脱プラスチックのはじめの一歩 エコにも防災にも役立つみつろうラップ
みつろうラップとは、コットン100%の布にみつろうを染み込ませたものです。食品を包むだけではなくお皿やコップ代わりにもなります。半年から1年繰り返し使えるので、エコで環境にも優しいラップです。新横浜駅近くのオルタナティブ生活館で開催された「エコ&防災・減災みつろうラップワークショップ」を取材してきました。

脱プラスチックに向けて、世界が動き始めました。使い捨てプラスチック製品を削減し、2030年までにすべてのプラスチック製品を再利用、または素材としてリサイクルすることを目指して動き始めたEU各国。先進国のプラスチックゴミを引き受けないと宣言した中国や、それに追随するアジア諸国。日本ではプラスチック製ストローの提供廃止や、ラベルレスボトルの発売に続き、レジ袋の無料配布を禁じ有料化を法制化する考えが環境省より発表されました。

 

私は歯磨きには研磨剤入りの歯磨き粉、掃除にはアクリルタワシとメラミンスポンジを使っていますが、それらは全てマイクロプラスチックになるそうです。2050年までに海洋中の廃プラスチックの量が魚より多くなり、マイクロプラスチックが海洋の生態系にまで影響を与えるというニュースを見て、脱プラスチックのために何か行動しなくては、と考えていたところ、ネットで偶然みつろうラップを知りました。

 

みつろうラップの蜜蝋(みつろう)とは、ミツバチが巣をつくるために分泌する蝋のことを言います。みつろうラップは、コットン100%の布に蜜蝋を染み込ませたものです。包みたいものをみつろうラップにくるんだら、留めたいところをつまむようにすると、手の熱でみつろうが溶けて留まります。熱には弱いですが、食品を包んだり、使いかけの野菜を包んで冷蔵庫で保存したりという用途には十分使えます。汚れたら水洗いして干すだけという簡単なお手入れで繰り返し使える、エコで環境にも優しいラップです。

 

自分でつくってみたいなぁ、と思っていたところ、みつろうラップのワークショップをしている「子育ちなちゅーる Bee Kind」のだんのますみさんと出会いました。新横浜駅近くにある生活クラブ神奈川の文化施設・オルタナティブ生活館で「エコ&防災みつろうワークショップ」が開催されると聞き、取材をさせていただくことになりました。今回はお母ちゃん学・家族のための防災術の佐々木美香さんの主宰イベントで、防災とエコを観点にし、ますみさんとのコラボ企画でした。

ますみさんは小学2年生の男の子と4歳の女の子のお母さんでクレイソムリエ。「子育ちなちゅーる Bee Kind」を立ち上げたのは、引っ越しで知り合いがいなかったことがきっかけ。自然派のお母さんたち向けのイベントやランチ会、ワークショップを開催している

講座の初めに、ますみさんからプラスチックにまつわる環境問題の話がありました。

「プラスチックストローの代わりに、紙製のストローがつくられていますが、大人はそもそもストロー自体が不要では?」「買い物に行ってレジ袋を断ったら『無料ですよ』と言われて驚いた」などのますみさんの体験談や、ミツバチの現状から考える環境のことや、みつろうの生産者の話がありました。

 

そして、「プラスチック削減に関心のある方たちが今日参加してくれていると思いますが、地球が危ないという恐怖感や罪悪感から始めると、苦しくなってきて続きません。みつろうラップは、好きな柄でつくって、楽しく使えます。無理のない範囲でエコバッグやマイボトルのような家庭でできるエコの取り組みのひとつとして、みつろうラップを楽しく使い続けてもらえたらと思います」というますみさんの言葉の一つひとつに、確かにそうだなぁ、と共感を覚えました。

色鮮やかな布はオーガニックコットンでローインパクトダイ(環境に負荷の少ない染料を使っているもの)で染めたもの。ココナッツオイルも低温圧搾製法のオーガニックのもの。クレイソムリエのますみさんは、ココナッツオイルにエコサート取得(世界的な有機認証機関)のフランス産クレイ(ホワイトカオリン)を少し混ぜているのが特徴。ホワイトカオリンは抗菌作用がある。みつろうをはじめ、材料にこだわっているので、つくった後も安心して使える

