お裁縫少女から人気作家へ。「May Me」伊藤みちよさんに聞く、自分でつくる楽しみ
「シンプルで少し可愛らしく、長く愛用できるお気に入りの1着」をコンセプトに、大人服をつくり続けている伊藤みちよさん。「May Me」(メイミー)のブランド名で活動し、ソーイングの著書を多数出されているので、本屋さんでお名前を目にしたことがあるという方も多いかと。洋裁を楽しむ幅広い世代に愛される伊藤さんに、洋服作家として活動する上で大切にしていることを伺いました。

お話を伺ったのは、伊藤みちよさんのご自宅兼アトリエ。伊藤さんのホームページなどでチラリとお見かけしていた白を基調としたおしゃれな空間!ここからあのデザインが生まれているんだ!と、ドキドキしました。

伊藤さんは、実は青葉区で生まれ育ち、今も鴨志田界隈はしょっちゅう車で通っているという、森ノオトの地元通です。

 

こっそり興奮する私をよそに、同行したスタッフと、金子石油のぶたのまさるくんや、鴨志田で以前開催されていたカモカモマーケット、マーケットでお友達になったというコマデリなど、森ノオトの地元ネタで大いに盛り上がる伊藤さん

毎年定期的に出版している洋裁のレシピ本は海外でも翻訳されるほど人気で、さらにヴォーグ学園などで洋裁教室の講師を務め、年に何度か各地で定期的に個展を開催、その間にテレビに出演、著書の製作、ムック本や雑誌での作品掲載……2015年に公開された映画『繕い裁つ人』では洋裁監修と超多忙な洋服作家でありながら、お会いしてお話してみるととても気さくな人柄に、いっきに親近感がわきました。

 

 

伊藤さんの最新刊。『シンプルワードローブ』(日本ヴォーグ社、2020年)。次の著書の撮影が終わり、9月に新刊出版予定

 

最初のきっかけは、2006年ごろ。

ハンドメイド作家としてイベントに出店していたところ、出版社の編集者に声をかけられ伊藤さんの作品が雑誌に掲載されることになりました。ソーイング雑誌が今ほど多くなく、出版が流行り始めた頃でした。

 

2012年にはいろいろなことが一気に動き出しました。

雑誌をみた編集者から著書を出しませんか?と勧められ、著書を出すことになりました。同じ時期にはその出版社の編集長がカルチャースクールのヴォーグ学園に伊藤さんを紹介し、講師としての活動も始まります。著書は毎年およそ1冊ペースで出し、9月の新刊本で12冊目になります。

 

長年自己流でやってきて、一度も専門的なことを習ったことがないことが当初コンプレックスだったと言う伊藤さん。

 

自分でいいのかな、という思いが抜けないまま著書出版の話が進み、打ち合わせの場でレシピ編集を担当している方に打ち明けたところ、「正解はないのよ。あなたが一番きれいにできると思ったやり方が正解だから」と言われた一言がとても大きかったとのこと。

 

独学だからこそ、逆に固定観念がないということを前向きに捉えられるようになり、今は、実際に試して自分の判断でその都度変えていく、これまで蓄積してきた感覚や経験が一つひとつ知恵になっていると言います。

 

お裁縫好き少女から作家へ

 

子どもの頃からずっとお裁縫に興味があったと言う伊藤さん。

祖父が手先が器用な方で、小さな頃から針を持たせてくれたこともあり、幼稚園の頃には、すでにハンカチを縫い合わせ「リカちゃん人形」の洋服をせっせとつくっていました。

小学1年生の頃には近くに住む親戚の家の足踏みミシンを立って踏んでいたと言います。その後、4年生の頃からは母親が購入したミシンを使って製作をしていました。父親や自分の服を解体して、パターンを独学で勉強することも。中学生の頃には、制服のブラウスも解体してつくるという、探究心!

 

高校で進路を決める段階で、衣装デザイナーと幼稚園教諭の2つの道で迷った挙句「デザイナーはいつでも自分がデザイナーと名乗った時からデザイナーになれる、幼稚園の先生は資格がないとなれないから幼稚園の先生がいいのでは」と、担任の先生からアドバイスを受けました。その時の先生が、およそ先生らしくない、伊藤さん曰く「趣味で先生をしているような先生」。そんな先生がそう言うのならば、と素直に幼稚園教諭を目指すことにしました。

 

しかし、幼稚園の先生として勤務する間も、服飾の学校に進んだ友だちから型紙の起こし方やパターンの引き方を教えてもらい、代わりに得意の縫製を肩代わりしてあげていたりと、着たい服は自分でつくる!という気持ちはずっと変わらなかったと言います。

