ワクワクする私だけの1点ものに出会いに。花と古道具urikke
独特の雰囲気と存在感を持つ古道具。長い年月を経て、人から人に巡るモノたちの魅力は、使い捨ての時代だからこそ、大切なメッセージを持っているような気がします。川崎市宮前区にアトリを持つ「花と古道具urikke」さんの魅力に迫りました。

こっくりとした飴色のカゴや木箱。

エスニックな表情を見せる花器。

クスッと笑みがこぼれるようなオブジェや小物ケース。

 

長い年月を経て佇むモノたちは、どんな旅をしてここに辿りついたのでしょうか。古いモノを手にする時、私はよくそんな想像を巡らせます。

 

古家、古家具、古道具、古着……自分の暮らしを見回してみると、古いモノのなんと多いこと。新品のピカピカとした清らかさも好きですが、買ってすぐに、今までもそこにあったかのように空間にすっと馴染んでいく、そんな古いモノが大好きです。

urikkeさんのアトリエに飾られたカゴ類。伺うたびにディスプレイが大きく変わっていて、それを見るのも楽しみの一つ


 

「花と古道具urikke(ウリッケ)」の佐藤靖子さんと初めて出会ったのは、2018年の春。森ノオトライター卒業生でもある清水朋子さんが主宰するマルシェ「マジカルバザール」でした。urikkeさんの手によって、朋子さんのまちの小さな集会所「Glantaの空間が、元々そんな様子だったのかと錯覚するほど、古道具と植物たちが溶け込み、アンティークショップや蚤の市に来たようなワクワク感があったことを思い出します。

 

マジカルバザールの展示の様子。Glantaの木棚の雰囲気にマッチしている


urikke
さんでは、カゴや小さな家具、花器などの暮らしまわりの古道具、そして生花やドライフラワーのスワッグなどを扱っています。川崎市宮前区にアトリエを構え、現在はイベントや軒先販売での出店をメインに営業しています。

 

一期一会の古道具がいつも魅力的にディスプレイされていて、urikkeさんのアトリエや出店ブースを訪ねると私のお財布も緩みっぱなしです。カゴやスツール、キリム、小引き出し、薬缶に花器にスワッグに観葉植物……気づいたら、わが家にはurikkeさんで購入したものが盛りだくさん。単純にそのモノたちの雰囲気が好み、使い勝手が良いという理由はあるけれど、一度は誰かの暮らしを彩ったモノたちが、ゴミとして燃やされることなく、巡り巡って私の暮らしにやってきた。そんなちょっとした物語を感じる瞬間が、古道具からもらっている暮らしの楽しみなのかもしれません。

 

工夫次第で、何でも花器に。古道具ビギナーにはまずはお花を飾ることからがオススメ


 
独特の味わいや存在感があるがゆえに、暮らしの中に古道具をどう取り入れたらいいのか、と感じる人もいますよね。
urikkeさんは「まずは花器からはじめてみるといい」と古道具を初めて考える人にオススメしています。「ちょっとした花器やビン、カップなどに、草花や拾った木の実を飾るだけでも雰囲気が出ますよ。空間として独立しているトイレや玄関などから飾ると、古道具を取り入れやすいです」と教えてくれました。存在感のある古道具を毎日視界に入るところに置くことで、暮らしの癒やしにもなりそうですね。

ちょっとしたオブジェも、一つあるだけでお部屋の雰囲気を変えてくれるアイテム

 

ワクワクすることに正直で

 

私だけでなく、森ノオトのなかまにもファンの多いurikkeさん。ユニークなのは、古道具屋であり、花屋でもあるところです。センス溢れるディスプレイや、その醸し出す雰囲気も含めて、なんとなくその道が長いのだろうと思っていました。お話を聞いてみると意外にも、私が初めて出会った2018年の春は独立して間もない頃だったのだそう。

 

ご夫婦ともに花屋業界で働いていたお二人。元々古いモノが好きだったご主人の趣味に付き合って、「ヨーロッパ旅行に行っては蚤の市を渡り歩いていました」と靖子さんは懐かしみます。ビンテージの品々を買い集めるご主人の横で、靖子さんはデザイナーズ陶器に惹かれて集めはじめたのが、今につながるきっかけだったと言います。

urikkeの佐藤靖子さん。宮前区にあるアトリエで


 
そんな靖子さんは、出産を機に花屋を退職。小さな子を抱える生活になってから、社会の見え方が変わりました。「当時取り沙汰されていたダイオキシンとかの環境問題とか、食の安全の問題に自然と関心がいったんですよね」と話します。