ここでみつろうラップの使い方の注意点と工夫を紹介します。

みつろうラップは熱に弱いので、レンジ加熱や、冷凍するものに使うことは避けるほうがよいとのこと。加熱したものを包みたいときには、ちょっとした注意が必要です。
アツアツのにぎりたてのおにぎりなら、人肌に冷ましてから包みます。布によっては色移りすることがあるので、梅干しなど酸性の強い食品や、菌のある生肉、魚、融和してしまう油ものなどを包むには不向きのようです。

 

みつろうラップのユニークな特長は、折り紙のように折って形作れること。災害時にはコップや皿の代わりにもなるとは驚きでした! ますみさんはおむすびや蒸しパンを包んだり、野菜の切れ端の保存や、袋状にしてクリップで留めてミニバッグをつくってお菓子などのおやつの持ち運び、おかずやご飯が残ったお皿にかぶせたり、箸袋などとしても使っているそうです。アイデア次第でいろいろな使い方ができそうです。

白っぽくなって寿命が来たみつろうラップは、角をねじってこよりを作り、火をつけるとロウソクとして使用ができる。最後まで無駄がない

ますみさんは、友人がみつろうラップを使っていたことがきっかけで興味を持ったのだそう。買うとなかなかいい値段なので、自分でつくりたいと思ったますみさん。ネットで検索して見つけた大阪で開催されているワークショップに、頼み込んで遠隔で受講したのでした。

 

自分でつくるにあたり材料にもこだわりたいと思ったますみさんですが、抗生剤をつかっていない蜂の蜜蝋を手に入れることが簡単ではないことに気づきます。それから、蜂のことや蜂をとりまく環境のことについて、学ぶようになっていきました。蜂が減少することで、未来はどうなっていくのか。それを子どもたちと一緒に学ぶワークショップも開催しています。

みつろうを布の上にまんべんなく散らし、アイロンで溶かして染み込ませる。むらなく広げるのが難しい

 

みつろうを染み込ませた布は、すぐに乾かす。5分もすれば固くなる。「お母ちゃん学・家族のための防災術」の佐々木美香さん

この日につくったみつろうラップを早速自宅で使ってみました。キウイフルーツを包み、冷蔵庫の野菜室に1週間置いておきました。ビニール袋にいれたままのキウイフルーツは、皮がしわしわですが、みつろうラップで包んだキウイはほぼ買った時の状態です。こんなに長持ちするんだと、正直驚きました。コップのかたちに折って水を入れてみたところ、染み出ることもなく、コップとして使うことができました。

左がみつろうラップで包んだキウイ。右が買ってきたビニール袋のままのキウイ。差は一目瞭然

 

折り紙のコップと同じように折る。折筋は温めるとみつろうが溶けてくっつく

これからはみつろうラップを家族分用意しておくと便利だな、と実感しました。コップや皿、ろうそくを家族分用意するとかさ張りますが、みつろうラップなら軽量で場所も取りません。我が家では、野菜や果物の丸ごとの保存には、もうフィルムラップを使わず、みつろうラップを使っています。やっと、脱プラスチックの小さなアクションが踏み出せました。
みつろうラップは、材料やキットをネットで購入することもできます。ネットにつくり方を紹介した動画も多数あるので参考にして、夏休みの工作や自由研究に、親子でみつろうラップを作ってみてはいかがでしょうか?

お気に入りの布で作ると、愛着がわく。出来立てのみつろうラップは、はちみつの甘い香りで、幸せな気分になる

Information

「子育ちなちゅーる Bee Kind」

ブログ

https://ameblo.jp/masunature/

 

Facebook

https://www.facebook.com/kosodachinature/

中島裕子
この記事を書いた人
中島裕子ライター
川崎市中原区在住。高1男子の母。現在は、地元のタウン誌やfacebookで記事を書く。美味しいものや手作りが好き。今の関心テーマは、食と教育。趣味は書道。今年の目標もダイエットの成功と断捨離。森ノオトでは、ライターとして経験を積み、イベントに参加して世界を広げたいと思っている。
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