ひとりひとりが指針(コンパス)を持とう!ローカルメディアコンパスが完成しました
情報発信を学ぶためのワークショップカード「ローカルメディアコンパス」が完成しました。新型コロナウイルスの感染防止の観点から、お披露目会を延期し、完成報告の動画配信に切り替えるなど、情報や発信に関する状況についても改めて考える船出となりました。(写真:大野隆介)

情報発信を学ぶためのワークショップカード「ローカルメディアコンパス」を作りたいと呼びかけをはじめて2年。2019年11月から43日間のクラウドファンディングに挑戦し、177人から167万8000円のご支援をいただき、とうとう完成しました。
2019年12月の森ノオト記事でもクラウドファンディングでの挑戦と体験会の実施について書かせていただきました。

 

https://morinooto.jp/2019/12/05/mediacompasscf/

https://motion-gallery.net/projects/localmediacompass

 

箱とカードのデザインは、横浜の老舗デザイン会社のNDCグラフィックスに、印刷は横浜の地域貢献企業である協進印刷に依頼した

 

箱は、情報の海を表す青を基調にコンパスマークが中央に入っており、カードは49のエピソードごとにシンプルながらもメッセージを深く伝えてくれるデザインになっています。

カードの裏には、取材や情報発信の現場で起こった経験談に基づいたエピソードと、それを元に考えてもらいたい「問い」の文章が書かれています。

このカードは対話を促すツールとして作成しました。このカードをきっかけに仲間と意見を交わし、自分で答えを見つけて欲しいのです。また、気軽に手にとれ、拾い読みもできるよう、本の形ではなくカード型にしました。
ホームページも完成し、詳しい使用方法もダウンロードできるようになっていますので、ぜひご覧くださいね。

http://localmedia.morinooto.jp/

 

 

ホームページでは4種類の使い方アイディア案も公開しています

 

 

 

2020年に入ってから、新型コロナウイルスの感染が拡大している状況に鑑み、イベント開催の自粛要請、公立学校の休校要請、そして、外出の自粛要請と、一人ひとりが感染拡大防止のための行動をとることが求められています。
2月29日にニュースパーク(日本新聞博物館)で開く予定だったローカルメディアコンパスのお披露目会も延期とし、せめて完成したことをお伝えしたいと動画での完成報告を計画しました。

こちらは、3月16日にインターネットでの生配信でお送りした映像です。

 

 

配信した22分32秒の映像では、完成したカードの紹介に加え、現在の情報発信を取り巻く社会状況と目指す未来、カードの完成までの経緯、プロジェクトの概要などを、プロジェクトメンバーである北原まどかさんと齊藤真菜さん、私船本が伝えています。

 

神奈川県住宅供給公社Kosha33で行われた完成報告動画配信。双方向でコメントをやり取り。同席しているのはメディア関係者

 

映像の最後では、3人それぞれが今後の抱負として、「メディア経験者からのエピソードをもっと集めていきたいこと」、「カードを使ったワークショップを各地で開催し多くの方と対話したいこと」、「今後子どもなどこれから情報発信と向き合っていく人たち向けのコンテンツを考えていきたいこと」の3点をあげています。

 

新型コロナウイルスの影響で、世界中の人々が学校の休校や外出自粛など、これまでにない行動の変化を促されています。

私個人の考えですが、このピンチな状況を何らかの前向きな考えで乗り切っていきたいと思いました。このローカルメディアコンパスを世に出していくタイミングでこのような状況になり、感じ考えたことが二つあります。

 

1点目は、「オンラインの活用の加速」。インターネットを利用し遠隔で情報をやり取りする環境が加速度を増して整備されていくことに対し、もっともっと前向きに捉えていきたいということです。

メディアコンパスの完成報告を動画配信に切り替えたことで、クラファンを通じて支援いただいた県外のみなさんや子育てなどで在宅を余儀なくされている方に、オンラインで報告を届けられ喜んでいただきました。リアルお披露目会には参加できなかった皆さんに届いたということです。

