100V/12V/5V  3つのVでかしこく節電
コンセント
電気を使う時、V(ボルト)=電圧は、さまざまに変換されていることを知っていましたか? 私たちの知らない間に電圧は上げたり下げたりされているのです。そのしくみを知ると、どこに電力の無理や無駄があるのかが見えてきます。
 
一般的な家電は100V

一般的な家電は100V

日本の一般家庭のコンセントは、交流電流の100Vに統一されています。

海外旅行の際に、変圧器を使ったことのある人がいると思いますが、アメリカでは120Vとか110Vなど少し高め、ヨーロッパやアフリカ、中東の国々は220Vや240V と、日本の標準の倍ぐらいに設定されています。

電圧が高いと一度に流れる電気の量も多くなるので、変圧器で調整しないと機器が壊れてしまいます。そもそもコンセントの形状が違って使うこと自体ができなかったりもします。逆に海外の製品を日本でも使いたいからと、日本でも、一部だけ自宅の電圧を200Vに設定している方もいます。

USB端子は5V

USB端子は5V

一方、スマートフォンや携帯電話の充電には5VのUSB端子を使いますよね。

スマホは実は直流の電気を利用しているのです。それをわざわざアダプターで変換して交流100Vのふつうのコンセントから充電している人の方が一般的だと思うのですが、変圧には少しですがエネルギーのロスがあります。

そもそも発電所で発電された時の電圧は数万V(発電所によって異なる)で、それを50万Vという超高圧で送電し、そこから徐々に電線を通るために変圧され、電信柱では660Vまで変圧されて電線を通って、電柱のトランスで100Vまで降圧して各家庭に配電されるまでに、たくさんの電気のロスがあるのです。

電圧は簡単に上げ下げできるのがいいところではあるけれど、USB直流給電のためには、5Vの直流の電気をとれれば十分なので、もともと直流の電源を使うほうがムダがありません。実はパソンコンやテレビも、アダプターや製品内部で変換した直流の電気で動いています。直流と交流の開発の歴史の話は、電氣文学で詳しくふれていますが、両者の良いところをうまく利用して暮らす人が増えると、ハイブリッドでスマートな社会が実現すると言えるのではないかと思っています。

私はベランダ太陽光発電の12Vの電源装置にシガーソケットをつけ、そこに差したUSBのシガープラグからスマートフォンの充電をしています。太陽光発電でつくられる電気は直流で、それを貯めるバッテリーも12Vの直流電源なんですね。100Vの交流電気に変換するにはインバーターという機器が必要となり、その機器の動作分、電気をロスしてしまいます。使用してみるとよくわかりますが、インバーターが熱くなってきます。つまり電気のエネルギーが変換の仕事をすることで、熱のエネルギーとなって損失してしまうのです。自分で持ち運びできる小さな発電所にとって、そのロスは大きいので、なるべく直流のままで使うことにしています。

車のバッテリーは直流電源です。走行するときに発電しています。電圧は12Vまたは24Vですから、カー用品売り場へ行くと、シガープラグのついた直流で動く扇風機、ライトなどが販売されています。防災の観点から、またはアウトドアライフを楽しむために車中泊のセットを揃えている人はよくご存知でしょう。「直流家電」といって、炊飯器や湯沸かしポット、加湿器、冷凍冷蔵庫などもあるのです。また、直流でも交流でも動く家庭用エアコンを開発しているメーカーもあります。充電式のコードレス掃除機も、直流で充電できる仕様にして欲しいなと思うことがあります。

コンセント

コンセント

実際、既にUSBをそのまま使える家庭用のコンセントも販売され始めており、交流・直流それぞれを無駄なくつかえるエコ住宅は実現可能といえるでしょう。

100年前に、電気のある現在の普通の暮らしを想像できた人はほとんどいませんよね。いまを生きるわたしたちもまた、知らぬ間に、電気に対する固定観念や常識に縛られています。

エネルギーを非常に効率的に使える省エネのさまざまな技術が進んでいる現実を前にして、電気が不足する恐怖や不安を煽ったりするのは古い感覚と言えるのではないでしょうか。

直流で動く家電が市場に出回ってくると、現在の100Vの交流電源コンセントという、家庭の電気の標準仕様そのものが変わってくる可能性は大いにあります。これは革命的ですね。直流の復権が待たれます。

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この記事を書いた人
梅原昭子コミュニティデザイン事業部マネージャー/ライター
引き算の編集が好きです。できないこと、やりたくないことが多過ぎて消去法で生きています。徒歩半径2キロ圏内くらいでほぼ満ち足りる暮らしへの憧れと、地球上の面白い所どこでもぶらりと行ける軽さとに憧れます。人間よりも植物や動物など異種から好かれる方が格上と思っている節があります。
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