足元の土を意識することから始まる環境づくり
農に学ぶ。の「農」について少し詳しい話しをしてみたい。
 農に学ぶということは、言い換えれば自然に学ぶということで、自然から離れていく慣行農法から学ぼうとするものではない。自然に則した農法、自然に順応した農法だからこそ、人として学ぶべきものがあるのだ。( text:木村広夫)

健康な土づくりは、環境づくりに繋がる

 

自然とは何か?その定義を問うことはここでは避けよう。そのことによって当然、自然農法の解釈も変わるからだ。私は、人は太陽と水、それに土という自然の恵みにより生かされていると思っている。生命を育む根源的なものとして、自然界を還元すればこの三つではないだろうか。

現代の慣行農法は、人間が自然を操作することで、効率を上げ、生産を安定させるという農法であり、如いては種を操作し、自然の光も水も土も必要としない、作物を工業製品のように扱うであろうことは容易に想像ができた。何もこれは農業に限ったことではない。人は、便利さを豊かさと勘違いし、自然を無視して経済至上主義の社会を創りあげた。その勢いは止まることはなく、より多くのエネルギーを手に入れようと努力した。そして、程を見失い、その代償として、もっとも尊い自然の土や水を汚す結果となってしまったのだ。

一方、農に学ぶ。の農法は、自然と寄り添い、自然から学ぶ農法であり、その根本は自然に対する感謝の心と言える。太陽の光がなく、雨も降らなければ作物は育たない。そして土は、生命(種)を育むための栄養の塊であり、数限りない生命の宝庫である。その多くの生命の営みにより活性化しており、そのような土を、生きた土と言うのだ。

生きた土であれば、肥料はいらない。化学肥料でも有機肥料でも、土に入れることで土中微生物のバランスを崩し、必ず害虫が発生する。「健康な土づくり」、これが自然農法の始めの一歩であり、究極的には「健康な環境づくり」ということになると思う。ここでいう環境には、人の言葉や思いも含まれている。

とりわけ自然は、子どもたちのことがお気に入りみたいだ。子どもたちが蒔いた種や、苗はなぜか良く育つのだ。子どもには邪気が無いからか? 自然農法の奥の深さをここにも感じる。

 

 

自然とのかかわりを識るには。

 

 

自然との繋がり、生命の繋がりのない「農」はあり得ない。人と自然との関係をより具体的に解らせてくれるものとして「農」が存在していたはずなのだが、時とともに人は自然から離れ、人と自然とのかかわり方も解らなくなってしまった。

人はもう充分便利さは手に入れている。そろそろ便利さを求めることより、人と光とのかかわりや、人と水とのかかわり、人と土とのかかわりについて、もっと識ることに時間を使っては如何だろうか。

以前、たんぽぽ農園(自然農法14年)の田んぼで、生きもの調査を行った。それまで私は、除草の目的以外、その時期に田んぼに入ったことはなかった。つい気になる草を抜いては、生きものを探すことに集中できなかったことを覚えている。しかしその体験から、自分の足の下のたくさんの生命を意識して作業をするようになった。この「意識すること」がとても重要で、自然と繋がるための一歩であると思う。

今月、不耕起の冬水田んぼで生きもの調査をした。調査結果は農に学ぶ。のブログで紹介している(ページ最後部にリンク)。現代では、子どもたちが遊べる川も池も少なく、安心して生きものと出会える場所は、自然農法の田んぼくらいではないだろうか。しかも、大人と子どもが同じ目線で生きものと向き合い、その感動を共有するという、とても貴重な体験となった。

最近、生物多様性農法と言う言葉も使われるようになった。今後、自然農法というものの捉え方も、時代とともに益々多様化し、進化していくのかもしれない。

(了)

Information

農に学ぶ。どんぐり農園の生き物調査の結果はコチラ↓

http://ameblo.jp/nounimanabu/day-20110812.html

 

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