 

「昔は実際に洋服を作る本はプロ用しかなかった。今は本もいっぱいあるし、情報が簡単に手に入る。YouTube先生がすごい!私もみちゃう!」と笑って話す伊藤さん。

 

幼稚園が閉園したことをきっかけに、先生の道は離れ、その後は実家家業の手伝いをしながら製作活動を続けました。

雑貨屋さんに卸したり、趣味のダイビング用の小物をつくってダイブショップで販売したり。イベントの出店を始めたのもこの頃です。

 

ユニットを組んでイベントに出店したことも。伊藤さんがつくる服の袖や裾に、友人が手描きでお花の絵を描き入れていた

自分のスタイルが確立したり、出版社の人と出会ったり。イベントに出店していたことが、今につながってきています。

 

ブランドを立ち上げるきっかけもダイビング用に使える小物を商品として販売するためだったというほど、海が好きな伊藤さん。May Meというブランド名には、大好きなイカリマークがあしらわれ、生まれ月5月のMayとMermaidのMeがかけあわされている(写真提供:伊藤みちよさん)

 

ーつくることから広がる楽しみー

 

伊藤さんが服をデザインする時に頭に描いているのは、ベーシックを基本に、ちょっとそこにデザイン性をプラスしたもの、長く着られて何枚も同じものをつくりたくなるようなもの、そして、買うのは勇気がいるけど、自分でつくるなら着てみたいというような、自分の生活に洋服づくりを取り入れるきっかけになるようなものです。

 

これまでつくってきたものは、すべて自分が着たいもの、着てみたいものであることが大前提。

 

イベントに出店していた当時は特に、残ったら自分が全部着るから!という思いで制作していたそう(写真提供:伊藤みちよさん)

 

甥っ子から、友だちにプレゼントをつくるから布を頂戴といわれ、布を渡すと名前を刺繍してプレゼントするんだ、と、すごく楽しそうにやっている姿をみて、人のパワーは喜びなんだと改めて感じ、ものをつくることは、その先の笑顔を想像しながらやるからすごく豊かなことだなあと再認識したと言います。

 

「洋裁って、何をつくろうっていう楽しみから始まって、つくっている時、出来上がった時、それを着て褒められた時、それをプレゼントしていいわねって喜んでもらった時……一つつくることでたくさんの喜びが得られる。一粒で何度もおいしい趣味なので、ぜひそれを味わってほしい」

 

今は、その機会を誰かに与えることができたら本望だと言う伊藤さん。

 

デザインを考える上で特に大切にしていることは

「ぱっとみてつくりたいと思える服であること」

「作り方がわかりやすい」

「着心地が良くてラインがきれいなもの」

 

順番は、変えてもいいところはたくさんあるけれど、「この流れでやると楽」「つくりやすさ」という部分を大切にし、途中で投げ出さず最後まで自分でつくる喜びを体験してもらえるようなレシピづくりを心がけています。

 

「生徒さんが、つくった服をお嬢さんがもっていっちゃったの、だからもう一枚つくらなきゃって嬉しそうに話してくれて。そういうの聞くとすごく嬉しい」と話す、伊藤さん。

 

高校の進路で迷ったという「デザイナー」と「先生」。当時は別々の道に見えていたものが、結局今両方が叶っている、それも、楽しそうに軽やかに。すごく素敵な生き方のお手本を見ているような気がしました。

Information

May Me 伊藤みちよさん

http://www.mayme-style.com/


7月のめぐる布市」

【日時・申し込み方法】

720日(火)~27(火)*7/24(土)はお休み

10:00-11:3011:30-13:0013:00-14:30


申し込みフォーム

………

【伊藤みちよさんとつくる大人服】

7/23(金祝)トップス編:ブラウス

7/25(日)ボトムス編:キュロットパンツ

時間:10:00-13:00

参加費:8,800円(税込・材料費込み)各回の参加費です

場所:森ノオウチ

http://applique.morinooto.jp/style/itomichiyows.html

齋藤 由美子
この記事を書いた人
齋藤由美子AppliQué事業部マネージャー/ライター
森ノオトの事務局スタッフとして、主にAppliQuéのディレクションを担当。神々が集う島根県出雲市の田舎町で育ったせいか、土がないところは落ち着かない。家では「シンプルな暮らし」関連本が十数年にわたり増殖中。元アナウンサーで、ナレーターやMCとしての顔も持つ。小3女子の母。
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