美濃屋のあられから横浜再発見の旅へ  地産地消の調味料講座
横浜で出会った人、もの、歴史……。小森さんの「横浜語り」に引き込まれる
森ノオトが平成28年度に開講していた「調味料講座」、最終回は美濃屋あられ製造本舗の四代目小森健太郎さんを講師に迎え「横浜野菜と横浜調味料コラボのパーティー」ということで、「三度の飯よりあられが好き!」な5歳の娘を持つ私も参加してきました。(写真:北原まどか)
講座の会場となった「古今ショールーム」。通りがかる度に気になっていた素敵な外観。気持ちの良い空気が流れる空間だった

講座の会場となった「古今ショールーム」。通りがかる度に気になっていた素敵な外観。気持ちの良い空気が流れる空間だった

地産地消調味料講座の会場「古今ショールーム」には、8回に渡って開講されてきた「地産地消調味料講座」に参加して「知れば知るほどもっと横浜産の調味料が知りたくなって」という常連さんから、「あられが大好き、そんなあられを調味料として使うというので興味津々」という初参加の人までが揃いました。

森ノオト料理部の大西香織さんが居るキッチンはいつもどこでも、安心と美味しい予感に包まれる

森ノオト料理部の大西香織さんが居るキッチンはいつもどこでも、安心と美味しい予感に包まれる

今日は1月の講座で登場した横浜生まれの「清水屋トマトケチャップ」で味付けたナポリタンを、講師の小森健太郎さん(美濃屋あられ製造本舗)が目の前でつくってくれるとのこと、ワクワクが高まります。小森さんのナポリタンは「濱の料理人」代表の椿直樹さんをも唸らせ、仲間内で「コモリタン」と命名されているほどなのです。

キッチンに並ぶ新鮮そのものの旬の野菜。小森さんが直接買い付けて来た横浜の採れたて地野菜

キッチンに並ぶ新鮮そのものの旬の野菜。小森さんが直接買い付けて来た横浜の採れたて地野菜

テーブルには小森さんがつくった「横浜発!老舗発!美濃屋あられと横浜の温故知新」というタイトルのレジュメが準備されていました。

今年で創業88年という美濃屋あられ製造本舗、「米寿ということで、お米にかけて記念になる年にしたいですね!」という小森さんの意気込みからお話は始まりました。

「さて、横浜発祥のものには何があるでしょう?」

そこは講座常連の方たち「ケチャップ」とすぐに声が上がりました。ケチャップの元となるトマトを始め、じゃがいもレタス、キャベツ、セロリなど、日本で初めて栽培されたのは横浜と言われる西洋野菜が多いのです。

また、「小松菜」は横浜が収穫量日本一なのだそうです(平成15年・16年産。詳しくは港北区の農家・小山晃一さんのレポートをご覧ください)。そんな横浜の誇る小松菜、小森さんは見逃しません。もちろんあります、美濃屋の「小松菜あられ」。

横浜で出会った人、もの、歴史……。小森さんの「横浜語り」に引き込まれる

横浜で出会った人、もの、歴史……。小森さんの「横浜語り」に引き込まれる

そして、有名なところで「ビール」があります。本牧エリア、中区小港町にある美濃屋あられ製造本舗工場の近くには「キリン公園」や「ビール井戸」があるそうです。現在、横浜の地ビールといえば、「横浜ビール」と「ベイブルーイング」が有名です。

ビールといえば、おつまみ!おつまみといえば「柿の種」ということで、小森さん、おつまみに最適な「柿の種」を開発しました。特製濃口醤油とビーフブイヨンを使った濃厚でとんがった味の、その名も「横濱ビア柿」。試食にどうぞと各テーブルに配られました。参加者からは当然「ビール飲みたい!」の声があがります。少し濃い茶色のビアがき、試食が止まりませんでした。「コリコリ、カリカリ」しばらくみんな口をもぐもぐさせながら、小森さんの横浜話へ戻ります。

他にも馬車道のアイスクリーム、クリーニング屋、石鹸、競馬、テニス、鉄道、などなど。「事始め全て横浜」という言葉もあるほどだそうです。

横浜調味料のコラボパーティー」の主役たち

横浜調味料のコラボパーティー」の主役たち

そして今日食べられるという「ナポリタン」も、横浜のホテルニューグランドの2代目総料理長が考案したものです。「プリンアラモード」や「ドリア」もニューグランド発祥です。

パスタの本場イタリアには、「ナポリタン」はないそうです。小森さん、2015年に本場イタリアへ乗り込み、ナポリの市長にナポリタンを振る舞い食べてもらったのだそう。さすがの行動力と、ユーモアを感じる小森さんらしいエピソードです。

また、美濃屋のあられも選ばれている、横浜一押しのお土産「横濱001」というブランドがあるそうです。「横濱001」は1989年「横濱博覧会」がきっかけとなり生まれました。

(「横濱博覧会」といえば、私たち世代は遠足で行きました。ブルアちゃんという地球を抱いた青い髪のマスコットキャラクターのグッズのお土産。博覧会の目玉だった「横濱大観覧車」に長蛇の列に並んで乗ったり、宇宙食を食べたり……、懐かしいあれこれを久しぶりに思い出しました)

開国以来続く「先進の息吹」と「ものづくりの意欲」を大切にし、個性ある横濱発のオンリーワン商品を目指す地域ブランド「横濱001」。言われてみれば、お土産物のコーナーで見かけます。

