今月の絵本は、大事なコートが古くなると、ジャケットにして、マフラーにして、ネクタイにして……。ひとつのものを長く長く使う『ヨセフのだいじなコート』です。ヨセフの最後のリメイクには、びっくりしてしまうかも!?
手仕事が好きな人も、好きだけどなかなか時間が取れない人も、見ているだけで楽しいこの絵本を読んでみませんか。
「か・わ・い・い~~!!!」
はじめてこの絵本に出会った時に、布・雑誌や新聞の切り抜き・ボタンなどに埋め尽くされているページを見て、私はもうそれだけでノックアウトされました。
* *
“この絵本は、水彩絵の具、グワッシュ、色鉛筆、インク、そしてコラージュでできています。”
絵本はこの文からはじまり、物語が始まる前からワクワクしてしまいます。
* *
ヨセフはコートをもっていました。
でも、あちこちすりきれてつぎをあてていました。
そこでヨセフは、コートをジャケットにつくりかえ……
そんな流れで進むこの絵本。
つぎを当てているコートの「つぎ」部分が、はじめからおしゃれ!
そして、ヨセフがリメイクするコートは、切りぬかれ、しかけで次のページに進んでいきます。しかけの進み方も気がいいていて、センスがいい。
ママの中には、布やリメイクはやっぱり、だーいすき!な方も多いと思います。かくいう私もその一人。手仕事も楽しめるこの季節、何度でも見てしまう絵本です。
我が家では、夏と冬では絵本をちょっぴり入れ替え、クリスマスの絵本と一緒に、ヨセフは久しぶりに本棚に登場。冬は、仕掛け絵本が増える季節でもあります。
もしかしたら、まだ2歳の弟くんは興味が持てないかな? と思っていたある日のこと。
2歳2カ月の弟くんは、この絵本をペラペラとめくり始めました。
そして、ヨセフと暮らすねこちゃんを探し始めました。
絵本のページの中に、いろいろなものがギュッと詰め込まれていて、見ているだけで楽しくなります。
ねこちゃんを探した後の弟くんは、大好きなおつきさまも探していました。
「おつきさまイルヨ?」と楽しそうに追いかけながら。
最近では、これまで読んできた絵本のフレーズを時々口に出すこともある弟くん。
絵本のことばが、自分のことばにもなっていくということに気がついて、改めてドキッとしたりしています。
ヨセフのように、大事に物を使う文化がヨーロッパにはあります。
母から子へひとつのものを長く受け継いだり、リメイクして使い続けたり。手入れをしたり、譲り受けたことを誇りにしたり、そんな文化をずっと素敵だなと思っていました。
ひとつのものをだいじに使うこと。「捨てる」文化にいる今の日本の私たちは難しいところもあります。
もちろんもうすぐやってくるクリスマス。子どもたちは新しいプレゼントも楽しみにしています。
「モノ」に囲まれた社会に暮らす子どもたちだからこそ、新しいプレゼントと一緒に、気に入ったものをだいじに使うこと・長く使えるものを選ぶことも伝えてみませんか?
私も数年前、自分が見つけてすぐ、友人にこの絵本をプレゼントしたのですが……。あまりにキュートな中身に、友人もあっという間に虜になりました!!
そうそう、この絵本は、アメリカで最も権威のある児童書の賞、コールデコット賞(2000年度)を受賞しています。そして、後にアメリカで原作に出会った友人から、英語版もプレゼントされて、我が家にはいま2冊のヨセフの本があります!
現地でこの絵本に出会った友人はほんとうにびっくりしたらしく、私もまさか手元に現地から英語版が来るとは思いもよらず、びっくり仰天!!そんな思い出も詰まっています。
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