大人の社会科見学「森ノオトリサイクルツアー」
私たちの家庭から出た古紙・古布がどのように生まれ変わるのか?! 蒸し暑さの残る9月6日、午前中に横浜の港湾地区にある古紙・古布の回収施設「リサイクルポート山ノ内」の見学、午後は秦野市にある繊維問屋のナカノ株式会社の工場へ。12名のリポーターが参加したリサイクルツアーをレポートします。

 

生活のなかで出たごみや不要品。分別して集積所へ出すと収集車が運び去りそこにはもう不要品の姿はなくなります。その先の行方を知りたいと思い、森ノオトのリポーター向けの研修プログラム「森ノオトリサイクルツアー」に参加しました。

 

森ノオトでは、今年の9月に、思い入れがあるけれども着なくなった衣類や布小物を再生し、デザイン性の高い生活用品として新たな命を吹き込む「アップサイクルファクトリー」を立ち上げます。11月23日の「あおばを食べる収穫祭」でのお披露目に向け、ファクトリーチームでは現在、商品開発にいそしんでいます。プロジェクトの背景でもある、私たちの暮らしで使う「布」の行方をみんなで知り、学ぶために、今回のツアーは企画されました。

 

午前の部は、リサイクルポート山ノ内(横浜市中区)へ。

 

横浜の港湾地区にあるリサイクルポート山ノ内は、古紙・古布の回収施設です。横浜市内の家庭や事業所から出された古紙が集められ、再使用、再資源化できるよう手入れし梱包されます。

 

黄色いヘルメットを被って、いざ施設見学。たくさんのトラックが出入りし、ターレットトラックやフォークリフトが行き交う施設内

 

まず入って驚くのは積み上げられた古紙と古布の量です。頭のはるか上まで積み上げられていて、近くを通るのをためらってしまうほど。

 

話を聞いている間にもトラックが到着して積み荷を降ろしていきます。

 

古紙は、新聞・チラシ、段ボール、雑誌・その他の紙、紙パックの4種類に分けられます。そして、品目ごとに古紙をブロック状にプレスします。この一つの大きな塊はコンテナに積み込み易い形で、重さは1トンもあるそうです。毎日30〜40トンの紙がやってきて、その70%ほどが海外(主に中国)に輸出され、残りの30%が国内の製紙工場へ出荷されるといいます。

 

古紙全体の内訳は、新聞・チラシが20%、段ボールは30%、雑誌・その他の紙は40%、シュレッダー紙は10%ほど。パルプの繊維が長く質のいい紙パックの割合は非常に少ないそう。他の紙にまぎれないように分別して、洗って乾燥させて出したい

 

そして、古布のかたまりは、1つあたり約100kgで、ズボンやブラウス、男女やサイズごとに細かく200種類以上にわけられて積み上げられています。古布の約50%が古着として東南アジアへ輸出されます。東南アジアの人々は私たち日本人と体系も似ていることもあり、日本人の古着は重宝されるようです。

 

古着として選別されなかった古布は、20%がウエス(工場用ぞうきん)、20%が反毛(たんもう)関連の再生工場へ運ばれ、フェルトや軍手などに蘇ります。10%がどうしても再生できないものとして、焼却処分されます。

 

施設の開け放たれた出入り口からは海が望め、ここから再生資源が輸出されていくんだなと思いを馳せてしまいます。

 

サイズや形状ごとに分けられ、約100kgごとにパッケージしている

 

工場見学の後は、横浜市資源リサイクル事業協同組合(通称:リサイクルデザイン)の戸川孝則さんによる講演の時間です。ごみの分別体験では、一人ひとりが袋から資源物をとり、「プラスチック」「カン・ビン」「その他の紙」など、10種類以上にわけられた分別のどのカテゴリーに属するか分けていきます。日常に行っている仕分け作業ですが、改めて聞かれると悩んでしまうものも。

 

リサイクルデザインの戸川孝則さん。リサイクルの仕組みを分かり易く、面白く説明してくれた

 

「90万トンの燃やされているごみのなかに10万トンくらいリサイクルできるものがある」と戸川さん。

 

