防災があたりまえの世の中をつくる!防災ガール・田中美咲さん
【森ノオトリポーター養成講座修了レポート(7) 島原愛子】子どもの遊び・育ちに関するとあるイベントで知り合い、もっと活動を知りたいと声をおかけして会うのは3回目。「久しぶりに会えて嬉しいです!」と元気よく声をかけてくれた田中美咲さんは、一般社団法人「防災ガール」の設立者であり代表を務めています。森ノオト読者にお伝えしたい、お母さん世代へおすすめの防災アイテム、子どもができる“防災”について、お聞きしてきました!

皆さんは日頃、どんな防災対策をしていますか。

学生の頃、地元神戸で阪神・淡路大震災を経験し、第一子の育児休暇中に都内で東日本大震災を経験した私が、ぱっと挙げられるのは、以下の対策です。

「寝室に出来る限りモノを置かない」

「たくさん歩ける靴を常に選ぶ」

「子どもの通う園の防災対策の確認、避難場所の把握、連絡メールの登録」

「家庭に防災袋を準備」

防災対策を全然していないわけではないけれど、完璧でもない……そんな私がドキドキしながら田中美咲さんにインタビューしてみました。

奈良生まれ横浜育ちの田中美咲さんは、大学時代を除き森ノオトエリアで暮らしてきた26歳です。

 

まず、初めて見聞きする方のために、美咲さんが主宰する「防災ガール」とは何かを伺いました。

「防災ガールのミッションは『防災があたりまえの世の中にする』です。東日本大震災を経験したはずなのに20〜30代の防災の意識はすごく低いというデータがあり、まずは『防災』をしたくなるような提案をしなくてはいけないと考えました。そこで、防災を『オシャレ』に、『わかりやすく』伝えることを考え抜いています。自主的に防災を楽しみながら取り組み、それを広めることのできる人が“防災ガール”で、同世代の女の子たちが中心となって活動しています」

「防災」と「オシャレ」? 一見すると少し遠いイメージの言葉ですが……防災ガールのホームページ(http://bosai-girl.com)をのぞいてみると、「次世代版避難訓練TOLAF」「防災ガールプロデュースブランドSABOI」「防災ガールPV」など、なにやら斬新な切り口の面白そうなコンテンツが見やすく並び、興味をそそります。

「防災=ださい、めんどくさいという意識を変えて、アクションを起こしてもらえるように、出来る限りのことをしていきたいです」

 

防災ブランド「SABOI」。持ち歩きたくなるデザインかつ邪魔にならない大きさのポーチに厳選した防災グッズがおさまる。ポイントは女子目線でピンやゴムまで入れたこと。長期で水が使えず髪が洗えない時、女性にとっては必須アイテムとなる

 

2015年3月11日。2年間の任意団体期間を経て防災ガールは一般社団法人になりました。美咲さんが防災ガールを立ち上げたきっかけは4年前の東日本大震災に遡ります。

震災直後の4月、大手ITサービス企業に新入社員として入社し、ソーシャルゲームのプランナーとして若者向けサービスの立ち上げや運営を経験した後、情報による復興支援を行う『公益社団法人助けあいジャパン』への転職に踏み切ります。そこで拠点を福島県に移し、県外へ避難をした人、及び県外からやってくるボランティアに向けて行政と連携しながら地元情報を配信していくメディア運営の担当となりました。2013年に入ると、南海トラフ・首都直下大地震に向けた防災事業担当となった美咲さん。

被災地の現状を見聞きしたことと、同性代の防災意識や防災業界の現状を知ったことで、復興支援を通して知り合った仲間と「防災」で何かやりたいと考えるようになっていきます。

「他業界で浸透しているムーブメントからあえて学ぶ」「文字の並ぶ災害対策情報は誰も読まない。若者向けに翻訳する」「生活の中に取り入れてもらえるようにオシャレを追求」「工夫した面白いコンテンツなら興味をもってもらえる」

そんな考えの元にいままでの防災とはまったく違う切り口のイベントやグッズを作り込んで半年。2014年8月に防災ガールのウェブサイトを立ち上げ、12月に独立すると、美咲さんの勢いは止まりません。

最初の1年はファンを作ること、できることを全部やると決めて奔走。その結果を踏まえ2年目の2014年度は、反響が大きかったイベントやワークショップ、講演に集中して、回数を重ねていくことに。多くの企業や行政、学校とのコラボレーションも生まれました。

 

NTT発行のタウンページ×防災ガールのコラボで、6月に全国発送される予定の防災情報がつまった『防災タウンページ』。アクションを起こしたくなる防災情報の伝え方を監修中! 手元にやってくるのが楽しみ

 

最後に「アイドル風いらないですか?」とポーズを決めてくれた美咲さん。周囲を巻き込み仲間をどんどん増やしていくアイデアマン美咲さんの高いコミュニケーション力と、楽しむ姿勢を体現してくださったのでお蔵入りさせずに掲載です(笑)

