野菜マフィンから食の創造工房へ。AS factory(アズファクトリー)
横浜市営地下鉄ブルーラインの弘明寺駅。駅から延びる商店街のはずれに、マフィンとスコーンのお店「AS muffin」(アズマフィン)の厨房があります。そこでつくられているマフィンには、季節ごとの野菜と、お店を切り盛りする水島さん姉妹の食への情熱、人への愛情がたっぷり詰まっています。

オンラインショップと、厨房のある建物で行われる週に一度の直売を通して、マフィンの販売をしているAS muffin(アズマフィン)。

 

「オンラインという相手の顔が見えない販売方法でも、注文を受けてから、品物が手元に届くまでのワクワク感や楽しみを感じてもらいたい」と語るのは、商品の写真撮影やSNSへの投稿を担当している姉の綾子(AYAKO)さん。
また、「マフィンは、高級品ではなく、身近なものを使ってつくれる気軽な食べもの。一つ分をつくるのはかえって難しく、みんなで食べることで、コミュニケーションが生まれたら」とも。野菜という意外な食材が使われていることで、驚きを誘い、会話のきっかけも生まれます。ASmuffinでは、マフィンのおいしさはもちろんのこと、人と人とのつながりを大切に想い、楽しく食べるために工夫をしています。

この夏限定のマフィンは、ナス、トマト、ホウレンソウが入った三種類

加工や演出に頼らず、けれども、おいしそうに見えるように、撮影にも熱がはいります

 

マフィンづくりを担当しているのは、姉の綾子さん曰く職人気質だという妹の智子(SATOKO)さん。ギフトの注文が増える年末など、ハイシーズンには、日に200個近く焼き上げることもあります。
中はしっとり、外はさっくり。種類や時期によって含まれる水分が変わる野菜を使って焼き菓子を作るには、全体の水分量に気を配る必要があります。仕込みの際に、混ぜこむ牛乳の量を見極めるようにしているそうです。

 

 

「レシピはあるものの、実際に試作を繰り返しながら、調節していきます」と、智子さんは教えてくれました。

それを聞いて、何事も、コツをつかむには、経験が必要だと思い、わたしも野菜マフィンづくりに挑戦してみたくなりました。

 

 

AS muffinのおいしさの秘密は、食材の組み合わせでもあります。

例えば、ナスにはブルーベリー。トマトとチーズ。ホウレンソウにキウイ。実際に食べてみると、甘味や酸味が、絶妙にマッチしています。

 

 

オンラインショップを覗くと、一年を通して手に入る食材をつかった「じゃがいも&青のり」など、他にも興味をそそられる組み合わせのマフィンが並びます。
旬の野菜を使うため、季節ごとに入れ替わるレシピは、2人がそれぞれ飲食店で食事をする際に、出てきた料理を参考にすることもあるそう。食べることが大好きだという綾子さん、智子さんの、日常生活の中から、思わず笑顔がこぼれるおいしいマフィンを生み出す着想と味覚に脱帽します。

姉の綾子さん(左)と妹の智子さん。正反対の性格だという水島さん姉妹ですが、2人の会話からはお互いを心から信頼しているのが伝わってきます(写真提供:水島綾子さん)

「野菜嫌いな人でも、一口目から笑顔になるマフィンを目指して」という想いで丁寧につくられているマフィン。野菜の味もしっかりと感じながら、おやつ感覚で楽しめます(写真提供:水島綾子さん)

 

綾子さんは、今年度、横浜市主催の地産地消分野の人材育成講座「はまふぅどコンシェルジュ講座」を受講しています。智子さんは、11期生として一足先に修了しました。
マフィンづくりに使われている野菜は旬だからこそ、手に入らない場合があるものの、なるべく、横浜市内で生産されたものを使っています。
はまふぅどコンシェルジュ受講中に知り合った農家さんの畑に、定期的に足を運び、畑仕事を手伝ったり、厨房の近くに住んでいる農家さんに、農地への行き来の合間に届けてもらったり。仕入先の農家さんとの密な関わりにも、「人と人とのつながりを大切に」というお二人の想いが感じられます。

 

 

AS muffinとして開店したのが、2015年のこと。

現在では手作りマフィンの販売に加えて、さらに二つの事業を包括した「AS factory」を運営しています。

 

 

AS factoryのテーマは、ずばり「たべるを、たのしく」。

「今まで培ってきた経験を発展させるため、単に、生産量を増やすのではなく、規模が小さいからこその強みを生かして、楽しいことをしたい。大切にしたいのは、相手との距離感」と、綾子さんは、進化を続ける姿を語ります。

 

AS factoryの新たなサービスとして、2018年からオーダーメイドの野菜マフィンの注文が加わりました。

例えば、結婚式でゲストの方に配るプチギフトとして、新郎新婦にゆかりのある食材で、オリジナルマフィンを作ることができたり、自家農園で採れた野菜を使って、加工品として販売したり、カフェの看板メニューに活用したり。

アイデア次第で、食べてもらう相手との距離がぐっと縮まる、オリジナリティあふれる焼き菓子が出来上がります。

 

もう一つ「たべるを、たのしく」をより伝えるために開催しているのが、元ダイバーで、大の魚好きだという姉綾子さんによるイベントその名も「魚を愛でて食べる会」。

 

綾子さんの魚へかける情熱は、マフィン職人智子さんのマフィン愛に負けず劣らず。イベント中に「魚を愛でる10ヵ条」を実践し、修了すると、“サカナメデリスト”に認定されます

 

このイベントでは、ただ調理されたものを食べるのではなく、旬の魚をじっくり観察して、身体の仕組みや感触を確かめます。普段はあまり気にすることがない魚の口の中やエラの構造を知ることで、新たな発見と驚きを味わいます。

 

「食育だけが目的ではなく、本や人伝えで見聞きした知識だけではない、本物の気づきを体感してほしい」というコンセプトに基づいています。自らの手で触れて、魚の存在を実感することで、生き物を取り巻く環境や、命そのものへの興味関心を引き出すことにつながります。

 

この夏休みには、横浜市西区にあるコミュニティスペース「藤棚デパートメント」で、子ども向け「魚を愛でて食べる会」を企画しているそう。出張開催の相談も可能とのことです。

 

野菜を使ったマフィンでも、旬の魚料理でも。おいしいものを、驚きや感動とともに、楽しく食べること。そこには、自然と笑顔があふれます。
相手とのコミュニケーションを大切にした食事の時間は、単に栄養の摂取だけではない、相乗効果がありそうです。

 

 

*はまふぅうどコンシェルジュとは

「横浜の地産地消につながる活動をされている方。地産地消・農業・食育等の活動を行う団体に所属している方や、生産者・栄養士・飲食店関係者、流通関係者、企業等で地産地消に取り組んでいる方など」を対象に、横浜市環境創造局が開催している、横浜市の地産地消について学ぶ講座です。

 

 

Information

新鮮野菜を使った手作りマフィン&スコーンのお店AS muffin

https://www.asmuffin.com/

 

AS factory

https://as-factory.com/

本田真弓
この記事を書いた人
本田真弓ライター
横浜市の真ん中あたり、南区で夫と二人暮らし。母は横須賀市、父は愛媛県出身で、よく遊びに行っていたため、子どもの頃から、海を身近に感じて育つ。幼少期から、植物や生き物の図鑑を眺めるのが好きで、今でも、好奇心が旺盛。趣味のハイキングやダイビングをきっかけに、環境保全やナチュラルな生活に関心をもつ。マイブームは、ビーチコーミングとワインの勉強。
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