(text:多田邦晃)
社会起業家とは、「社会や地域の課題に新しい発想で取り組み、ビジネス的手法でその解決にあたる人たち」のことです。課題とは、たとえば環境や人権、福祉、教育など社会問題全般のことを指します。従来は政府や行政などの公共サービスによって解決すべきこととされてきました。
しかし、これらの課題を公的な機関には頼らず、自らの手で解決すべく新しい仕組みを創り出そうとしている人たちがいます。それが社会起業家です。「社会起業家」と聞くと、「起業」という言葉から「会社を創って独立すること」と誤解する人が少なくありません。「起業家」とは、 必ずしも「会社を創って独立する人」だけを意味しているわけではありません。むしろ「企業や地域、社会に新しい変革をもたらす人」と言ったほうがいいかもしれません。
今の時代、 企業や行政などの団体に所属したまま、あるいは個人のまま会社を創ることなく社会起業家としての活動ができる環境が整ってきているのではないでしょうか。
そんななか、最近、注目されているのが「ソーシャルブロガー」と呼ばれる人たちです。自分たちの行っている社会活動をブログを通じて発信することにより、その活動を支援する人を集めたり、CSR(企業の社会的責任)活動に積極的な企業やNPOなどとの協働を考えている自治体への情報提供の役割も果たしています。
先日、CANPANブログ(※)が主催する「ソーシャルブロガーフォーラム」というイベントに参加してきました。このイベントでは今年で4回目となるCANPANブログ大賞の発表が行われましたが、高齢者の話を聞き書きして世代間交流や文化の伝承をブログで伝える活動など、受賞者はどれも小さいながらも社会に貢献し、継続していける活動をしていました。また、審査委員の方から、せっかく素晴らしい活動をしていても、ブログで写真や映像をうまく使えていない例が多く、それではもったいないのではないか、とのアドバイスもありました。
ブログはごく普通の人が気軽に発信のできるメディアです。一般の市民の小さなアイデアや、ちょっとした視点の変化が、さまざまな問題の解決につながることもあります。私は、このようなソーシャルブロガーがこれからの社会を変えていく可能性があるのではないか、と感じました。
※CANPANブログとは、日本財団がサポートする公益ネットワーク「CANPAN」の主要サービスの一つで、「社会企業家の社会企業家による社会企業家のための無料ブログサービス」のこと。
CANPAN 第4回ブログ大賞2009
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