に覚えています。その事故で脊髄に損傷を負い、車いす生活を余儀なくされたのが池田君江さんです。

 

医師からは一生寝たきりか車いすだと言われ、一時は生きていく意味すら見失いかけた池田さん。家族や友人知人の存在が支えとなり、脊髄損傷回復スペシャリスト・渡辺淳さんとの出会いを経て、再び歩くという希望を胸にトレーニングに励み、車いすで外にも出かけるようになりました。

 

ある時渡米した池田さんは、日本とのバリアフリー事情の違いに驚いたといいます。街や設備が整っていることはもちろん、人々と障がいのある人との間に壁が無く、誰もが当然のように声をかけ手伝ってくれたおかげで、何も気にせず外に出かけられたそうです。

 

一方日本では、施設のバリアフリー化は進んではきているもののまだまだ少なく、心根はとても優しいけれどシャイで声がかけられないという日本人気質もあり、優しさと障がい者へのなじみの無さ故か「うちはバリアフリーじゃないから」と来店を断られたこともあったといいます。

 

日本国内で車いす生活者を含め体が不自由な方はおよそ350万人もいるそうですが、街であまり見かけないのは、出かけづらさを感じ引きこもっている方が多いせいではないかという池田さん。設備面でのバリアフリー化だけではなく、「なにかお手伝いすることはありませんか?」とココロをこめて接客してくれるお店を増やそうと、株式会社K-plus+を設立し「ココロのバリアフリー計画」を進めています。

池田君江さん。若くしてある日突然車いす生活を余儀なくされるという辛い過去を話す姿に、ココロのバリアフリー計画への強い想いが感じられる。「障がいをもったから出会えた人や人の優しさにふれる機会もあります」と前向きに話してくれた

この日の講演会の企画を藤が丘商店会にもちかけたのはイタリアンレストラン「ナチュラーレ・ボーノ」店長、植木真さんです。植木さんは池田さんと出会い、すぐに応援店に名乗りをあげました。植木さんは、応援店になってから街でも杖をついたお年寄りなどに手を差し伸べることを意識するようになったと言います。

 

K-plus+では応援店の情報(入口やトイレの幅、階段の数など)を利用者が「ココロのバリアフリー」ポータルサイトで見ることができるように準備を進めています。店舗側は自分たちの情報を把握し利用者からの問合せに備え、接客方法や車いすの操作方法を知りココロをこめた接客を心がけます。
池田さんが通う都内の飲食店では、利用者と店舗スタッフとの間ではコミュニケーションが生まれ、お店でアルバイトをする大学生は介助を通じて他のお客様への気配りもできるようになり、社会人になってからも仕事で車いすのお客様に自然に対応ができるようになったそうです。このお店のオーナーが、障がい者と接することで人間的にも成長したし人生が豊かになったと話していたのが印象的でした。

青葉区社会福祉協議会で借りた高齢者疑似体験セット。この後白内障や緑内障の視界を感じるメガネもかけた。体が重く視界も悪いので試しに落とした硬貨を拾うのも一苦労。「お手伝いしましょうか」の声が心強く感じた(写真提供:植木真)

 

池田さんの講演後、車いすの体験と高齢者の体を疑似体験する時間がありました。

 

まずは高齢者と自分との体の違いを感じてみました。重りのついたベストをつけ腕や足の関節をベルトで固定します。体は重く腰の曲がった前屈みになり、当然ゆっくりとしか動けません。段差には杖や手すりが無いと上り下りが難しく、近くに手を貸してくれる方の存在はとても心強く感じました。

続いて車いす初体験。意外と操作に力は必要ないがコツをつかむまでが難しかった。自分で操作する側だけでなく、車いすでの介助にもノウハウが必要だとわかった(写真:植木真氏提供)

 

次に生まれて初めて車いすに乗りました。幅の細い曲がり角での操作が難しく、何度もコースアウトしてしまました。
そして、段差。普段つまずくことなどないたった3cmの段差が車いすでは障害になります。背中に体重をかけ勢いをつければ上れた方もいましたが、私にはできませんでした。段差が8cmにもなると全く歯が立ちません。介助された際、わずか8cmでも前向きに押されて段差を下りる時には高くて怖さを感じ、後ろ向きに下りてあげると良いと教えていただきました。また、突然押されるのも怖いので「押しますよ」「段差を下りますよ」という声かけが大切だと思いました。

 

池田さんのお話を聞き、車いすや高齢者体験をすることで、いかに自分が知らなかったか、ということに気づかされました。池田さんとお話ししてみてわかったのは、障がいを持つ方が特別ではないということでした。私の周りにいるような普通に明るいお母さんで、ただちょっと手伝ってもらうことがあるだけ。友達が困っていたら私だって自然に手を差し伸べる、それと同じだと感じました。私と同じように今まで接したことがないからわからないという方は多いのではないでしょうか。まずは臆せずにコミュニケーションをとることが大切だと思いました。

ココロのバリアフリー応援店はサポートツールを購入しこのステッカーを店舗入口など目立つところに貼る。自店の情報を把握し問合せに備え、ポータルサイトに情報を掲載し、ココロをこめた接客ができるお店に

 

障がい者やお年寄り、ベビーカーのママや妊婦さんなどが当たり前に安心して暮らせる街づくりの輪が、藤が丘から青葉区、横浜市、そして日本中に広がっていったら素敵ですね。
藤が丘ではナチュラーレ・ボーノに続いて、わかやぎ(和装・小物)、浅野商店(酒店)、みよし治療室(鍼灸院)、ふじがおか接骨院(整骨院)、ゑび寿屋(そば屋)、KUMON藤が丘教室(学習教室)、トヤマ時計眼鏡店(時計・眼鏡・宝飾品)がココロのバリアフリー応援店となりました。

 

池田さんが運営するK-plus+では1店舗でも多くの参加店を募っています。必要に応じてレクチャーも行っているそうです。興味を持たれたらぜひお問い合わせください。

Information

■ 「ココロのバリアフリー計画」K-plus+

http://kplus-jp.com

Mail:info@kplus-jp.com

TEL&FAX:03-5787-6716

ポータルサイト(作製中)

http://www.heartbarrierfree.com/

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