「どんぐりパン」を求めて、いざ、森ノ遠足へ!
森ノオトの看板息子は、どんぐりの「もりたろう」。仲間のどんぐりたちは、秋から冬にかけて、子どもたちの恰好の遊び相手となるだけではなく、なんと、食べられるのです! 森ノオトメンバーと一緒に旭区の「こども自然公園」に行き、長年の夢でもあった“どんぐりパン”に出会ってきました。

子どもが生まれてから、たくさんの絵本とふれてきました。そのなかでも、特に印象に残っている一冊が、『14ひきのあさごはん』(作・いわむらかずお、童心社)です。朝陽が差し込む森の中、おじいさん、おばあさんねずみ率いる14匹のねずみの家族が、早起きをして、全員で朝ごはんの支度をする姿が鮮明に描かれています。野いちごを摘みに出かけたり、外で湯気が立ちのぼるきのこのスープをつくったり、その一つひとつの描写が美しく温かい気持ちになる絵本です。そのなかで登場するのがどんぐりの粉でつくった焼きたての「どんぐりパン」。パチパチと薪が燃える“だいどころ”でつくられる「どんぐりパン」、いつしか、このどんぐりパンを食べてみたい! という夢が、子どもと私の中で密かに芽生えていました。

『14ひきのあさごはん』。愛嬌たっぷり、個性たっぷりの兄弟たちの行動にもほのぼの

そんな願いを心よく受け入れ、森の中でどんぐりパンを味わう機会をつくってくれたのが、横浜市の指定管理者として旭区にある「こども自然公園」内の水田、畑、雑木林などの管理運営をしている「特定非営利活動法人こども自然公園どろんこクラブ」の藤井優子さんです。横浜の中でも最大級の広さをもつこの公園へ、森ノオトメンバーやその家族と一緒に、秋の遠足に出かけました。

公園には、たくさんの小魚が泳ぐ大きな池やちびっこ動物園、バーベキュー広場などが点在する。親子で釣りを楽しむ人、公園内をジョギングする人、グループでバーベキューをする人など、おおぜいで賑わっていた

 

朝のひんやりとした空気も伴い、紅葉もくっきりと鮮やか。公園の至るところで、この季節ならではの美しい風景に出会える

藤井さんと職員の山下直子さんに案内され、公園の奥へと足を踏み入れていきます。カサカサと音のなる落ち葉の上を歩きながら、まるで獣道のようなところを進んでいくと、その先にぽっかりと小さな広場が表れました。大きな樹木に囲まれ、手作りの木のベンチに、奥には小さなエコストーブがひとつ。藤井さんたちが少しずつ手を加え整えてきた、まるで秘密基地のような場所です。

さあ、ここで、どんぐりパンをつくります。

はじめに、今日の流れを説明する藤井優子さん。野鳥や魚の名前、生態系に関わることなど、多くの知識をもつ藤井さんは自然界のプロフェッショナル!

今回は、事前に藤井さんたちが集めておいてくれたどんぐりを使用します。どんぐりにもたくさんの種類がありますが、この日は、アクが少なく、そのまま煎ったり加熱したりしても食べられる「マテバシイ」の実を使いました。森ノオトでは、以前に「スダジイ」を使ったどんぐりクッキーのレシピを紹介したこともあります。こちらもぜひご覧くださいね。

マテバシイをビニール袋に入れ、その上から木づちでトントン叩き、殻を割っていく

 

皮が割れたら、今度は固い殻と実の部分を分けていく。総勢30名近くのどんぐりパンづくり。どんぐりの量も立派! 大人も子どもも一生懸命に皮をむいていく

 

皮をむいたマテバシイの実を細かく砕いたものを、あらかじめ一次発酵をしておいたパン生地に練り込む。しっとりムチムチとした生地は、子どもにとっても最高のおもちゃ

 

各自が拾った枝に、パン生地を巻きつける。「マイ・小枝パン」を手に、思わずにっこり。後は、炭火で焼くのみ!

