「横浜の光も闇もすべて知ったうえで、横浜を愛したい」 作家・山崎洋子さん
NPO法人森ノオトが主催する「かながわローカルメディアミーティング」では、神奈川県内で活動するメディア関係者らが中心となって、メディア運営にまつわる情報交換や問題意識の共有などの公開会議をおこなっています。第1回目の様子をリポートします!

<かながわローカルメディアミーティングの様子は、Youtubeの「森ノオト ローカルメディアチャンネル」の動画でご覧いただけます!>

 

 

「かながわローカルメディアミーティング」第1回は作家の山崎洋子さんをゲストに招き、「誰も知らない私だけの情報を届けること、その責任って?」をテーマに、いわゆる“特ダネ”について、話題を深めていきました。コーディネーターはフリーアナウンサーであり森ノオトライターでもある船本由佳さんです。

コピーライターから転身し、38歳で小説家となった山崎さん。江戸川乱歩賞を受賞し華々しく作家デビューした時に、多くのメディアが山崎さんへインタビューに訪れます。
 
「さまざまな記者の方がインタビューをしに来ましてね。作品も読まずに上司に言われたから来た人、テープ起こしをしたものを読むための原稿にリライトせずにそのまま出してくる人、インタビューするべき内容を何も考えてこない記者もいたんです」(山崎さん)
 
自分が取材を受けるという経験は、のちにノンフィクションを手がけることになった山崎さんが、対象に迫る時の相手への敬意や、事実確認など、取材時に気をつけておくこととして大いに役立ったと言います。

1947年、京都府生まれ、横浜市在住。1986年、横浜の遊郭を題材にした『花園の迷宮』(講談社)で第32回江戸川乱歩賞を受賞し小説家としてデビューした。著書はこれまでに70冊以上、エッセイ、ノンフィクションも手がける

ノンフィクションとしての処女作となった『天使はブルースを歌う』(毎日新聞社)で、「ノンフィクションの怖さと面白さに目覚めました」と語る山崎さん。その本に登場する、知られざる「根岸外国人墓地」のエピソードでは、終戦直後の混沌とした横浜でひっそりと亡くなっていった小さな命の存在を世に出すまでの、行政との緊張感のある取材秘話に、情報発信者としての魂を感じました。
 
「横浜の光の部分だけじゃなく、闇もすべて知りたい。全部含めて横浜を愛しているんです」(山崎さん)
 
蓋をされていた横浜の闇の歴史にも光を当てることこそが、横浜の歴史をより深淵に理解し、慈愛に満ちた郷土愛を育んでいくのかもしれない。山崎さんの言葉に深く共感しました。そして、テクニックやコツといった小手先のやりとりではなく、知りたい、届けたい、という情熱こそが、情報発信を担う人たちが時代を超えて備えておくべきものなのだと感じました。
 
ご自身の不遇な生い立ちや、作家生活を続けながらの夫の看病、死去……というシリアスなエピソードも、会場を笑いに包むユーモアを交えながら明るく話す山崎さんのトークに、どんどん引き込まれていきました。

この日は約30名が参加し、会場のマスマス関内フューチャーセンターは熱気に包まれた。ワークシートに書いた「私の特ダネ」をテーマにディスカッションしている様子

山崎さんのお話の後は、参加者同士によるワークに移っていきます。この日集まったのは、大手日刊紙や地域情報誌の現役記者からローカルメディア運営者、ジャーナリスト、フリーライター、これから情報発信を考えている方、社会起業家まで、実にさまざま。
 
5グループに分かれて、事前に書いたワークシートを元に「私にとっての特ダネ/その理由/ニュースソースの割合/取材時に大切にしていること」を語っていきます。

山崎さんもグループワークに参加!

各々の特ダネを持ち寄りながら、その情報に行き着くまでの情報源やニュースになった時の反響など、普段聞けない取材の裏話が飛び交う会場。所属するメディアや肩書きではなく「自分」を主語にした参加者たちの活気あるトークが印象的でした。各グループともに話は深まり、情報に対しての読者のリテラシーを高める方法はあるのか、ローカルメディアの定義ってなんだろう、メディアのマネタイズ、新聞の購読率低下をどう考えるか、といった話題の意見交換も活発におこなわれていました。

最後には各グループで話したことのシェアタイム。講座後は名刺交換も活発に行われ、参加者同士のつながりも生まれていた

第2回目は7月26日(水)に開催します。ゲストトークに横浜コミュニティデザイン・ラボ理事の宮島真希子さんをお呼びし、「SNS時代の情報発信について」、宮島さんが今感じている課題について語っていただきます。後半は参加者同士のディスカッションも予定しています。
 
第3回目は8月30日(水)。環境ジャーナリストとして、世界の様々な課題を取り上げてきた木村麻紀さんを迎えて、いま話題のSDGs(持続可能な開発目標)をローカルメディア流に編集し、ローカルとグローバルな課題を結びつけていくコツなどについて語り合います。
 
かながわローカルメディアミーティングでは、メディアの最前線にいる人たち、これから情報発信を担う人たち、地域のクリエイターたちが、常に変化する時代の中でメディアが抱える課題を共有して、地域全体としての情報発信意識や、リテラシーの向上を目的としています。
 
メディア関係者の皆さん(新聞社・タウン誌・webメディア・紙媒体・テレビ・ラジオ……)、地域情報の発信を始めたい方、情報発信に課題を抱えるNPOや団体関係者、地域とつながりたいクリエイターの方、ご参加をお待ちしています。

Information

<ローカルメディアミーティング>

ゲストの活動紹介と話題提供、質疑応答や意見交換をおこないます!

2回:2017726日(水)13:00–15:00 宮島真希子さん(横浜コミュニティデザイン・ラボ理事)

3回:2017830日(水)13:00–15:00 木村麻紀さん(環境ジャーナリスト)

(以降、10月、11月、20181月、2月開催予定)

<ローカルメディア&クリエイター ミートアップパーティー>

ローカルメディア関係者、市民団体によるショートプレゼン、グループトーク

2017927日(水)19:00–21:00

12月はデザイナーやクリエイターのプレゼンパーティーを予定)

会場:mass×mass関内フューチャーセンター(神奈川県横浜市中区北仲通3–33

http://massmass.jp

参加費:一般2,000

主催:特定非営利活動法人森ノオト

TEL045–532–6941

Emailevent@morinooto.jp

共催:関内イノベーションイニシアティブ株式会社(mass×mass関内フューチャーセンター)

本事業は、神奈川県の「かながわボランタリー活動推進基金21」の平成29年度ボランタリー活動補助金を得て、特定非営利活動法人森ノオトが運営しています。

提供された個人情報は、今回の事業実施のみに利用し、その他の目的で個人情報を利用することはありません。

宇都宮 南海子
この記事を書いた人
宇都宮南海子ライター/スタッフ
元地域新聞記者。エコツーリズムの先進地域である沖縄本島のやんばるエリア出身で、総勢14人の大家族の中で育つ。田園風景が残る横浜市青葉区寺家町へ都会移住し、2017年から森ノオトの事務局スタッフとして主にシステムと編集部を担当。ワークショップデザイナーとしての活動もスタート。
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