世代交代のきっかけ作りに!若草台自治会「花フェスタ」
2019年11月17日、若草台第二公園で開催された「花フェスタ」。2年前に始まった自治会主催のこのお祭りは、若草台第一公園と第二公園の花壇の植替えに、公園に集まった有志で取り組むというユニークなお祭りです。お祭りの事前準備の11月11日と、お祭りの当日、11月17日に取材に行ってきました。

私の住む横浜市青葉区は、公園の数は230か所と市内18区中トップを誇り、公園の維持・管理を担う公園愛護会の数も192とほとんどの公園に愛護会が存在します。しかし、そんな公園愛護会の活動の担い手は、高齢化が進んでいます。日中、働きに出ている若い人たちに休みの日に愛護会活動に参加する余力がなく、なかなか人が集まりにくいという声が、様々な愛護会からよく聞かれます。そんななか、「花フェスタ」というお祭りを催し、世代間の交流が進みつつある愛護会があると聞き、お話を伺ってきました。

 

左が若草台自治会の副会長、小坂健太郎さん。右が会長の斉藤秀樹さん。若草台第二公園の看板の前で

 

「花フェスタ」という独自のお祭りを発案したのは、若草台自治会長の斉藤さんです。「2年前にそれまで公園愛護会が担っていた、若草台第一公園と第二公園の清掃活動や花壇の植替え作業を自治会のなかに取りこみ、組織替えをして、毎年公園係を数名選出する仕組みにしたのです」と斉藤さん。それでも公園の維持・管理の作業は多岐に渡り、人手不足に悩んでいた時、花壇の植替え作業を「花フェスタ」という年に2回のお祭りにして、有志の住民達を交えて行う現在のかたちに落ち着いたそうです。

 

「花フェスタ」6日前の1111日、公園係の人が作業をしているという若草台第一公園を訪れました。第一公園は、樹の種類が多く、子どもが好きそうな遊具と広い砂のグラウンドが広がる公園です。

 

 その日は、男性2名、女性2名が、「花フェスタ」の事前準備をしていました。いずれも若草台に30年以上お住まいの方です。第一公園は樹も多いし、午前中は老人会の人がゲートボールを楽しみ、お昼過ぎには子どもたちが集まり始め、夕方には犬の散歩をする人たちが行き交います。ちょうど私が取材に伺った日もゲートボールを楽しんでいる高齢の方が数人いて、公園が活気を感じられる場になっていました。

男性の1人、坂本靖男さんは、35年前から若草台に住んでいるそうです。坂本さんは「現役で働いている頃は都内まで通勤していて、家には夜に帰り、休みの日もすぐに過ぎていく。何軒か先の家のことを何も知らなかったけど、この活動を通じて近所の人と交流を持つようになった」と語ってくれました。一方で「今の愛護会活動のことは自分たちが若い時、30代、40代の頃に決めてきたことばかり。今いるメンバーも一見元気そうだけど、高齢になり指の関節が曲がったりスコップを使う作業が難しい人もいる。台車を借りたり、耕運機を買うとか見直ししないといけないね」と切実な現場の声もあがりました。

 

第二公園に移動すると、こちらでも古い土を掘り返して、残った根っこを取り除き、新しい土を加えてふかふかにする作業が行われていました。

 

 

高い木の緑に囲まれた空間にカラフルな遊具の色が映える若草台第二公園の全景。私も、自分の息子が未就園児の頃よく立ち寄った。第二公園は、第一公園と比べると少しこぢんまりとした空間だけれども、とても居心地のいい、私も大好きな公園

 

若草台第二公園で、準備に勤しんでいたみなさん。左から、近所に住むお花好きの飯村弘子さん、公園係の仲山百合子さん、山中梅子さん、小坂健太郎さん

 

なかでも「こういう事前の準備が大事なのよね」と静かに語り、慣れた手つきで作業をしている、みんなの指導役的な飯村さんがとても印象に残りました。

 

「花フェスタ」当日は青空がのぞき、秋晴れの穏やかないい天気。小さい子ども連れのファミリーや、高齢のおばあちゃん、元気いっぱいの小学生など、約30名が第一公園に集まりました。今回は、防災訓練と組み合わせることで参加者を増やそうという作戦で、前半は、消防団の方が指導する防災訓練が行われました。

