“お母さんに寄り添う”保育園|kid’s room みらいっ子 細山room
川崎市A型認定保育園のkid’s roomみらいっ子は、川崎市麻生区にある0~2歳児のための小さな保育園です。住宅街にありながら、近隣の公園を利用して子どもたちの五感を育み、絵本の読み聞かせにも力を入れて、個々の発育に合わせた保育を行っています。園長の渡邊千映子先生にお話を伺いました。

小田急線読売ランド前駅から徒歩15分の住宅街の中にある川崎市A型認定保育園「kid’s room みらいっ子 細山room」(以下、細山room)。小さいながらも園庭を備えたまちの中の保育園です。一見すると、店舗用の建物を保育園に改装したごく普通の保育園ですが、息子を同園に通わせた2年間は、私たち家族にはとても幸せな温かい時間でした。

 

私とkid’s room みらいっ子の出会いは、息子が生後2カ月で細山roomの近くに越してきたところから始まります。近くて気になる存在でしたが、当時は仕事をしておらず、そのうち一時保育などでお世話になるかもしれないな、くらいに思っていました。その後、夫の長期出張などでワンオペ育児に行き詰まっていたところ、姉妹園の多摩美room(麻生区多摩美/以下、多摩美room)では月極の一時預かりがあると聞き、すがるような気持ちで連絡をしてみたのです。

 

多摩美roomは地域保育園で、庭付き一戸建て住宅を保育室としています。近くには多摩美の森(麻生健康市民の森と多摩美ふれあいの森)があり、園庭のように多摩美の森を使い保育をしています。ここ一帯の多摩美緑地は「麻生多摩美の森の会」の方々が森づくりをしています。そんな外遊び環境に魅力を感じ、早速、週2回の月極一時保育“ぷち保育”を利用して、息子を預かってもらうことにしました。

 

最初の2回くらいは朝預ける時に泣いた息子ですが、すぐに園での生活を満喫している様子が見てとれ、先生方からもその日の遊びの様子を詳しく教えてもらい、私も自分の時間を持てたことで気持ちが安らぎ、本当にほっとしたことを思い出します。この“ぷち保育”は、専業主婦の救世主的なプランで、仕事をしていなくても、理由を問わずに子どもを預かってくれます。同じマンションの友人も下の子が生まれて上の子と十分に遊べなくなった時に上の子を週に1回預けたり、幼稚園に入る前の慣らしとして利用しています。

 

息子の多摩美roomのぷち保育での様子を見て、この保育園であれば息子はのびのびと遊びの中で成長することができるし安心して預けることができると思い、仕事を始めたときに、認定保育園の細山roomに通わせることになりました。

 

細山roomには約24名の0~2歳児の子どもたちに対して、先生方が常時7〜8名おり、緩やかに年齢ごとに区切られつつ、時には全体でも遊びます。午前中は外の公園へ散歩に出かけ、お昼寝後は園庭で遊びます。

 

先生方は、ベテランの子育て経験者が主で、子どもたちを見守りながら一人ひとりの個性を大切にしてくれます。連絡ノートに日々の様子を書いてくれるだけでなく、迎えに行くとそれぞれが見た息子の様子を教えてくれ、先生方とのおしゃべりもとても楽しく、母である私が満たされた気持ちになるのでした。

園長の渡邊千映子先生。保育に送迎に保護者の相談に、いつも笑顔で駆け回る。もともと幼稚園教諭だった渡邊先生の夢は、「幼稚園の園長先生」。場所探しなどが難しくまだ実現していないようですが……いつかきっと叶うと信じています

園長の渡邊先生は、個々の家庭の状況などにも気を配り、いつも明るく声をかけてくれ、時には上の娘の育児相談にものってくれる頼もしい存在です。夫が不在がちな我が家でしたが、先生の声かけによって励まされ、行き詰まらずに済んだと言っても過言ではありません。急な残業の際には小学生の娘も合わせて延長保育に応じてくれるなど、とても柔軟に対応してくれました。

 

kid’s room みらいっ子は、多摩美roomから始まります。4人のお子さんがいらっしゃる渡邊先生。ご自身のお子さんがまだ6歳、4歳、2歳の時、下の子2人も連れながら、知人が自宅で開いている保育園を手伝っていました。その後、一番上の長男が小学校に上がったら、帰宅する頃には「おかえり」と迎えてあげたいと考えていた渡邊先生は、自宅で保育園を開くことを思いつきます。そして、古くからの友人の新田先生(現多摩美room施設長)と保育園の立ち上げに向けて準備を始めました。

 

そんな時、まだ準備中であったにも関わらず、ママ友に「仕事が決まったから預かって」と言われたため、予定よりも早まって、オープンすることになります。それが14年前の11月のことでした。ご自身の育児経験を踏まえて、こんな保育園があったらいいなと思うことを盛り込み、作り上げてきたkid’s room みらいっ子。その一つが、 “ぷち保育”です。

 

渡邊先生のご長男はとにかくやんちゃで、「子育てって大変!」ととても大変な思いをされていたそうです。自分一人だったらすぐに済むような用事でも、子どもを連れていると機嫌をとったり、なだめたり散々努力しても、結局何もできずに帰宅する……。といったご自身の経験から、専業主婦でも低価格で預けられる“ぷち保育”は絶対にやりたいと開園当初からとりいれました。渡邊先生の自身の育児経験から来るお母さんたちへの思い、そして新田先生の長い保育経験とがうまくあわさって、スタートしたのでした。

