第3回たまプラーザ電力検討委員会 「先進事例に学ぼう! ご近所・多摩センターの多摩電力編」
4月22日、第3回たまプラーザ電力検討委員会では、多摩電力合同会社 多摩センター事務所長の山川勇一郎さんをゲストに迎え、市民電力の具体的な事業化プロセスについてお話を伺いました。
(文/梅原昭子 写真/青木真紀)

たまプラーザ電力プロジェクト(通称:たまプラ電力)は、3.11後の夏、鎌仲ひとみ監督の『ミツバチの羽音と地球の回転』上映会からはじまって、エネシフのための勉強会や独立型ソーラーシステムのワークショップを重ねてきたあざみ野ぶんぶんプロジェクトの活動が母体となって派生した団体です。

東急電鉄と横浜市による次世代郊外まちづくり住民創発プロジェクトに参加して、地域発のビジネスとして電力会社を立ち上げようと企画していた慶應義塾大学の大学院生小林知記さんと出会い、美しが丘で「3丁目カフェ」立ち上げ中の大野承さんと理系男子・高橋新志さん、以前から交流のあった山崎誠さんもメンバー加わって、地域にも興味関心の高い住民がいて……と人材は集まってきていたのですが、事業化に向けての本格的な話し合いはまだまだこれから。そのための準備や勉強をするのが「たまプラーザ電力検討委員会」です。

次の時代を見据えたまちづくりのツールとして持続可能なエネルギーの活用は欠かせないし、自然エネルギーを早く使いたい! という気持ちで動いているとはいえ、実際に自立した事業として地域に根付かせていくには、どうしたらいいのでしょう?

今回は、山川さんから実体験にもとづいた具体的な事業の進め方を聞いて、たまプラーザ電力のロードマップを描いてみようと企画していたのですが、講演と質問だけで時間が足りなくなるほどでした。

 

会場はたまプラーザ地域ケアプラザ

 

多摩電力合同会社(通称:たまでん)の取り組みについては前回のレポートに書きましたが、事業化のプロセスを詳しくみていくと、黎明期(2011年5月エネシフをすすめる多摩の会の発足)、立ち上げ期(2012年5月多摩エネ協の発足)、ステップアップ期(2013年4月多摩センター事務所の開設)の3つの段階があったと、山川さんはおっしゃいます。

環境省の受託事業への公募に一度落ちて、そこからもう一度計画を練り直して採択されたことが大きな一歩だったようで、

「市民のおもいのこもった“志金”を集めて、再生可能エネルギーを普及する」

「市民発・地域発の、官民一体となった取り組みを推進する」

「ニュータウンから都市型コミュニティビジネスモデルを発信する」

というテーマを掲げて再始動しました。

2012年の10月に多摩電力合同会社が設立されてからは、1−2カ月に1回の「事業化検討協議会」のほかに、「専門委員会」を設けて、再生可能エネルギーの専門家のコンサルティングをうけながら、何度も議論を重ね、大きく分けて5つの役割分担をしています。

(1) 基本情報(マーケット情報の把握する)

(2) ファイナンス(まちづくりにつながる資金集めのスキームの構築する)→信託方式を採用

(3) 広報(HP、SNSでの発信をする)→多摩エネ協

(4) 技術(施工方法、業者の選定、パワーコンディショナーなどの保守管理をする)

(5) EPC(発電所の設計、施工、資金的基準に基づき部材の調達をする)

 

山川さん(写真左)自身は主に技術、特にEPCに関わっている。多摩エネ協は合議制、会社は割とトップダウン式で状況突破してきた

 

市民電力の大きな課題の一つは、実績なしの素人集団であるために、なかなか信用されないことですが、この点については、環境省の事業=国が認めているもの、と言えることが後押しになったそうです。また、実物の影響は大きく、第1号発電所ができたら周囲の目が変わったといいます。

2年目には公共施設への設置に向けて多摩市とのやり取りが頻繁に行われて、候補地27カ所中11カ所への設置が決まりました。設置場所を絞っていく作業によって、事業に適した物件の目利きの基準ができてきたとおっしゃっていたのが印象に残りましたが、それでも、受託事業期間の3年で2-3MW(メガワット=1000kW)くらいの発電量を目標にしていたところが、実際には3年目の今年度中に1MWに達するかどうか? というのが現状だそうです。

今後の課題としては発電所のメンテナンスについてで、定期的な掃除に加えて、何かトラブルがあったときにはすぐに点検しに行く体制をつくるため、シルバー人材センターと連携して、地域の中で仕事をさらに分担するしくみをつくれないか検討中だということもお聞きしました。

最後、参加者からの指摘でも浮き彫りになったのですが、一番肝心な「何のために電力事業をするのか」という点が、たまプラ電力プロジェクトメンバー間でまだ詰めきれていません。

 

山川さんは自然ガイド・ガイド育成の経験があり、それを生かして多摩エネ協で「次世代リーダー育成プログラム」といった、多摩独自の活動をしている

山川さんのブログにも、

「市民組織である多摩エネ協の活動はともかく、たまでんは事業活動です。そこに市民活動を持ちこんでは、これは強みを活かすというより単なる甘えになってしまいます。“市民活動”というオアシスから飛び出さない限り、事業としての成長はないわけです。

我々が今注力すべきは“サービスの質を上げること”です。

市民主導云々という前に我々は“電力業界”にいるわけですから、その中で魅力と競争力を持つ存在にならないといけない」

とあるのですが、まさにそこが問われているのだなと思います。終了後の懇親会でも事業の進め方を巡っていろいろな意見がかわされて盛り上がりました。今後メンバーで話し合う機会も増えてくるでしょう。私も個人の仕事を大事にしつつ、エネシフに向けて、その時々で最良の仕事をしたいと思いました。

とりあえずは5月25日の独立型ソーラーシステムワークショップに向けて再勉強しなくては!!(告知は来週!)

Information

多摩電力合同会社

http://tama-den.jp

一般社団法人多摩循環型エネルギー協会

http://tama-enekyo.org

梅原 昭子
この記事を書いた人
梅原昭子理事/事務局長/ライター
引き算の編集が好きです。できないこと、やりたくないことが多過ぎて消去法で生きています。徒歩半径2キロ圏内くらいでほぼ満ち足りる暮らしへの憧れと、地球上の面白い所どこでもぶらりと行ける軽さとに憧れます。人間よりも植物や動物など異種から好かれる方が格上と思っている節があります。
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