白いハコ派の夫、色を塗りたい妻。家具で世界観をつくる野口家のリノベーション
インテリアに造詣の深いご夫婦が家をつくりました。こだわりを持った二人だからこそ、家づくりを通して様々な発見がありました。こだわり家族の家づくりエピソード。そこには、横浜市青葉区のヴィンテージマンションをリノベーションした野口幸子さんのインタビューを通して、これから家をつくる人へ届けたいメッセージがたくさん見つかりました。

森ノオトのNPO会員で横浜市青葉区にお住まいの野口幸子さん。私は、以前に一度だけ幸子さんの自宅を訪れたことがあります。当時は賃貸住宅にお住まいでしたが、インテリアの仕事に携わる野口礼さん・幸子さんご夫妻が厳選した家具や小物が部屋の中に上手に配置され、野口家の世界観がしっかりと表現されていることに感心しました。そんなこだわりを持つ二人が中古マンションを購入し、フルリノベーションを行ったと聞き、ぜひ見せていただきたいと私は幸子さんに取材を申し込みました。

 

野口幸子さん。1歳の男の子と4歳の女の子の二児の母。今はお休み中だが、以前は自宅で石けん教室を開催していた

 

 

2年前から家探しを始めた野口さんご夫妻。気に入る物件になかなか出会えず、気長に家探しをしようと話していた矢先に、現在の住まいとなる「たちばな台ガーデンハウス」の広告に出会いました。以前から気になっていた物件だったこともあり、すぐに内見を申し込みます。

 

「内見をした時点では、まだ前のオーナーが住んでいました。その方がこの家をとても大切されていて、美しく暮らしている様子が垣間見られ、私たちはこの家にとても良い印象を持ちました」(幸子さん)

 

野口さんご夫婦はこの家が大変気に入り、すぐに申し込みをし、その後契約まであっという間に進んでいったそうです。あまりにスピーディに話が進んでいったので、幸子さんは少しとまどったと言います。

 

40年前のたちばな台ガーデンハウスのパンフレット。いま見てもおしゃれ

 

 

リビングは広くて、日当たりの良い快適な空間にしたいというのが、幸子さんと礼さんの共通の希望でした。この家の2階はとても日当たりが良かったことも、大きな決め手となったそうです。これまで1階にあったリビングを2階にもってくることを大きな柱に、フルリノベーションを行うことになりました。

 

取材時はあいにくの雨。晴れた日には日がサンサンとふりそそぐリビング。グリーンや小物が効果的に配置され、広くて気持ちの良い空間

 

 

野口さんご夫妻がリノベーション設計を依頼したのは、新居のほど近くに事務所を構えるショセット建築設計室です。ショセット建築設計室は森ノオトでライターの山川紋さんと、パートナーの伊藤康行さんが主宰する建築事務所です。

 

「山川さんは私たち家族の好みをよく知っているので、一から説明する必要がなく、話を進めやすかったです」と幸子さん。設計者との雑談の中で、野口ファミリーの新しい家へのイメージが少しずつ固まっていきました。

 

野口家は、ご主人の礼さんは有名なインテリアショップのバイヤー、幸子さんも家具や雑貨のショップスタッフをしていた経験から、仕事を通じて多くの家具や小物を見て来ました。自分たちの好きなテイストをしっかり理解し、理想とする生活空間像がはっきりとしています。

 

「主人は部屋に置く家具や小物で、自分たち好みの空間を表現していくので、空間自体は凝ったものではなく、シンプルにしたいという思いがありました」と幸子さんが話すように、礼さんの要望は部屋の床、壁、天井をシンプルに美しく仕上げた箱を作ってほしいというのが要望でした。

 

キッチンの壁はモルタル仕上げ

 

家の購入を機に、ずっと欲しかった調理器具を揃えたそう。こだわり抜かれたヤカンや包丁などに目は釘づけ

 

 