これは、私たち一人ひとりが責任をもって正しい分別を行えば減らすことができるものです。正しい分別をすることはもちろんのこと、せっかく分別した資源も汚れていたり、雨に濡れたりすれば、それは資源として使えるでしょうか。例えば、古布の回収の時に雨が降っていて、濡れたままの布類は、カビの温床となってしまい、ほかの乾いた布ににおいや衛生面で影響します。すると、周りのものも含めて燃やすごみにせざるを得なくなってしまうのです。私たちは「資源の生産者」でもあると、戸川さん。こうした事実を知ることが大事だと思いました。

 

古紙の山の前で集合写真

 

そして森ノオトでおなじみ、椿直樹さんのレストラン「大ど根性ホルモン」でお昼休憩。一息つくやいなや、まだまだ大人の社会科見学は続きます。

 

椿直樹さんがオーナーシェフを務める「大ど根性ホルモン」。美味しくいただき、みんなニッコリ!

 

午後の部は、繊維問屋のナカノ株式会社を訪ね秦野市へ。

 

リサイクルポート山ノ内とはうってかわって、山が近く感じるのどかな住宅地のなかにある工場です。横浜と同じなのは、トラックが出入りし、フォークリフトが行き交う様子です。

 

横浜市や海外も含め、手広く古布回収をおこなっているナカノの秦野工場では、毎日4万点もの古布を受け入れています。袋に入った古布を取り出し、サイズや形状ごとに約280種類に選別する作業を、すべて人の手で行っています。

 

工場の中に入ると、あまりの古布の多さに圧倒されます。これを人の手で分けていくのは大変な作業です。そして工場内の暑さ。この日は最高気温が30度以上の真夏日でしたが、工場内は40度近くありました。繊維を扱うため、エアコンをつけるとフィルターが埃で詰まってしまうそうです。

 

袋に入った大量の古布たち。これを一つひとつ開封し選別していく。もちろん袋はリサイクル

 

次々に慣れた手つきで選別していく姿はまさに職人のよう。熟練になると触っただけで化学繊維の配合割合まで分かるとか

 

私が驚いたのは、使用済みの靴下や下着も古着として輸出されているということ。穴があいていたり、ゴムが伸びきっていたりしていなければ、使用感があっても大丈夫とのこと。日本製は縫製もよく喜ばれるのだそうです。

 

使用済みの靴下や下着。キャラクターもののタオルなども人気があるそう

 

ナカノ株式会社の理念に賛同した方たちから届けられる古布の入った段ボール。全国各地から送料をかけて届けられてくる

 

ナカノ株式会社がつくっている古着からできた手袋「よみがぁ〜る」。脱色、染色なしの手袋で男性、女性、子ども用サイズがある

 

工場の前で集合写真。(左)ナカノ株式会社の内田長(たける)さん。古布の分別と再生で注目を受け、これまでたくさんの見学に対応しているからか、とてもわかりやすく面白い語り口

 

家庭ででる不要なものを、分別して袋に積めて収集場所に出す。

 

自分の手から離れたらサヨウナラという無責任な考えではなく、一人ひとりが次に手に取る人のことを意識したら、どんなに素敵な循環型社会になるだろう。

 

そして、今回の社会科見学の「リユース(再使用)」「リサイクル(再資源化)」の現場をみて、改めて「リデュース(ごみそのものを減らす)」の重要性を感じました。吟味して選び手に入れたものを大切に使い、不要になった時にはどの循環にのせて処分するかを丁寧に考えていきたいと思いました。

Infomation

リサイクルポート山ノ内

横浜市資源リサイクル事業協同組合

所在地:神奈川県横浜市神奈川区山内町13番地

TEL:045-444-2531

http://www.recycledesign.or.jp

ナカノ株式会社 秦野工場

所在地:神奈川県秦野市戸川467-2

TEL:0463-75-0564

http://www.nakano-inter.co.jp

山田 あさか
この記事を書いた人
山田あさかライター
美大出身で版画や絵画などアートの記事を担当することが多い。フェイスペイント、マタニティペイントの作家としても活動。ものづくりと表現の楽しさがあふれ出る家族のシーンを、取り入れたいと願うファン急増。旅行、アウトドア、ランニング、手作業が好きで、家と庭を快適にしたいと目論み中。
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