 

ここで、レシピを簡単におさらいします。

「どんぐりパンのつくり方」

材料

(パン生地、食パン1斤ほどの量)

強力粉 250g

塩 5g

オリーブオイル 5g

ドライイースト 2g

水 160g(季節によって調整)

(その他)

どんぐり(今回は、マテバシイ) お好みの量

*スダジイやマテバシイなどのシイの実のどんぐりは、アクも少なくアク抜きの必要はありませんが、シラカシ、アラカシやコナラ、クヌギなどのどんぐりは、アクが強いため何度も茹でこぼしてアク抜きが必要です。

アルミホイル

ーつくり方ー

1 強力粉と塩を入れた大きなボールに、あらかじめドライイーストと水、オリーブオイルをよく混ぜ合わせておいたものを加え、へらで混ぜる。手で5分ほどよくこねる。丸くまるめ、タッパーかビニール袋に入れ、一晩、一次発酵させる。

2 どんぐりを厚手のビニール袋に入れ、上から木づちで叩き、殻と実に分ける。実をビニール袋に戻し、再び上から木づちで叩き、好みの大きさに砕く。

3 一次発酵を終えたパン生地に、?のどんぐりを加え練り混ぜる。

4  木の枝の先端(パン生地を巻きつける部分)にアルミホイルを巻き、そこへ適当にカットした?のパン生地を巻きつけていく。巻きはじめる前に、生地はある程度細長くのばしておくと巻きやすい。

5  炭火に当てながら、表面がこんがりと色づくまで焼く。

6 出来立てを召し上がれ!

*パン生地は、日頃我が家でよくつくるパン生地の配合です。あくまで目安になりますので、お好みのパン生地でどうぞ。キャンプなどの場合、?を自宅で前日までに済ませておくととても便利です。

火起こしチーム。小学生と大人で火起こし。勢いよくパチパチと燃える

「まずは、木質の柔らかいスギやヒノキなどで勢いよく火を付け、その後、クヌギやコナラといった木質の固い薪を足していくと、火付きがよく火持ちのよい焚火ができます」と、藤井さん。

さらにもう一つ。焚火など火をいじる作業をする時には、綿100%の軍手がベストとのこと。燃えやすい化繊などが混ざった素材のものでは、火の粉が飛び散った際にすぐに燃えてしまい、とても危険だからです。焚火ひとつとっても、あまり知られていないことも多く、やはりそこにはプロならではの奥深い知識が必要だと思いました。

薪がはぜる音を聞きながら、みなで火を囲み、パンを焼く……。ただそれだけで、なにか穏やかな空気が流れていく

 

「どんぐりパン」のできあがり! 表面は香ばしく、中はもっちりふわふわ、どんぐりはナッツのような食感と風味でおいしい

 

赤ちゃんをおんぶしながらも、こんがりと焼けた「マイ・小枝パン」を片手に、大人もにっこり

 

パン焼きが終わると、大人たちは炙りものタイム。マシュマロ、焼きりんご、焼きバナナ、ソーセージ、焼きおにぎりなど、思い思いに楽しみます。そして、子どもたちはというと……

ここでは、ちびっこ女子会。「これ、おいしいよ」「これあげる」と言っているかのように、みんなでもぐもぐ

 

一番大きな小学生のお兄ちゃんにくっついていく2歳児組

 

ちょうど珈琲を飲みたいなと思った時に、突如現れた珈琲屋さん。実は、森ノオトメンバーの旦那さま。焚火に当たりながら飲む淹れたての珈琲は、最高のごちそう

 

こうして、「どんぐりパン」とのはじめての出会いは、藤井さんと山下さんが用意してくれた最高のシチュエーションのなかで実りました。

腐葉土の湿った香り、冷んやりとした土の感触、かさかさと鳴る落ち葉の音、上を見上げれば深い緑とすき間から見える澄んだ青空。そこにある、パチパチとはぜる薪の音、立ち込める煙の香り、子どもや大人のしゃべり声や笑い声。その風景の一つひとつが美しく、ただそこに居るだけで、五感が研ぎ澄まされ、身体の芯からリラックスすることができます。

森の中に突如現れた小さな広場は、そこにいる誰もが心地よくなるような、自然からの贈り物で満ちあふれた空間でした。

Information

「こども自然公園」

住所:横浜市旭区大池町65-1

開園時間:終日開園

休園日:なし

TEL:045-353-1166

HP:http://www.city.yokohama.lg.jp/asahi/guide/shisetsu/midori/park/kodomoshizen/

 

「特定非営利活動法人こども自然公園どろんこクラブ」

営業時間:9:00-17:00

営業日:火、金、土、日、祝

TEL/FAX:045-352-2820

HP:http://www.doronco-club.com/

清水 朋子
この記事を書いた人
清水朋子ライター
食べること、つくること、ワインとチーズ、焼酎を愛する食いしん坊。雑木林のような豊かな庭、愛するアンティークに囲まれた自宅の一角で、集会所+ときどき、喫茶として「Glänta(グレンタ)」を主宰している。小さな家の隅々まで愛おしみ使い尽くす、センスのよい暮らしぶりが注目を集める。
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