3月3日、桃の節句。森ノオトのお雛様の物語
3月といえば、お雛祭りですね。みなさんどんなお雛様を飾っていますか?
おしゃれで、こだわりある森ノオトのママたちが、娘さんたちに選んだお雛様ってどんなものなのか気になった私。 森ノオトのご家族の中から、5家族のお雛様のエピソード、みなさんにもご紹介します。

<北原家のエピソード>

トップバッターは、やはりこの方、森ノオト編集長の北原まどかさん宅のお雛様。

女の子が多いな?と思う森ノオトのファミリーですが、北原家も、やはり姉妹です。森ノオトの看板娘のお姉ちゃんと、去年生まれた妹ちゃん。

そんな北原家のお雛様はこちら。

 

北原家のお雛様。数体飾られているのは、家族の想いがそれぞれ寄せられたから……

 

 

自宅出産で生まれたお姉ちゃん。出産自体は安産だったものの、低体重、かつ産後の新生児のケアの知識がなく、生理的体重減少に加え低体温になり、産後数週間は、緊迫の日々を送っていました。

そんな小さく危うい命を安心して見守れるようになったのは、3月になるころ。家族全員の緊張がゆるんで、心が軽くなったころに、誰ともなく「初節句の準備をしよう」とその日を心待ちにし、北原家にお雛様が集まるようになりました。

最初はお義父さんが、香袋入りの雛人形を百貨店で買ってきました(右前)。次に山形のお母さんが青葉台にあった和雑貨店で吊るし雛を買ってきました。そしてお姉ちゃんの叔母ちゃんが、ガラスでできた小さなお雛様を。

1対でいいはずなのに、家族のみんながみんな、お姉ちゃんが初節句を迎えられることを喜び、その象徴としてお雛様を買ってきたのです。

昔は赤ちゃんの死亡率も高かったため、成長の行事一つひとつがかけがえのない喜びだったのでしょうね。

お七夜、初宮、初節句、お食い初め、初誕生。北原家も、出生直後、ギリギリの日々を送っていたから、特に初節句は、とてもうれしかったそうです。ようやく春だね、お母さんとお外に出られるね……と。

 

<ながたに家のエピソード>

続いて、同じく姉妹がいるながたに睦子さん宅のお雛様。

ながたに家のお雛様。7段飾りと、親王飾りが並んでいる

 

ながたに家では、第1子出産後、退院した日は2月2日で大雪でした。その年の3月は、まだ1カ月だし……ということで初節句を見送り、次の歳の春、1歳2カ月で初節句をしました。1歳を過ぎた頃に、みんなでどんな雛人形を買うか考えたそうです。当時はマンションに住んでいて、大きなお雛様を飾れる場所がなく、睦子さんは本当に小さな雛人形でいいと言ったのですが、やはり両家の両親が、「初めての女の子なのだから、ちゃんとした雛人形を買ってあげて」と言い、睦子さんの両親が親王飾りを買ってくれたそうです(写真上、右側)。

そして初節句を祝うために、皆が集まった当日、ご主人のお母さんから渡された紙袋には、なんと手作りの吊るし雛が!

 

ながたに家のお雛様。お義母さんの手作りの吊るし雛

 

お義母さんは、初節句を見送った前年の3月から、約1一年かけて、吊るし雛を内緒で作ってくれていたのでした。お義母さんはせっせと吊るし雛教室に通って、先生に習い、こつこつと作ってくれていたとのこと。そのエピソードにとても感動してしまい、今迄あまり身近ではなかったつるし雛が一気に身近になり、飾られているものを見に行ったりもするほど、吊るし雛が大好きになった睦子さんです。

今年、「次女の雛人形はどうしようかねえ」という話をした時に、そういえば実家に睦子さんが子どもの頃の7段飾りがあることを思い出し、今の家に飾ることにしました。睦子さんが小学生の頃までは出していたというので、約30年ぶりくらいに日の目を見ました。「少しは汚れていたり、破損していたりするのではないか……?」と、睦子さんは思ったのですが、そんな心配も無用。組み立て方のしおりも綺麗なまま同封されていて、お人形や小物たちも何一つ紛失することなく、本当に綺麗に保存されていて、「改めて両親の愛情を感じました」とのこと。

さて、この7段飾り、一番一生懸命に飾ってくれたのが、なんと睦子さんのお父さんだったそうです。普段無口なお父さんが、しおりを一生懸命に見ながら、これはこうだ、あれはこうだ、と言いながら、お人形たちに小物を合わせて真剣に飾り始め、そのうちお義父さんも加わり、2人のじいじの手によってあっという間に7段飾りが完成しました。それを見た7歳のお姉ちゃんは大感激。ちょうど学校で雛人形の話をしていたようで、「お内裏様とお雛様の下にも、色々な人がいっぱいいるんだねー!」とニコニコしながら何度も見ていました。1歳4カ月の次女ちゃんも、きょとんとしながらもなんだか嬉しそうだったそうです。

後日、ながたに家のお姉ちゃんが学校に提出した絵日記には

「このあいだ、おじいちゃんとおばあちゃんがきて、おひなさまをかざりました。おだいりさまと、おひなさまと、さんにんかんじょと、ごにんばやしと、うだいじんとさだいじんと、えし、と、どうぐをかざりました。そのあとみんなでゼリーともなかをたべました。ほんとうにほんとうにたのしいひでした。すごくうれしかったです」と書いてあったそうです。