 

「みらいっ子はお母さんに協力するための園」だと渡邊先生は言います。「料金もなるべく安く設定し、働く母にも専業主婦にも使いやすいプランを用意しています。子どもにとってかけがえのない存在であるお母さんをサポートすることで、子どもに返ってくるのです。しかし、それは着替えなどのしつけやオムツ外しなど、全てを園に丸投げすることではありません。園と保護者と一緒に、良いところも悪いところも共有して、子ども一人ひとりに合わせた保育をしていくのがみらいっ子流です」と語る渡邊先生。

 

続けて「この地域から虐待をなくしたい。そのためにお母さんたちに協力したい。それがみらいっ子の地域貢献です」と力強く話してくれました。

住宅街の中を、公園に向けてお散歩中。この日は大きい子のクラスだけで出発

 

みらいっ子で働く先生方には地域のお母さんたちが多く、徒歩で通って来られる人がほとんどです。お子さんが大きくなって再び保育士として働き始める方が多いのだそうです。私も上の娘の小学校で先生と出会ったり、近所を散歩中に先生を見かけたりと、保育園に通わせることで地域とのつながりがより強くなり、地域のお母さんに支えられていることを実感します。こんな近くの方ばかり、それも素敵な方ばかり……どうやって先生方を集めているのだろう? と以前から疑問に思っていたことを聞いてみました。

 

開園して1年経った頃、渡邊先生の第4子の妊娠が分かり、手伝ってくれる人を探す必要がありました。その時は、交流のあった竹下先生が元幼稚園教諭だと聞き、声をかけ一緒に働いてもらうことになりました。また、ママ友だった木下先生(現細山room施設長)が保育士の経験があると知り……という風に、身近にいて人柄が分かり信頼のできる方に声をかけて先生を採用してきました。これまで保育をしていた人が、自身の子育てを経験して再び保育の現場に戻ることで、保育の質に厚みが出るのだそうです。

 

それでも気になるのは、先生方もひと段落したとは言え、自分自身も子育て当事者であるということです。その中で気持ちよく働けるようにと、さまざまな配慮がされています。kid’s room みらいっ子では先生方の働く条件は、「働きたい日に働くこと。家族を犠牲にしないこと、子どもを置き去りにしないこと、子どもの具合が悪い時には休むこと」(渡邊先生)。

 

朝と夕方だけいる先生や、自分の子どもが学校に行く間だけ働く先生など、いろいろな働き方で分担しています。子育て中の方が多く正社員で働ける人は多くありませんが、家族優先で自身の子どもにしわ寄せがいかないことで、先生方も協力し合って気持ちよく働け、園の子どもたちに対しても優しく余裕を持って保育することができるのだといいます。

近隣で起きた事件や悪天候などもあり、久しぶりの公園遊びを楽しむ子どもたち。蝉の抜け殻を見つけ、集まっている。この後、抜け殻探しに没頭

 

恒例のゴミ収集車見物。川崎市歌のメロディーを口ずさみながら

 

そんな先生方に見守られながら、子どもたちは外遊びを中心とした活動の中でのびのび育っていきます。乳幼児期には詰め込むことよりも、その子の持っているものを引き出すことが大事だという方針で、多摩美roomは多摩美の森で、細山roomは近隣のたくさんの公園に出かけ、体力づくりをしながら五感に刺激を目一杯受け、そして集団の中で遊ぶことで人間関係を学んでいきます。

 

細山roomでは2歳児クラスになると、多摩美の森への往復にもチャレンジします。坂道の多い道のりを、始めは片道だけ、始めは45分かけて歩いて行きますが、卒園する頃には片道25分、行きも帰りも歩けるようになるそうです。私の息子も、親と一緒だと甘えてしまって到着できないので、往復歩いたと聞いた時には驚きました。子ども同士でサポートし合いながら、友達がいるからできる、これが集団で育つことの醍醐味なのだと思います。

一人での散策が好きな子。そっと見守る先生

 

決して自然豊かとは言えない都会の住宅街の子育てですが、地域の温かさに守られ、身近にある資源を生かして子どもを育てていく。ワンオペ育児で不安だらけだった私ですが、渡邊先生と志を同じくする先生方に支えられ、満たされた気持ちで2年間を過ごすことができ、そして卒園した今でも心のよりどころとしています。「卒園した子もみんなずっとかわいいみらいっ子ちゃん。いつでも帰っておいで」と温かく笑って迎えてくれる渡邊先生と先生方が待っていてくれるから。

Information

kid’s room みらいっ子 細山room

https://www.miraikko-hosoyama.com/
<A型認定保育園>

kid’s room みらいっ子 細山room

神奈川県川崎市麻生区細山2-10-7

TEL:044-955-0552

 

<地域保育園>

kid’s room みらいっ子 多摩美room

神奈川県川崎市麻生区多摩美2-9-8

TEL:044-982-5655

 

<学童保育>

ゆめっ子クラブ(月極、スポット有り)

神奈川県川崎市麻生区細山2-10-7(細山room 2F)

TEL:044-969-6785

 

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この記事を書いた人
坂本カオルライター卒業生
森ノオトで数少ない「リケジョ」で、建築・土木系の記事を手がけられる貴重な存在。巨大な建設物から天然自然な住まいづくりに転身し、化学物質を極力使わないライフスタイルを心がけている。生まれ育った家庭も結婚後も転勤族で、各地を転々とする暮らしを送っているため、抜群の順応性をもつ。
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