地球と地域に優しい理想の住まいを考える! 「あおばECOアカデミー第4回目」レポ
9月13日、NPO法人森ノオトが主催する「あおばECOアカデミー 第4回 私たちの未来をつくる井戸端会議」が開かれました。会場は、森の中で森林浴しているかのような癒しの空間・ウィズの森。前半はウィズハウスプランニングの藤江社長と玉置さんから環境共生型の住まいについてお話をうかがいました。後半は参加者同士で自分の理想の住まいについて話し合い、模造紙の上で夢の住まいをつくっていきました。(text:松岡美和)

2013年9月13日(金)。青葉台にあるウィズの森で、「あおばECOアカデミー 第4回 私たちの未来をつくる井戸端会議」が開催されました。

今回は「地球と地域が共生する住まい」がテーマです。会場となったウィズの森を運営する株式会社ウィズハウスプランニングは、自然素材と国産材で家を建てる工務店です。社長の藤江惠一氏は森ノオトの生みの親の1人ともいえる存在。まず、藤江社長からウィズハウスプランニングのなりたちや工務店の役割をうかがいました。

静岡県の天竜地方出身の藤江社長は、もともと実家の仕事が林業だったため、木と一緒に育ってきたそうです。昭和36年頃から木材の加工場や製材場をつくり、昭和49年には材木を卸す販売店を経営していたのですが、世の中は大量生産・大量消費の時代へ突入……。このまま材木屋を続けていても先が見えないことから、工務店をやろう! と決意したそうです。湿気の多い日本で家を長持ちするためには通気性がよいことが肝心。自然素材や国産材を使い、通常の家に比べて1.5〜1.8倍もの多くの木材を使用しているので、構造や耐震の面でも安心なのだとか。また、通常の工務店では1〜2名の設計士を雇っているそうですが、ウィズハウスプランニングでは外部に設計を依頼することでお客の多様な要望に応えることができるそうです。メンテナンスも住んでいる限り一生涯。お客様とどういう形で家づくりをしていくか、その基本姿勢にとてもこだわりを感じました。

最後に、藤江社長は『里山資本主義 日本経済は「安心の原理」で動く』(角川書店)という一冊の新書を紹介してくださいました。この本の中にはこれからの日本人の生き方のヒントがつまっていると感じたそうです。人間は森林・水・食料・エネルギーがあれば生きていける。万年消費主義となってしまった世の中で、安ければ良いというのではなく、自然の恵みを地域内で調達し、地域と都市とがうまく連携しながら暮らしていくことで、楽しく生きていけるのではないかというお話でした。

 

ウィズハウスプランニングの藤江惠一社長のお話から始まった。森ノオトとは切っても切れない関係の藤江社長

 

続いて、ウィズハウスプランニングで働く玉置さんからエコな住まいについての講義がありました。

ウィズハウスプランニングでは家を建てるにあたって、国産の無垢の木材を主に使用しています。天然の木は、光合成の過程で二酸化炭素を吸収し、酸素を放出します。木を伐って木材として使うと、地球温暖化の原因物質ともいえる二酸化炭素を固定する状態になっているので、環境に優しいのだとか。新建材(化粧プリントが施されたベニヤ板や、石油化学製品でつくられているビニールクロスなど)は年とともに劣化していくのですが、自然のままの無垢材は時間が経つにつれて味わいが増し美しくなっていくそうです。

今回、私がびっくりしたのは空気についてのお話でした。私たちは生きている間中、とてもたくさんの空気を体の中に吸い込んで吐き出しています。その空気の中には湿気やホコリだけでなく、カビや化学物質なども含まれているそうなのです。私たちの体は一種のフィルターになっているのか! と軽いショックを受けました。フィルターと言ってしまうと、聞こえはいいですけど、体のなかに取り込まれてしまった化学物質が原因でシックハウスやアレルギーなど様々な病気の症状がでてきていることが明らかになっています。壁紙や新素材のカーテンや化学系の接着剤が使われた家具などからも化学物質が出ているとのこと。普段気にとめていなかった家の中の空気の重要性について改めて考えさせられました。