靖子さんがその後に職場として選んできたのは、森ノオト読者にも馴染み深く、食の観点から環境問題にアクションを続けている「生活クラブ生活協同組合神奈川」や自然食・雑貨のお店「ナチュラル&ハーモニック プランツ」(センター北)でした。それらの職場を通して天然酵母でつくるパンに魅せられて、開業30年のパンの名店「ベッカライ徳多朗」(青葉区元石川町/センター北)や天然酵母のパン屋「ツナグベイク」(都筑区すみれが丘)など、パン屋の世界にも飛び込みました。

 

「昔から人と同じものがイヤだったんですよね。一つだけしかない感じが好きで」と話す靖子さん。いろいろな職場で働きながら、心の中に生まれる、自分らしさと対峙します。

「ある時出会った本の中にワクワクすることに正直にとあって、すごく影響を受けた言葉でした。夫と『ワクワクすることってなんだろう』って話したんです。そしたら、自分たちにとって『買い物』をすることがそれだったんです。蚤の市とか骨董市とか、とにかくワクワクするじゃないですか。でもそれを仕事にするってどうしたらいいんだろうねと話していましたね」と笑います。

 

そこから行動に移すのが早いのが靖子さん。「それならまずは自宅でガレージマーケットをやってみたらいいんじゃないかと思って」と、自宅を週に1回開き、絨毯を敷いて、これまで買いためてきたモノを並べたのだそう。「それがすごく楽しくって、夫も幸せそうな顔をしていたことをよく覚えています」。そこで手応えを得たご主人のほうが先に、古道具屋として独立。「h.d.vintage」という名で車のおもちゃや時計、ラジオをメインで扱っています。靖子さんは、普段はパン屋で働きながら、ご主人の出店のお手伝いをして、自分の好みのものを一部置いていました。次第に夫婦でも好きなものが違うことに気付き、靖子さんも別で出店することが増えてきたのだそうです。職場のパン屋のディスプレイも一任され、urikkeという名で、古道具や花の販売をはじめ、少しづつ独立に向かっていった経緯を聞かせてもらいました。

urikke(ウリッケ)という名前はドイツ語から響きが気に入ってつけたそう

 

「花も変わらず好きだったので、おもしろそうと心に引っかかることを広げて表現していこうと思ったんです。これまでやってきたことが全部つながっていく感じがしましたね」。花と古道具というユニークな業態は、靖子さんがたどり着いた「ワクワクすること」だったのですね。

urikkeさんの扱う古道具には花器が多いのが大きな特徴

 

靖子さんの目で良いと思うモノに、自分で新たな価値を付けていける古道具。自分の世界観を色で表現できる花。人が来るのを待つお店じゃなく、自分が動いていく出店スタイル。まさに心の自由を手に入れたような働き方に、私は憧れます。「うーん、この形でいいのかって自信がないところもあるんですけどね」という控えめな表現は、裏を返せば、まだまだこれからもワクワクするほうへ、自分の心がフィットするほうへ変化する余地があるということ。urikkeさんのファンとしては、それがどこに向かうのか、私もワクワクしています。

 

毎週土曜はセンター南のベーカリー南、毎週金曜はたまプラーザのマダレーナカフェで運営

 

あなただけの1点ものに出会いに、urikkeさんを訪ねてみませんか?

Information

花と古道具urikke

Instagram: https://www.instagram.com/urikke33

・アトリエは不定期オープン(川崎市宮前区・問合せ対応)

・毎週金曜:マダレーナカフェ

・毎週土曜:ベーカリー南

<出店情報>

秋を彩るめぐる布市:1019日(月)~26日(月)*25日(日)は休み

Urikkeさん在廊日は1019日(月)・24日(土)・26日(月)

会場:森ノハナレ(青葉区鴨志田町818-3

入場料:500

申込み:事前予約制

詳細はこちらから。

http://morinooto.jp/2020/10/01/2010nunoichi/

宇都宮 南海子
この記事を書いた人
宇都宮南海子ライター/スタッフ
元地域新聞記者。エコツーリズムの先進地域である沖縄本島のやんばるエリア出身で、総勢14人の大家族の中で育つ。田園風景が残る横浜市青葉区寺家町へ都会移住し、森ノオトの事務局スタッフとして主に編集部と子育て事業を担当。ワークショップデザイナー、2児の母。
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