 

「2年後には防災ガールのFacebookページいいね!を16万人に増やしたいです。防災意識アップの表明としての「いいね!」が全国の消防職員数に匹敵する数だけ集まれば、助け合いの種が育っていることを実感できるはず。東京オリンピックまでには東京の10人に1人が防災ガールを知っている状態にしたい。そこまで広まれば、普段から備えること、緊急時の動き方を意識しておくこと等、まさに「防災があたりまえの世の中になっている」と言えると思うので。10年後は……また大学に入り直したりして他の社会課題に取り組んでいるかもしれません」

美咲さんの掲げる目標も具体的でわかりやすいのです。

「森ノオト読者である“お母さん世代へおすすめの防災アイテム”は?」

「子どもができる“防災”ってありますか」

自分のためにも、森ノオト読者のためにも絶対聞こう! と思っていた2つの質問に美咲さんは淀みなく答えてくれました。

「家具の固定や防災袋の準備など、出来ることからやっておくともちろんよいのですが、実はもっとあたりまえのことが大事だったりします。例えば、ものを少なくし、何をどこに置いているのかを把握できる状態にしておくとか、その日が賞味期限のものを買わずに、冷蔵庫に1週間分くらいの保存食がある状態にしておくとか。また、連絡先を地域の人と交換しておくなどして災害時に1人じゃない状況をつくっておくことです」

あれあれ、森ノオトリポーターメンバーの食にまつわる知恵(乾物利用など)やコミュニティづくりの活動で同じことをよく話しているな。そもそもお母さんとして普段からできることばかりだ!! ……ぼろぼろぼろ、と目から鱗の落ちる音。阪神・淡路大震災の時、お歳暮でいただいていた缶詰を近所の人と交換した、水汲みを助け合った、そんなことも思い出しました。

宮前区に引越したての自分が森ノオトに惹きつけられたのも、家族を守り地域コミュニティに溶け込んで生き抜くための、生存本能だったのかも。

「子どもの防災となると、学校や保育園・幼稚園にいて災害発生時に離れていることの方が確率的には高いので、“親がいなくても自分で防災できるようにしておく”ことが大切です」

つまり、家族の集合場所を決めておくことや、まだ自分で動けない子であれば先生方との連携が一番となってくるということ。幼稚園や保育園であれば、先生と密なコミュニケーションをとるなど日頃から環境をつくり、家族で避難場所を把握しておくことは必須事項ですね。

これまでは、いざという時には自分が集合場所に辿り着ければいいと思っていたけれど、自分に何かあった時のために、パパやおばあちゃん・おじいちゃんにもしっかりと情報共有しておかねばと心を新たにしました。

「ちなみに、女の子なら“防犯ブザー”をお持ちの方も多いので、それ自体がホイッスル代わりになります」

なるほど、防災グッズは持ち歩ける量にしぼる、代用のアイデアで乗り切るのも大切とメモ。

「長期の避難生活になると、お母さんの精神的な安定も子どもに影響します。親がいっぱいいっぱいで、子どもも負担をかけないようストレスを溜め込んでしまう様子を見てきました。まずはお母さんががんばりすぎず、子どもが安心できる雰囲気を作ること、手軽にできることでは、お母さん自身の表情を元気に見せられるチークやリップを常備していてメイクすること。そんなことも大切です」

お化粧は、小さいけれどお母さんができる大事なワンアクションなのですね。

「これから30年内の南海トラフや首都直下大地震の発生確率は70%とも言われています。災害が多いこの日本に暮らし続けるのだから、生き抜くためには常に防災を考えて、日常の行動に落とし込んでほしいと思います。そして自分の身を守ることはもちろんのこと、周囲の人を助けることまでできる人が増えてほしい」

美咲さんの言葉を噛みしめながら、守るべき存在がいるからこそすぐに行動に移そうと、まずは家に帰って家庭の防災袋におむつと、色々代用がきく手ぬぐいを追加。これからも防災ガールの活動をウォッチして刺激を受けながら、日々の暮らしの中で常に防災をしている状態を保ち続けたいと思いました。

Information

防災ガール

WEB: http://bosai-girl.com

Facebook: https://www.facebook.com/bosaigirl

「防災の5つの基本アクション★」より

#1 声をかけあおう

#2 「もしも」の状況を考えておこう

#3 健康管理をしっかりしよう

#4 情報を理解し、判断しよう

#5 リラックスしよう

島原 愛子
この記事を書いた人
島原愛子理事/ライター
マーケティング大手で営業マネージャーとして活躍後、現在は健康・福祉分野の会社での営業広報と、森ノオト事務局でファンドレイジング担当理事、そして3児の母として「三足の草鞋」中。森ノオトエリアには故郷の六甲山の麓と似た空気を感じている。得意の英語を使って何かしたいと一案中。
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