 

若草台第一公園。公園内には、いちょう、さくらなど、種類の違うたくさんの木が植えられている。防災訓練では、消火器の使い方などを学びます

 

その後、いよいよ花の植替えです。「花フェスタ」では、2年前から河原園芸(緑区)のフラワーデザイナーに花壇のデザインを頼み、トラックで花苗を運んでもらっています。全部で580鉢のお花を一度に見られて私もわくわくしました。

 

 

到着したお花は、ストック、パンジー、さくら草の3種類。2つの公園に合計480鉢が植え付けられ、100鉢は参加者へのプレゼント用

 

第一公園の植替え作業が終わり、歩いて5分程の第二公園に移動すると既に準備が整っていて、飯村さんが、花の植え方を、みんなに伝えます。

 

 

飯村弘子さんのレクチャーを熱心に聞いている参加者たち

 

 私もみなさんに混じって、5歳の息子と一緒に植替えの手伝いをしていると、隣でまだ小さな男の子とおばあちゃんの会話が聞こえてきました。楽しそうに会話している二人の姿はとても微笑ましく、すぐ側にいたお父さんに「今日はおばあちゃんと参加しているのですか?」と聞くと、「(この方は)本当のおばあちゃんではなくて、近所のおばあちゃんなんです」とのこと。お父さんは生後7か月の赤ちゃんを抱っこし、3歳の男の子を連れて、向かいの家のおばあちゃんと参加しているそう。普段からよく遊んでもらっていて、今日も一緒に行くと約束してきたというエピソードに、胸がじんと熱くなりました。

 

 

並んで作業する3歳の男の子と向かいに住むおばあちゃん。「本当に可愛くて、お利口さんなの」と私に嬉しそうに話してくれた

もう一人、参加者のなかでもテキパキと指示を出し、存在感がある若い男性がいました。広報兼、掲示板管理、回覧板管理を担当している三田邦彦さん。「引っ越してきてしばらくして自治会に参加するようになりました。平日仕事を持ちながら、近所の人とのやり取りをするのは、忙しいけれど、活動が楽しく、いい気分転換になります」と三田さん。

 

 

家族と植替え作業をする三田さん。とても頼もしい印象を受けた

 

第二公園の花壇の植替えが終わり、作業も終盤に差し掛かった頃、外周をぐるっと囲んでいる花壇の手入れはだれがしているのか、日頃から疑問に思っていたことを飯村さんに聞いてみました。すると、飯村さんご自身が、毎日手入れをしていることが分かり、びっくりすると同時に、なるほどと合点もいきました。「土やお花が本当に好きで、自分の家の庭の手入れだけでなく、家の近くの公園のお花の手入れもしたいと思うようになったの」と飯村さん。まず手入れをしてもいいかと、愛護会を通じて土地の管理者に相談をし、そこから、徐々に飯村さんが手入れする花壇のエリアが広がっていったそうです。

常日頃から、私が子どもだった頃と比べ、自然と人間の生活が離れてしまったなあと感じることが多い現代社会において、毎日公園に出向き、お花の手入れを楽しんでいる人がいるということに、私は感動しました。最近は、公園で〇〇してはいけない、と禁止事項も増えているといいますが、本来の公園の使い方は、もっと自由でおおらかでいいのではないかなと、改めて感じました。

 

 

公園周辺の花壇。飯村さんの丁寧な手入れのおかげで、花もいきいきとしている

 

多世代交流がはじまりつつある、若草台第一・第二公園。春と秋、毎年2回の「花フェスタ」は、ゆっくりと、世代を越えたご近所づきあいを育んでいるようです。

Information

若草台第一公園

(住所)横浜市青葉区若草台8-4

若草台第二公園

(住所)横浜市青葉区若草台6-1

岡本佳代
この記事を書いた人
岡本佳代ライター
大分市出身。元金融系の会社員。現在は子育て支援の仕事に携わる。20代の頃は、地球環境保全のメッセージを発信する音楽イベントを企画していた。人と人、人と面白いモノを繋げるのが好きで森ノオトライターに。好奇心旺盛でフットワークが軽い。自身の小さな頃とよく似た、活発な男児の母。
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