寺家ふるさと村の旬を味わう喫茶・お食事処「青山亭」
青葉区寺家ふるさと村の青い山を背負い、里山を見晴るかす場所に「青山亭(せいざんてい)」はあります。青山亭に行くといつも、四季のある日本の風土、温もりを感じる「おもてなし」の心、和食や和菓子の優しい味を懐かしさと共にしみじみと感じます。

 

青山亭は寺家ふるさと村の総合案内「四季の家」から、田んぼを挟んで向かい側の山腹にあります。時には青葉台から続くバス通りの寺家に近づく坂の辺りから、青山亭の敷地にある窯から煙がゆらゆらと上がるのが見え、風情を感じます。

樹齢60年という桜に迎えられる

青山亭へ足を運ぶと、店主の大曽根幹郎さん、そして先代であり今も厨房で腕をふるうお母様の喜代子さんが、いつもあたたかく迎え入れてくれます。

窓辺から、手入れの行き渡る庭先に咲く、季節の花々や木々を眺めるのも楽しい

春はお団子や夏の涼菓など、いつ訪れても季節を感じるおもてなし。お盆に添えられた折り紙や、卓上の花に、心癒されます。

寒い季節は甘酒を飲みながら、初夏には喜代子さん自家製の梅ジュースや赤紫蘇のジュースを、暑い日にはたっぷりのかき氷で涼みながら里山の景色をのんびり眺めたい

 

喜代子さんが見せてくれた茶炭。切り口が美しい「菊炭」が茶席では用いられる。真っ白いのは「枝炭」で、導火炭として用いられる。茶道で湯を沸かすときの炭には組み方の作法もあるそうです

お茶室もある青山亭。厨房に並んでいた鉄瓶のことを尋ねると、それは「燗鍋(かんなべ)」というもので、お茶会の懐石で用いられるものでした。そして、その燗鍋は寺家町に工房を持つ「釜師(茶の湯に用いる茶釜などの鋳物を製作する職人)」の根来琢三さんや中田敞さんの作品でした。また、寺家町には、お茶に不可欠な茶炭の専門店や、茶碗を焼く窯元もあり、茶炭の里から茶道の里として裾野を広げてきた文化もあることを知ることができました。

「……ぱちり、ぱちぱち」と炭のはぜる音が心地よい、青山亭につづくギャラリー木瓜の里

「……ぱちり、ぱちぱち」と炭のはぜる音が心地よい、青山亭につづくギャラリー木瓜の里

お弁当。添えらえた折り紙やテーブルの草花、いつも変わらない心遣い一つひとつに心が休まる

 

食事は目と香りと味で楽しむものという基本を丁寧に感じさせてくれる青山亭

青山亭を訪れるお客さんも自然に増えていき、お客さんのニーズに合わせ、喫茶だけでなく、豊かなお食事もできるお店になりました。

人気のメニュー「お弁当」に欠かせない煮物はにんじん、こんにゃくなど、それぞれの素材の持つ味わいを最大限に引き出すために、別々のお出汁で丁寧に煮ています。「淡々と、どなたにも馴染むよう、優しい家庭の味を作り続けることを心がけています」と喜代子さん。

旬のお野菜などは地元のものを使います。

冷たい稲庭うどん野菜の天ぷらセット。揚げたての季節感あふれる天ぷらと相性抜群です。この日はみずみずしい筍や、りんごの天ぷらに舌鼓を打ちました

冷たい稲庭うどん野菜の天ぷらセット。揚げたての季節感あふれる天ぷらと相性抜群です。この日はみずみずしい筍や、りんごの天ぷらに舌鼓を打ちました

満開の桜に誘われて、私が朝一番に行った日、常連の95歳のおじいさんと息子さんが窓に向かう席に並んで座り、お弁当をつまみに熱燗を飲んでいました。窓の外に降りしきる桜吹雪きを眺めながら、お二人で戦争のときのお話や、家にいるおばあさんへお土産にするお団子の相談をしながらくつろいでいました。

青山亭から見える景色とお客さんとの出会いの中で生まれ、日々繰り返されていく、さりげなくも印象的な時間でした。

5名以上から宴会もできるそう。家族、親族の慶事などにぜひこちらで集いたいと楽しみができました(写真提供:青山亭)

 

宴会の席でのお食事。器も楽しみ(写真提供:青山亭)

和食のお店というと、落ち着いた年齢層の人向けなのかしらと思っていましたが、喜代子さんは「小さなお子様連れの方もどうぞ、遠慮なさらずいらしてください。お茶会がないときなら、御座敷のお部屋を使っていただくこともできますし、赤ちゃんをお連れの方も気兼ねなく過ごしていただけます。子どもが居るという景色はごく自然なことですから」と話してくれました。

青山亭の引き戸を開ければ、長年一緒にお店を作ってきたスタッフと大曽根ファミリーのつくる温もりのある空気が待っている

 

青山亭の前から熊野神社の方をのぞむ。「田んぼには空気を浄化する力があるそうで、寺家町は空気も少し違いますね。農家の方が丹精込めてつくる田畑と、今の季節の萌黄色に染まる山の景色が大好きです。ずっと残って欲しいですね」と、いつの間にか割烹着に着替えていた喜代子さんの優しい笑顔が心に残る

Information

青山亭(せいざんてい)

住所:横浜市青葉区寺家町679

電話:045-962-2709

営業時間:11:00-17:00(時間外の宴会について相談受け付けます)

定休日:火曜日(火曜日が祝日の場合は翌日)

南部 聡子
この記事を書いた人
南部聡子ライター
富士山麓、朝霧高原で生まれ、横浜市青葉区で育つ。劇場と古典文学に憧れ、役者と高校教師の二足の草鞋を経て、高校生の感性に痺れ教師に。退職後、地域に根ざして暮らす楽しさ、四季折々の寺家のふるさと村の風景を子どもと歩く時間に魅了されている。森ノオト屈指の書き手で、精力的に取材を展開。
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