つまらない時間って、豊かな時間
都筑区にあるまんまるプレイパークには、たき火があって、竹で作ったジャングルジムみたいなものもあって、大きな木には、ブランコもかかっています。のこぎりやかなづちなどの道具も出してあります。あれやっちゃダメ、これやっちゃダメ、と同じくらい、あれしなさい、これしなさいという大人の声が聞こえてくる今日この頃、子どもたちの「そのまんま」があるプレイパークの日常をお届けします。
(文=まんまるプレイパーク・西田清美 /写真=まんまるプレイパーク)
*このシリーズでは、「子どもを育てる」現場の専門家の声を、毎月リレー方式でお送りしていきます。

まんまるプレイパークにいると、「あーつまんねえな」「なんかやることない?」と言ってやって来る小学生や、中学生とよく出会います。

大抵そういう子は、たき火の前にいる大人に声をかけてきます。
食べ物を焼いていたら、
「何それ?」「食べていい?」
「いいよ」と言ってしばらくすると、「いやいや 他の人の分がなくなるでしょ……」というまで食べます。

お腹が満たされると、遠くからたき火の周辺に向けてボールを蹴るとか、倉庫の中のものをとりあえず出してみるとか、たき火の火を外に出すとか……。
大人にとっては、迷惑な行為です。だから、周囲の大人に「やらないで」なんて言われます。すると、嬉しそうに、もっとやったりします。
プレイパークにいる大人は、プレイリーダーと言われている人や、世話人と言われている人や、小さな子を連れたお母さんであることが多く、「あぶないからね、気を付けてね」と優しく声をかける人もいれば、見て見ぬ振りしながら見守る人もいれば、「いいかげんにしなさいよ!」と 怒る人もいます。
いずれも、やっている子どもの保護者ではないことが多いです。もう小学生なので、親とは遊びに来ません。もちろん中学生も一人できます。

たき火で、各家庭からの残り物であったかい鍋を囲むのがこれからの季節のプレイパークの楽しみ

たき火の前で火を外に出している小学生を危ないなと思ってみていたら、枝をたき火に入れて、枝の先に火が付いたら外に出す。うっすらとともる小さな炎を眺め、でもそれはすぐに灰色に変わり、細い煙が空へ立ち上る……。消えたら、たき火に入れて、枝の先に火を灯す。

子どもたちにとって、やっぱり火は魅力。一人でずっと火にむかう

そんなことを繰り返しているうちに、思いついたんでしょうね。
スポーツの大規模な祭典でよく見られるトーチリレーを。どうしてもそれを持って走りたくなっていました。いや、思いついたら走り出す。これが子どもです。
でも、走る前に枝についた火は消えてしまうので、その子は何度も挑戦していました。その表情は、真剣です。その姿を見て「おもしれー」と、小学生男子が集まってきました。子どもたちの面白いことへの嗅覚は、鋭いです。どんなに遠くにいても気付いちゃうのです。 なるべく長い棒を見つけて、みんなが次々火をつけて空に向けます。
一人でやっていた遊びに、仲間ができました。面白いことに共感する仲間です。
(その後どのようになっていったかは、また何かの機会で……)

たき火を囲んで食べ物を焼いたり、べっこう飴を作ったり

私は、都筑区の「公園遊びキャラバン隊」という事業に関わっています。
初めて公園に来た2歳前の男の子が、砂場の中で立ち尽くしていました。生まれて初めての砂場。おまけにたくさんの子どもたちと大人たち。目の前に置かれた砂場遊具……。
どうしていいのかわからずに、カチンカチンに固まっていました。
手には、お母さんからもらった小さなドングリが一つ握られていました。
彼が初めて動いたのは、握っていた手からどんぐりが落ちたときでした。
「あー」っと言ってお母さんに、そのことを報告しました。
「落ちちゃったね」と、お母さんが落ちたどんぐりを指さし、彼にやさしく応えました。彼は、しゃがんで砂場の中に落ちたどんぐりを拾いました。
そしてドングリを握って立ち上がり、お母さんに見せました。ちょっぴり笑顔で・……。
「よかったね」と、お母さん。

大好きなお母さんが 見守っているから安心

そのとき彼は、目の前にあった水の入ったバケツに気が付きました。おもむろに握っていたドングリをその中に落としてみました。「ポチャン」。小さな消え入るような音と小さなしぶき。お母さんと顔を見合わせた彼。彼の気持ちが動いた瞬間です。
お母さんが、そばにあったもう一つのどんぐりを彼に渡しました。気がついたらそこにあったどんぐりが、全部水の中に入っていました。そして彼の表情に笑顔が見られました。
彼が、自分で見つけた「遊び」でした。そこには、お母さんが見守ってくれて応えてくれ安心感が不可欠でした。キャラバン隊の終わりころには、一人で水道から砂場まで何往復もして水を運ぶ彼の姿がありました。お母さんは、ほかのお母さんとおしゃべりしながらその姿を嬉しそうに見ていました。

公園遊びキャラバン隊の様子。砂場に水をいっぱい入れて裸足になって遊んでいます

遊びの本質は、「やってみたい」とういう心の動きです。
でも、「やってみたい」という気持ちになるのには、時間がかかるんだな……
子どもはいろんな形で試してきて、ここは、自分を出しても大丈夫なところかな? って確認することから始めるんです。
それは、2歳でも15歳でも同じなんだな。

小さい子から中学生まで 土と水が子どもたちの心をほぐす

遊び場にいると、そんなことに気づかされます。
「つまらない」時間は、実はとても大切なんです。
「つまらない」時間をじっくり持てることこそが、豊かなのかもしれません。

遊び場では、子どもたちがいつのまにかやってきて、遊んで、誰かと出会って 時々けんかして、途中で帰って、ひょっこりまた来て……1日の流れがゆっくり過ぎています。
そして今日の続きが、またできます。来るのも来ないのも自由です。
何年も来なかった子が、ひょっこり遊びに戻ってくる。

そんな時間の流れの中で子どもたちが育っていくことを大事にしたいです。

Information

まんまるプレイパーク

開催日:毎週月・火曜日、毎月第24日曜日11:0017:00

場所:都筑区鴨池公園内かきのき広場

住所:横浜市都筑区荏田南2丁目 

牛ヶ谷公園(第4月曜日のみ)

http://manmarupp.ciao.jp/

Profile

西田清美(まんまるプレイパーク)

大阪府箕面市出身。そこで「あそぼう会」というお母さんたちの子どもの遊び場づくりをお手伝いしたことがプレイパークに関心を持つきっかけに結婚を機に横浜市都筑区に在住。

この記事を書いた人
寄稿者寄稿者
カテゴリー

まだデータがありません。