素材を見極めて作るオーダー家具店「ATTRACT(アトラクト)」in鷺沼

家具の良さって、どんなところにあると思いますか? 何の素材を使っているかだけではなく、その素材が空間になじんでいるか、持ち手の手ざわりや、素材の組み合わせの相性から滲み出るものなんだと私は思っています。

鷺沼駅から有馬中学入口交差点まで10分ほど歩くと、通り沿い左側にターコイズブルーの窓が印象的なお店に出会えます。ここが、ご夫婦で運営するオーダー家具店「ATTRACT」。自分の求めている空間に馴染み、かつ凛とした存在感を放つ良質な家具をオーダーすることができます。

 

店主の青森聡志さんは建築士であったお父様の影響を受け、小さなころから「さわったらダメ」と言われながらも、ドラフター(製図台)をいじり、小学校高学年の頃には、自室の模様替えのため、ベッドや家具の大きさに切った紙を並べて試行錯誤するのが好きだったと話します。

家具作家のもとに弟子入りし、3年間、自身も家具を作りました。その後、販売の経験も積みたいと家具店に転職。店長を務めた後、その時の同僚と新しい家具店の立ち上げを経験します。

 

鷺沼に「ATTRACT」を開いたのは2008年の3月。前に勤めていた家具店と商圏がかぶらないよう配慮しつつ、結婚後住んでいた市が尾に近いこのエリアを気に入っていたことから、沿線で場所を探し始めました。

お店を開くことになったこの場所を選んだ決め手は、店内から窓越しに見える景色にあります。目の前には、昭和時代に建てられた集合住宅。主張しすぎない、落ち着いた街並みを気に入ったそうです。「目の前がちかちかしていたら、ゆっくり家具を見られないですからね」と青森さん。

 

少年のような笑顔で迎えてくださった店主の青森さん、44歳。2人の女の子のお父さん。趣味はスノーボードで、今年は上の娘さんが初挑戦したそう

 

「ATTRACT」さんでは、壁面収納棚やテーブルなどのオーダー家具や、オリジナルチェアを販売しています。オーダー家具は実例写真を元にお客様の求めているものをヒアリングし、青森さんがデザインした後、青森さんが尊敬している以前の職場の先輩の工房で製作されます。

 

今まであまり気にしたことがなかったけれど、お店から見る外の景色もお店の雰囲気を作る要素なんだな、と感じた

 

店内に展示されたデスクとTV台が一緒になった壁面収納棚。一人ひとりの暮らし方に応じて、サイズや用途を考えて作っている)

 

「ATTRACT」の家具の特徴は、素材の使い方にあります。例えば、無垢の一枚板のテーブル。一枚板のテーブルと聞くと古民家や和風の家でないと合わないのでは、と感じるかもしれません。お店に展示されていたテーブルはアメリカンブラックウォルナットの無垢の一枚板とスチールの脚を組み合わせています。スチールの脚が大きな無垢の板を軽やかに見せていて、生活の場ではないギャラリーのような空間でも、住宅のような落ち着いた場所でも、バランスよく馴染むと感じました。

 

一つとして同じものがない無垢材の買い付け先は、全国に広がる。家具製作をしている工房の先輩と意見が合ったものを、妥協せず探す

 

青森さんは、総無垢の家具だから良い、という考え方ではなく、無垢の良さ、人工物の良さをミックスして、より良い性能・デザインになる家具が好きだと話します。木材のような有機質の素材が、スチールのような無機質の素材に温かみを与えることもあるし、逆に、無機質のものがシャープで繊細な造りを可能にしてくれることもあります。

 

展示に使っている、錆びたアイアン素材の飾り棚がかっこいい

 

オーダー家具以外にも販売しているオリジナル家具もあります。特に椅子は、何度も試作を重ねて作っているので、オーダーが難しい家具でもあります。子ども用のデスクセットはお祝いに買われる方も多い人気の商品です。

 

お子様が成長してからも、観葉植物の置き台として使用できそう。脚のフォルムがかわいすぎず、かといってシャープすぎず、好き

 

お店で販売もしている雑貨は、奥様の青森英子さんが担当しています。ギャラリーで展示の企画をしていた経験を生かして、お店に置かれた家具に合う食器や文具を選んでいるそうです。蚤の市などに顔を出し、気に入った作家さんがいたらお店に置かせてもらうよう交渉するのが仕事です。

 

食器類は家で実際に使って、いいなと感じたものを販売している

 

お店では定期的に企画展を開催しており、2015年2月14日(土)〜3月8日(日)まで「清岡幸道さんの陶展」をおこないます。

実は、数年前から私も清岡幸道さんのポットを愛用しているのです。清岡さんは、滋賀県甲賀市信楽で作陶し、耐熱系の器に力を入れて制作しています。青森さんのお家ではフライパンを使っていて、「遠赤外線効果があり料理が美味しく仕上がり、フライパンを器としてそのまま食卓に並べることができるので、重宝する」そうです。企画展ではこのポットやフライパンのほか、グラタン皿、盛り鉢、取り皿などのアイテムを展示予定です。

どれも、シンプルで洗練されたシルエットで、陶器の持つ自然釉の温かみのある器。手にとってふれて、手に馴染む感覚を味わっていただきたいです。

 

私が仕事場で愛用中の清岡さんの灰白ポット。大きめなので、お客様が来たときも重宝する。安定感もあるので、猫が横切っても倒れる心配をしなくてよいのが嬉しい

 

ご夫婦で得意分野を生かし、お店を作り上げている様がとても印象的でした。企画展にも、ぜひ足を運んでみてください。

Information

ATTRACT

http://www.attract-f.com/

〒216-0003

神奈川県川崎市宮前区有馬5-18-22 1F

TEL 044-281-5297 / FAX 044-281-5298

open / 11:00 – 19:00 定休日/水曜日

駐車場2台あり

山川 紋
この記事を書いた人
山川紋ライター卒業生
教育やWEB関連の仕事を経て、現在は夫と住宅の設計やリノベーションを手がける「ショセット建築設計室」を主宰。横浜市青葉区のビンテージマンション「桜台ビレジ」に住まい、事務所を構える。森ノオトでは教育と建築の専門家として、子ども向けの建築ワークショップなどを展開。愛猫4匹が看板。
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