小森さんの熱い横浜愛あふれるお話を聞いていると、地元である横浜、まだまだ知らないことがたくさんあり、新鮮なことが盛りだくさんです。

情熱と発想力、行動力と出会いを大切に、老舗・美濃屋あられ製造本舗は新しい風を横浜に送っている

情熱と発想力、行動力と出会いを大切に、老舗・美濃屋あられ製造本舗は新しい風を横浜に送っている

横浜の特産品のお話も、盛り上がりました。「浜なし、浜ぶどう、浜かき」、果物の地産地消の良さは何と言っても、「木でしっかり熟成させたものを直接農家が届け、新鮮なうちに食べられることです」と小森さん。

日本有数の種メーカーである「サカタのタネ」も横浜の会社なのだそう。ちなみに横浜駅と東神奈川駅の間にあるサカタのタネの直営店「ガーデンセンター・サカタのタネ」にも地産地消コーナーがあります。そこでも美濃屋の「ブブあられ」などが買えるそうです。

小森さんのお話にはたくさんの「美味しそう」がちりばめられているので、聞いているとお腹が空いてきました。そんなタイミングで「では、そろそろ……」と小森さんと大西さんがいよいよキッチンへ。

調理器具も横浜ブランド!「ののじ」さんのトングを愛用

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週末は大抵どこかしらのイベントに出て、時にはこの「コモリタン」を振舞っているという小森さん、慣れた手つきで新鮮な野菜を炒めていきます。野菜は、森ノオトでも紹介している保土ヶ谷区の山本泰隆さん、神奈川区の平本貴広さんから仕入れたそうです。今日は玉ねぎに、旬のかぶを葉っぱまで、採れたてのほうれん草も使われていました。

そして登場、「清水屋トマトケチャップ」が豪快に入ります。ポイントは先に野菜を炒めながらケチャップを入れることです。そうすることで酸味が抜けて、甘みが引き立ってくるのだそう。そして今回の麺は横浜桜木町にある「センターグリル」のスパです。昨夜のうちに麺をじっくり茹で、水でしめて、油をまぶして冷蔵庫で寝かせることで、よりもっちり感が出てくるのそうです。

そして、今回のテーマは「調味料講座」! テーブルに置かれた美濃屋あられ製造本舗の可愛い「ブブあられ」を出来立てのナポリタンと温野菜のサラダに各自好きなだけトッピングします。考えたこともなかったこのコラボ……。目の前の小森さんの自信あふれる笑顔に安心して、振りかけてみました、たっぷりと。

「わあー!合う!」の声があちこちから。もっちりとしたナポリタンの食感にカリカリッとしたあられがアクセントになり絶妙です。サラダも、丸いつぶつぶとしたあられが乗ると見た目もぐっと可愛らしくなります。

私は先ほど試食でもらった「横濱ビア柿」もサラダにトッピングしてみました。柿の種のしょっぱさがドレッシングにとても合いましたよ。

11月の調味料講座で大ど根性ホルモン、ど根性キッチンのオーナーシェフ・椿直樹さんと、保土ヶ谷区の農家・苅部博之さんが伝授した「横浜・胡麻辣油」をタバスコの代わりに掛けると一段と味に深みがでて驚きの美味しさ

11月の調味料講座で大ど根性ホルモン、ど根性キッチンのオーナーシェフ・椿直樹さんと、保土ヶ谷区の農家・苅部博之さんが伝授した「横浜・胡麻辣油」をタバスコの代わりに掛けると一段と味に深みがでて驚きの美味しさ

あられは他にも、お味噌汁のお麩の代わりや、おしるこ、豚汁、野菜のマリネなど様々なお料理に調味料として使えるそうで、さらにあっと驚く食べ方を企業に考案中なんだとか。

横浜の話題、食の話題で盛り上がったランチが終わる頃、大西さんが「今日のお土産です」とテーブルに持ってきた袋を見て、歓声があがります。

美濃屋あられ製造本舗の「横浜ナポリタン」と「ブブあられ」でした。「帰ったらさっそくヨーグルトにトッピングしてみよう」「今日はビールが進みそう」「バニラアイスにも合いそう」など、みなさんお土産から楽しい想像とともに講座はお開きとなりました。

ほとんど全ての調味料講座に参加したという方は「毎回発見があって、長く住んでいる横浜ですけど、改めて横浜っていい町だなあと思えました」としみじみ。

「あられが調味料?!」不思議でしたが、最後は「納得!」

「あられが調味料?!」不思議でしたが、最後は「納得!」

計8回の講座を森ノオト料理部の清水朋子さんと牽引してきた大西さんも「『地産地消』というとちょっと硬いイメージなんですが、『横浜』というキーワードで、毎回面白く調味料を巡ったお話が聞けたり、味わえたりで、楽しい講座になりました。『今回の講座をそのまま、もう一度聞きたい!』と言ってくださる方もいるほど、どの講師の方々のお話も興味深く、お料理も最高でした」と安堵の表情でした。

「横浜のストーリーを乗せて」という言葉を自然と何度も口にしていた小森さん、横浜の浪漫がたっぷりと感じられ、もっと横浜が知りたくなった時間でした。そして調味料としてのあられ、これからの我が家の食卓で大活躍の予感です。

南部 聡子
この記事を書いた人
南部聡子ライター
富士山麓、朝霧高原で生まれ、横浜市青葉区で育つ。劇場と古典文学に憧れ、役者と高校教師の二足の草鞋を経て、高校生の感性に痺れ教師に。退職後、地域に根ざして暮らす楽しさ、四季折々の寺家のふるさと村の風景を子どもと歩く時間に魅了されている。森ノオト屈指の書き手で、精力的に取材を展開。
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