家づくりを進めていく中で、夫婦の意見が割れることもありました。

突飛な色やデザインは飽きがくるので、壁は白で無機質な空間にしたいと考える礼さん。

一方、部屋毎に色のテーマを決めて、壁にペンキで色をのせたいと考える幸子さん。施工者である青葉台の工務店・株式会社古今さんに勧められ、ペイントブランドFARROW&BALLのショールームに実際にペンキを見に出かけました。そこで落ち着いた奥深い色合いのペンキを見て、礼さんの気持ちは少しずつ動いていったようです。2階のリビングの壁は礼さん希望の白とするものの、1階の居室と廊下の壁と扉は幸子さん主導で、ペンキで色を塗ることになりました。

 

また、収納は後付けにして、収納家具を買えばよいと考える礼さんに対し、「収納家具を置くことで部屋が狭くなるのが嫌」と収納スペースは造り付けでしっかりとっておきたいと考える幸子さん。夫婦で話合いを続け、最終的に幸子さんの希望が通り、1階には機能的な収納スペースができました。

 

子ども部屋の脇に作られた収納空間。子どもの小さい洋服が並んで掛けてある様子が可愛いらしい

幸子さんおすすめのマワハンガー。洗濯を干すときにそのまま衣類を掛けて、乾いたらそのまま収納することで洗濯物を片付ける時間が3分の1になったそう

 

 

家づくりは自分や家族の好み、考えを再認識し、お互いの意見を尊重し時に譲歩しながら、家族にとってベストな形を作り上げていく作業なのだなと、野口家のエピソードを聞き、納得しました。

 

リビングと外部が一体となった空が欲しいという礼さんの要望からつくられたウッドデッキ

 

 

今回、1階の居室、廊下、扉のペンキ塗りは野口ファミリー総出で行いました。「10月から始めたペンキ塗りは思っていた以上に大変で、途中で、自分たちで塗ると決めたことを後悔することも度々でした」と笑う幸子さん。4歳と1歳のお子さんを連れての作業は週末だけでは間に合わず、工事終盤の12月に入ると平日も空いた時間に家に出向き、作業をしたそうです。

 

子ども部屋。将来は2つの空間に仕切られるように設計されている。「子供が大きくなり、壁の色を変えたいと言い出した時は上から塗り直せるのがペンキのいいところです」(幸子さん)

 

DIYでの壁塗りは大変な作業でしたが、その経験から得られたものはとても大きかったようです。

 

「何度も工事中の家に通うことで、じっくり工事の進捗を見ることができました。おかげで、これから自分たちが暮らしていく家の構造をしっかりと理解することができました。この家は壁芯の構造なので、抜けない梁や壁があります。この先、自分たちで棚をつけたくなった時、どの壁だったら取り付け可能か分かります。家のどこかに不具合が出たときには、簡単なものであれば自分たちで修繕もできるかもしれない」と笑いながら話す幸子さん。壁塗り作業を通して、家への愛着が生まれたたようです。

 

今回の家づくりで、設計者と施工者が楽しんで家づくりをしている様子が印象に残ったと話す幸子さん。設計者も施工者も地元の企業なので、今後も何かあったらすぐに相談できるという安心感も得られました。

 

ドライヤーを掛けるフックが取り付けてあったり、細かい所まで配慮され、使い勝手が良さそう。洗面所に置かれたお酢はリンス代わりに使うのだそう

 

 

「今回の家づくり、とても楽しかったです。機会があればもう一度やりたいですね。でもきっとまた同じような家になるんじゃないかな」と笑顔で話す幸子さんはとても満足そうでした。

 

クリエイティブな野口さん家族ですから、きっとこの先もこの家は進化していくのでしょう。時間が経過した時、ぜひまたこの家を訪れたいと私は思いを馳せるのでした。

 

Information

ショセット建築設計室

http://chaussette-archi.com/

 

株式会社 古今

http://kokon-sumai.co.jp/

牧志保
この記事を書いた人
牧志保ライター
色々な地を転々としながら2度目の横浜暮らし3年目。「興味あることは、やってみる!」をモットーに忙しい毎日を楽しく奮闘中。週末、家族と過ごす、もちより畑、キャンプ、DIYでリフレッシュ。テンコ盛りな今の生活が結構気に入っている。福岡県出身、 2女の母。
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