 

これまでにも、活動時間や活動場所が制限される主に子育て世代にとっては、在宅勤務、オンラインミーティング、リモートワークなどには向き合わざるを得ない状況がありましたが、この新型コロナの影響で、もっと幅広い世代にもオンライン環境が整い、一般化していくことでしょう。

また、休校の代替措置案として、オンライン学習コンテンツが次々と発表されました。多くが民間事業者や一般の人たちが開発したものです。子どもたちがオンラインツールを使って情報を吸収していきます。

オンラインでつながれることは、転勤で遠隔地に引っ越しするなど、場所や距離が離れていたり、子育てなどで在宅が必須だったりして、これまではイベントやミーティングへの参加を諦めていた人たちにとって選択肢が広がります。学校に通えない事情を抱えた子どもたちにも可能性が広がります。オンラインコンテンツや動画、タブレットの活用に向き合う必要性をこれまで以上に感じました。

 

完成報告生配信でパソコンのカメラの前でカードを見せながら説明した。オンタイムで福島県からも「見ています」のコメントがあり、同時性双方向性を実感

 

2点目は、子どもたちにもわかる「ローカルメディアコンパス」を作りたいということです。子どもにもわかるということは、大人にとってもわかりやすいということです。新型コロナウイルスの情報を巡っては、不確定要素を含む様々な情報が飛び交いました。出典が怪しい情報が善意の人たちによって拡散されていく状況がありました。蔓延する情報は多様で複雑で、大人でさえ真偽の判断がつかないのです。今回発表したローカルメディアコンパスは、情報の発信者が気をつけることを共有するためのツールでした。次は情報の受け取り手が気をつけるべきことについて、伝えていく必要を感じています。

 

我が家の出来事ですが、休校中の子どもに対し、タブレット端末の使用を解禁しました。小学一年生の息子が動画共有サイトで折り紙の折り方や工作物の作り方を見ています。インターネットの世界で情報を得ていく上での注意点について伝えたつもりですが、彼が深く理解していくのは今後経験をしながらになると思います。

検索して得られた情報が正しいものとは限らないこと、中には悪意のある発信をしている人がいること、大人でも判断がつきにくいことだから子どもはもっと注意しなくてはならないことなど、ネガティブなことは言いたくないですけれど、情報の海で溺れないために何を押さえておけばいいのか、そのポイントをまとめたコンテンツを作りたいと思いました。
それは、今回のようにカードを使った対話型ツールではなく、動画コンテンツやアプリのようなものなのかもしれません。まだ形は見えていませんが、対話の中から最適な答えを見つけていきたいと思います。

 

現場での経験談が詰まったカード。自発的に疑問を解消していくことがより深い理解につながると考え、あえて答えは書いていない

 

感染症対策のために対面で情報をやりとりすることが難しい今、情報過多なインターネットの世界に溺れてしまいそうになります。情報を疑い、検索に検索を重ねることで、心まで疲れてしまいます。必要な情報を適度に得ていくスキル、過密な情報と付き合っていくための知識(リテラシー)が、健康の観点からも必要なのではないかと感じる今日この頃です。

様々な皆さまの協力と知恵を集結させ、ローカルメディアコンパスは完成しました。その完成と同時に新たな課題も感じることになりました。情報発信は社会を良くするために行うと信じ、視野を広げ、時流に即した活動をしていきたいと思います。

 

ローカルメディア事業部のメンバーと

Information

ローカルメディアコンパス ホームページ

http://localmedia.morinooto.jp/

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この記事を書いた人
船本由佳ライター
大阪出身の元TVアナウンサー。横浜市中区のコミュニティスペース「ライフデザインラボ」所長。2011年、同い年の夫と「私」をひらくをテーマに公開結婚式「OPEN WEDDING!!」で結婚後、自宅併設の空き地をひらく「みんなの空き地プロジェクト」開始。司会者・ワークショップデザイナー。
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