夏にさらりとリネンを羽織る・SPLUSのシャツワンピース
グレーベージュより裾が短めのホワイト。紐はこうしてリボンにしたり、ルーズにたらしたり、紐使いでもシャツワンピースの表情を楽しめる
まぶしい光の中、木陰がとても心地よい季節となりました。みなさんは紫外線やエアコン対策にどのようなワードローブをお持ちですか? 羽織りものもその一つですよね。ゆったりシンプルを基本とし、少しだけかわいいかたち。そんな定番服を制作し、一人ひとりに添う服に仕立てるSPLUSのちいさなミシン部屋から、夏の羽織りもの・シャツワンピースをお届けします。

SPLUSのちいさなミシン部屋があるのは、東京町田市の小高い住宅街。かわいらしい赤い屋根のお家には、古道具屋さんで購入したというセンスの良い家具や建具が並び、まるでカフェのよう。

登山でみつけた紫陽花のドライを麻ひもで吊るされたすてきなTree potにさりげなく

登山でみつけた紫陽花のドライを麻ひもで吊るされたすてきなTree potにさりげなく

まずはそのすてきな空間にときめき、パチリパチリと写真を撮っていたわたしをにこやかにダイニングに通してくださったSPLUSのまきさんは、このお家でご主人と仲良く暮らしています。

インタビューの前にありがたいおもてなし。まるでカフェの取材? おいしいコーヒーをごちそうさまでした

インタビューの前にありがたいおもてなし。まるでカフェの取材? おいしいコーヒーをごちそうさまでした

まきさんは小さな頃から手芸やリメイクが好きで、パタンナーになりたいと服飾分野での進学を目指していましたが、ファイン系(美術の分野での油絵や彫刻、日本画など)の先生との出会いから武蔵野美術大学の油絵科へ。その後数年間、美術の制作活動などを経て、30歳の時にいつもかわいいシャツを着ていたご主人と出会いました。シャツ好きの彼の影響でシャツを着はじめたのですが、小柄でもあるまきさんには体型にあうシャツがなかなか見つからず、自ら買っては「直し」を繰り返して着ていたそうです。そのうち、自分に合うシャツをつくりはじめ、そこから独学でお2人の服を作るように……。

SPLUSの原点、ラグランシャツがとてもお似合いのまきさん。ダイニングにて

SPLUSの原点、ラグランシャツがとてもお似合いのまきさん。ダイニングにて

その4年後、2011年に結婚、町田に新居を構え、ミシン部屋が完成しました。

 

同時に洋裁の基礎も学び、2014年4月にSPLUSを立ち上げ、ブログの開設、5月に友人と青空個展世田谷てづくり市に出店。

 

自分で作ったラグランシャツが自信になり、11月に中目黒のcafé UNIQUEでシャツの販売を開始。着る人の体型の個性(腕が長い短い、なで肩、がっちり型、胸の薄さ厚さなど)や、身体の問題(肩こり、首が太い、腕の長さが違うなど)でシャツを敬遠している方に納得してもらえるシャツを提供できたら、という思いから、セミオーダーという形をとるようになります。これが今でもSPLUSの基本の考えになっています(受注販売でない商品も、着てみると意外にかわいく着られるように、という思いでつくっているとのこと)。

 

さてさて、次はお楽しみ。2階のちいさなミシン部屋へ……。

この窓から入る風と見下ろす景色が気持ちいい

この窓から入る風と見下ろす景色が気持ちいい

 

カタカタカタカタ……ミシンの音が響く。糸くず用の白い作業エプロンが新鮮

カタカタカタカタ……ミシンの音が響く。糸くず用の白い作業エプロンが新鮮

 

ほこりがかぶらないように引き出しに大切に収納されている、カラフルな糸v

ほこりがかぶらないように引き出しに大切に収納されている、カラフルな糸

ここからSPLUSの夏のシャツワンピースができるまでの工程をご紹介します。

 

今回の素材はナチュラルな風合いの中にしっとりした上品さもある、表情豊かはリネン。色はまきさんが一目惚れしたグレーベージュです。

袖先。難しそう!!

袖先。難しそう!!

(1)パターン引き(新規のものは何日も何週間もかかる)

 

(2)パターン直し(セミオーダーの場合、大きく直す時はパターンを直すところから)

 

(3)生地の水通し→地直し(一晩水に浸け、乾燥させた後アイロンでゆがみを直す。この作業は重労働。糊のついた生地は湯通ししたり、たらいで洗うことも)

 

(4)裁断

手入れが行き届いている裁縫道具

手入れが行き届いている裁縫道具

(5)芯貼り、アイロン(裁断後、接着芯を貼り、必要なパーツにアイロンで折り目をつける)

 

ここまでが準備段階です。

襟ぐり。まきさんはまち針を三種類使い分けている。打ち方も美しい

襟ぐり。まきさんはまち針を三種類使い分けている。打ち方も美しい襟ぐり。まきさんはまち針を三種類使い分けている。打ち方も美しい

 

白を基調とした明るいミシン部屋。古道具屋さんでみつけた照明に惹かれる

白を基調とした明るいミシン部屋。古道具屋さんでみつけた照明に惹かれる

(6)縫製(ミシンとアイロンで26枚の生地を縫い合わす。途中でハンガーループを編んで、背中のギャザー部分につける)

ハンガーループはレース糸で編んでいる。小さくともきらりと光るこだわり

ハンガーループはレース糸で編んでいる。小さくともきらりと光るこだわり

(7)ボタンホールあけ

 

(8)ボタン付け

 

(9)仕上げアイロン(洗いをかけないものは完成です)

