兄と弟の絵本棚 vol.7 『がたごとがたごと』
毎日電車が見たくて、「おそと!おそと!」と外に行きたがる弟くん。この絵本を見せたところ……「がたごと がたごと」と口ずさみ、その日にいったい何度読んだことでしょう。夜には、お風呂場まで持ってきてしまいました! 
今月のお気に入りの絵本は『がたごとがたごと』です。

 

がたごと がたごと

電車って、いろんなところに乗せていってくれるんだね。

 

この絵本を見ていて、改めて電車の旅の楽しさを感じました。

 

電車に乗り込むお客さんがたくさん描いてあり、

弟くんは「お母さん!お兄ちゃん!」と指をさしては楽しみます。

 

我が家では、それぞれのページに、家族のメンバーが決まってしまいました。

 

お客さんを乗せて、ある時電車が行くのは、街の中。

誰もが見たことのある街の風景がそこにはあります。

 

またある時、電車が行くのは、

気持ちの良い田園風景。

たんぼ、犬、踏み切り。

 

がたごと、がたごと、と絵本を読みながら、弟くんは

「わんわん」「かんかんかん」「ばいば~い」

すぐに言葉を覚えて繰り返すようになりました。

 

そこでお母さんは、少しずつ、「やま」「ひまわり」と言葉を添えていきます。

(「ひまわり」はまだ言いにくい!とわかり、「おはな」に変えてみたり)

その景色に、どんなことばと物語を加えるか、読み手が自由に楽しめます。

 

 

 

でも……

この絵本の電車が行くのは、素敵な景色の旅ばかりじゃないのです。

 

お客が乗ります。

がたごとがたごと

 

電車が進んで、次にお客さんが降りる時には……

あれ、みんな動物に変わってる!

 

がたごと、がたごと

 

そして電車は、私たち大人が見たこともない様な、

真っ赤な河と真っ青な山肌を抜けて

 

あれ、みんなおばけになっちゃってる!!

 

お兄ちゃんが「地獄行きだね~」と声をかけてきます。

 

ある時、お父さんが気がつきました。

人間と、おばけの洋服が一緒!

 

それを聞いてびっくりして、ページを照らし合わせる私。

 

こどもたちはとっくに気がついて何度も見ていたのかもしれないですが。

おとなは、がたごと、がたごとで通り過ぎてしまっていました。

 

弟君がある日指をさした

マスクをした駅員さん?

 

実は、いろいろなページに登場して、駅を歩いていました。

 

こんな風に、仕掛けがたくさんしてあって、何度読んでも飽きない絵本です。

 

今日、『がたごとがたごと』を開いた弟君は、竜宮城へ行くかのようなラストのページで何度も手を止めて、にこにこと眺めていました。

 

 

そして、自分が違う絵本を読んでいる時は、私に『がたごとがたごと』を渡してくれます。

もしかして、お母さんのお気に入りの絵本だと思っている?!

まだ言葉の足りない弟君とのコミュニケーションを楽しみながら、意外に奥深く読める一冊です。

 

実は、この絵本、お兄ちゃんと読んだときは、

人間が動物になったり、突然景色が変わったり。

文章もそのまま読んで、

不思議だけど、大人の私には理解しがたい?!

と、あまりわかっていませんでした。

 

でも、こどもって、柔軟!

こどもが見ているこの世界は……

 

もっと違う世界なのかも!?

 

みなさんもぜひ手にとって、確かめてみてくださいね!

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この記事を書いた人
東海林更央莉ライター卒業生
山形出身で、元日本語教師、3児の母。森ノオトでは2011年より兄弟の成長と重ねた絵本の連載を続け、妹が増えた今は女子らしい視点が加わり多くの母親の心をつかんでいる。家族の趣味は旅行、食べ歩き、自然のなかで過ごすこと。編集長の中学校時代の同級生でもある。
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