睦子さんも自分が小学校の頃に飾っていた雛人形を見て、色々な思い出がよみがえり、そして今日のこの日もまた思い出になり、ああ、今うちにある3組の雛飾りはずっと受け継いで行きたいなあと思ったとのことでした。

 

<東海林家のお雛様>

そして我が家ですが、兄弟がいて女の子が加わったのは、昨年2月中旬です。

北原家、ながたに家と同じく、冬に生まれてすぐに初節句。そのため、成長を祝うこと、誕生を祝うこと、一つの命を迎えた後に迎えたお雛祭りであることが、先に紹介した姉妹と重なるかもしれません。

兄弟に妹が加わったのは、昨年2月中旬。2度の大雪の後でした。

もともと、園で兄が作った手作りのお雛様があり、男兄弟でも楽しんではいたのですが、やはり兄弟の家。お雛様はありません。

初節句は来年かな、と思っていましたが、新生児に会いにやってきたばあばが、手作りの押し雛を持ってきてくれました。

そのお雛様をまだ生まれたばかりの乳児の頭の上にそっと添えて、記念撮影。

また、お産があった日、1年生だった兄は、大雪で枝からこぼれた、という小学校の梅の花をもって妹に会いにやってきました。初対面の妹、そして母に花を贈った兄の優しさが身に染み、産院の一室も梅の香りでいっぱいに!

その梅の花は、産後に滞在した部屋にも枝わけし、自宅でもお雛様にそえてずっと飾っていました。梅のいい香りに包まれながら、母と妹は体を休める日々でした。

 

ばあばと兄の優しさが添えられた初節句のワンシーン

 

そして今年、従妹とおそろいの吊るし雛が送られ、あっという間ににぎやかな雛まつりに。

これから毎年、お雛祭りを迎えるたびに、小さな妹を思うみんなの気持ちの温かさを思うのだなあ、と。

兄の手作り雛、ばあばのお雛様、そしてつるし雛を飾って

 

<松岡家のお雛様>

今年3歳になった女の子のお母さん、松岡美和ちゃんからもお雛様のエピソードが届きました。

 

ほっこりした表情の佐土原焼きのお雛様と、レトロな雰囲気を醸し出すキルトのお雛様

 

お雛様の後ろに飾られているキルトは、20年前(美和ちゃんが小学生、妹が幼稚園児だった時)に、お母さんが友達から端切れをもらって作ったものだそうです。

そして、お雛飾りは、佐土原焼きという焼き物です。お祖母さまが誰かからもらったものを、美和ちゃんのご実家で何年か前にもらい、飾らないまま置いてあったらしいです。美和ちゃんの娘さんにどうか、というので譲り受けたそうです。美和ちゃんは「小さいからいいな」と思っているそうです。慎ましやかに暮らしている美和ちゃんらしいエピソードですね。

 

<高山家のお雛様>

ラストを飾るのは、その作品のセンスも抜群ながら、ご自宅も素敵なピリカちゃんこと高山えりかさん宅にやってきたお雛様。Facebookに投稿された写真を見てあっという間に森ノオトメンバーで話題になりました。どんなお雛様かというと……。

 

娘さんのお顔にも似た優しい顔立ちに惹かれて選んだという木目込み人形

 

ピリカちゃんは、木目込みのお雛様が欲しくて、初節句のお雛様は一生モノだからと、真剣に探していました。横浜の百貨店で展示販売している時に、ちょうどこのお雛様を作っている作家さんにお会いすることができて、手作業で一つひとつ作っていることや、着物の生地は京都の絹を使っていること、素材に対するこだわりなど、なかなか聞けないエピソードを直接知ることができたそうです。それが決め手になり、このお雛様が高山家にやってきました。、

ここのお人形が、丸顔のお嬢さんにどことなく似ている感じがして、この表情も選んだポイントだったそうです。

サイズはとても小さいので、マンション暮らしのライフスタイルにも合っていること、収納もダンボール一つ分にちゃんと納まるので、出し入れもとても簡単なのがポイントです。

びょうぶや、小物や、着ている着物の組み合わせも、作家さんにリクエストしたら希望通りのセットを作ってくれて、さらに小物や、吊るし雛までおまけしてもらったそうです! 三人官女も追加してもらいましたが、今後自分のペースで他のアイテムを増やすことも出来るそうなので、それもまた検討中とのことです。

 

娘さんの成長に合わせて、お雛様もどんどんにぎやかになっていくのかしら?! 今後が楽しみです

 

どの家庭のお話も本当に素敵で、写真を見てはうっとりさせてしました。

やっぱり女の子のお祝いごとって華やかです。

今年は、この5家族を紹介して終わりです。

よそのお宅のお雛様を見せてもらう機会はあるかもしれませんが、なかなかここまで詳しいエピソードまでは聞けないかもしれません。まだまだあの姉妹も、あの子も、気になるお雛様がたくさんあるのですが……。

来年も、森ノオトキッズのお雛様エピソード、聞きたい人この指とまれ?!

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この記事を書いた人
東海林更央莉ライター卒業生
山形出身で、元日本語教師、3児の母。森ノオトでは2011年より兄弟の成長と重ねた絵本の連載を続け、妹が増えた今は女子らしい視点が加わり多くの母親の心をつかんでいる。家族の趣味は旅行、食べ歩き、自然のなかで過ごすこと。編集長の中学校時代の同級生でもある。
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