 

(10)洗い(洗い仕上げのものは水洗いし、アイロンを軽く当ててから形を整える)

「肩が楽で肌に馴染み、着心地が良かった」とモデルの上野織香さん(身長157cm)。初夏の光に包まれながら、長めのシャツワンピースをさらりと着こなす

「肩が楽で肌に馴染み、着心地が良かった」とモデルの上野織香さん(身長157cm)。初夏の光に包まれながら、長めのシャツワンピースをさらりと着こなす

今年の春、SPLUSの洋服を取り扱うFremontでシャツ、ワンピース、パンツなどのセミオーダーの受注会(お気に入りの服を選び、サンプルから生地やハンガーループの色、ボタンなど合わせる)を、小野路やまいちでは何着かセミオーダーを受け、どちらもシャツワンピースは人気があったそうです。

 

基本のシャツワンピースはみなさんが思っているより大きいのですが、そこでは「よくある型に見えるんだけど着てみたら違った」「この大きいサイズ感が良い」とそのまま購入したお客さまもいたり、「長すぎるから裾も袖も短くしてほしい」「この服で良いのだけど……もう少しこうだと良いな」という方や、「以前購入して着心地が良かったから」というリピーターさんにはセミオーダーで受注。生地は馴染んできたら表情が変わるので、その時とパンツの腰の位置が違ってきたり、シャツの長い、短いなど、ほんの少しのストレスで着なくなってしまわないよう、SPLUSさんは半年間無料でお直しをしてくれるところがうれしい点です。

夏のシャツワンピースのホワイト。羽織るとゆとりのある大きさに上品な小さな襟がかわいらしさをプラス

夏のシャツワンピースのホワイト。羽織るとゆとりのある大きさに上品な小さな襟がかわいらしさをプラス

SPLUSのお客様は30代から70代。年齢層も幅広いのですが、普段取り扱っているお店がセンスの良い家具や生活雑貨のお店であることもあり、さまざまなタイプのお客さまが春のシャツワンピースを購入し、誰一人とも同じ着こなしはせず、まきさんは驚いたそうです。「お客さまは何が自分に似合うのかよく知っている。色々考えてつくっても、羽織ったらお客さまにもっていかれる、着こなしてしまう、それが面白い。自分一人では出会えない方々と出会える機会に感謝していますし、今後もこうしてイベントなどでお客様と顔をあわせる関係、あの方に……と想ってつくる仕事を増やしたい」とまきさん。

SPLUSのもう一つの顔、すべてオーダーが入っているパンツ用のカラーリネン。シンプルなシャツにこんなに美しい色のパンツ、着こなしてみたい。春はこれらの色でもシャツワンピースのオーダーが入ったそう。すてき!!

SPLUSのもう一つの顔、すべてオーダーが入っているパンツ用のカラーリネン。シンプルなシャツにこんなに美しい色のパンツ、着こなしてみたい。春はこれらの色でもシャツワンピースのオーダーが入ったそう。すてき!!

最後に……まきさんとのお話の中でなにより印象的で、魅力的だなと感じたことは、ご主人との時間を一番大切していて、自らの制作活動で家族が犠牲にならぬことを強く望み、一番の理解者であってほしいと思っているとのこと。SPLUSの活動は2人の夢だと良いな、家族あってのSPLUS……そんな想いの中で生まれたシャツワンピースを手にし、とても温かい気持ちでいっぱいになりました。

 

丁寧なSPLUSの洋服は、作り手である小柄なまきさん(Sサイズ)と買い手がずっと身近で、シンプル(S)だけれど、ちょっとだけかわいい形の定番服にひと手間(PLUS)かけて個々に添う服に仕立てています。自分に合った世界で1枚の服だから大切に着る。そんな洋服をまとう、歳を重ねていける女性になれたららすてきですよね。

グレーベージュより裾が短めのホワイト。紐はこうしてリボンにしたり、ルーズにたらしたり、紐使いでもシャツワンピースの表情を楽しめる

グレーベージュより裾が短めのホワイト。紐はこうしてリボンにしたり、ルーズにたらしたり、紐使いでもシャツワンピースの表情を楽しめる

Information

SPLUS(エスプラス)

http://splus-studiosplus.blogspot.jp/

SHOP

Fremont

http://fremontwork.net/

〒195-0063

東京都町田市野川803

Tel 042-860-2481

Fax 042-860-2486

ヒト匙+

http://sajiplus.exblog.jp/

〒328-0072

栃木県栃木市嘉右衛門町4-3

Tel 0282-51-2574

 

今月6月26日に「&SCENE手創り市」、秋頃には「クラフト市」に出店予定だそうなので、HPのお知らせをご覧になり、ぜひSPLUSの洋服を試着され、セミオーダーもお試しいただけたら、と思います。とても気さくなまきさんとの会話も楽しいですよ。

6月26日(日) 9:00-16:00

養源寺(文京区千駄木)「&SCENE手創り市」に出店します。

リネンやコットンの夏服のセミオーダーをぜひお試しください。試着室もあります。

http://www.andscene.jp/

*雨天中止。決定は当日の朝5時半にHP上でお知らせとなります。

おおかわら あさこ
この記事を書いた人
おおかわらあさこライター
自然のもの、手仕事が放つ光を切り取り、写真におさめるフォトグラファー。ピュアでやわらかな感性から生まれる作品に、とびきり繊細でやさしい言葉をふわりと添えるフォトレポートが多くのファンを生んでいる。植物が好きで、フレッシュな姿もドライな様子も載せた植物図鑑をつくるのが夢。
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