ウィズハウスプランニングでは通気をよくする工夫がしてあり、湿気も化学物質も自然に外に排出されます。玉置さんによると、「10年経っても、すーっと木の香りがする」といいます。

また、都会ではどうしても新規土地取得の場合、敷地面積に対して建ぺい率目一杯に家を建ててしまいがちですが、ウィズハウスプランニングでは、敷地の中で家をコンパクトに、土の部分を多く残すことを提案しているそうです。土とつながることは、地域とつながることにもなります。うちの庭とお隣さんの庭がつながって、そのまたお隣さんもつながって……小さな緑がつながっていけば、小さな生き物たちの避難場所や棲み家にもなるでしょう。また地域に住む私たちの目にも嬉しい景色になります。他にもスマートハウスについてのウィズの取り組みや、家庭でできる暮らしのヒントなどなど充実した内容のお話でした。

 

森のリポーター松山ちかこさんが用意したお茶コーナーは今回も大人気。手作りりんごケーキもあっという間になくなった。参加者はお茶とお菓子でほっと一息つきながら、カフェのような雰囲気の中でワークを始めた

 

そんなお話を聞いた後、お茶とお菓子をテーブルに運んでひと休みして、あおばECOアカデミー恒例のグループワークを行いました。参加者が4つのテーブルに分かれ、メンバー同士が疑似家族となり、エコを取り入れた住まいについてみんなで意見を出し合いました。ウィズの森のナチュラルな空間に木製のどっしりとしたテーブルについていると、本当のカフェのような雰囲気でいつも以上にリラックスしてワークができたように思います。

 

あおばECOアカデミーへの参加者は世代が様々で、まるで本当の家族のよう。どんな家に住みたいか意見を出し合い、理想の住まいを描いていった。お互いの意見を共有できる楽しい時間

 

発表タイムでは4つの夢のおうちが披露されました。

「自然素材でできた風通しの良い家」

「多世代で住むことを想定してローンは100年!」

「多世帯同居で家の中に回廊があり、プライベート空間と行き来できる家」

「縁側や土間があって軒先に野菜が干せるような昔ながらの家」

……などなど、アイデアはたくさん出てとても楽しい時間でした。祖父母、兄世帯、妹世帯、孫世帯の4世帯が大きな敷地で一緒に暮らし、中庭を囲んで自在に行き来できる大きな敷地の住まいでは、その後の100年を見越して一緒に暮らすことが前提となっていて、あまりに斬新なアイデアにみんなびっくり、笑いに包まれました。

 

参加者が疑似家族となって考えた理想の住まいの発表。今からでも住んでみたい

 

私のグループは、囲炉裏で生の火を囲み、半屋外空間の土間から「食べられる庭」に出られるのどかなプラン。それでも風見鶏が超高性能の風力発電だったりして、温故知新の要素もあります。

 

参加者が疑似家族となって考えた理想の住まいの発表。今からでも住んでみたい

 

それぞれのアイデアはとてもユニークで独創的でしたが、共通点もたくさんありました。前半の玉置さんのお話を受けて、自然素材で風通しが良く、まわりに土や緑がある住まいというのがベースにありました。

今回のECOアカデミーでは、講座修了後に実際にウィズハウスプランニングでおうちを建てた方のお宅訪問を行いました。ウィズの森で、カレーを食べて、いざ出発。

 

みんなでおしゃべりしながらの昼食。田奈駅近くにあるタイガーのカレーをデリバリー。美味しかった

 

Fさんのお宅は、昨年12月に入居したばかり。玄関に入る前から木の香りがしました。無垢材のフローリングは木目がひとつひとつ異なり、味わい深い美しさがありました。靴下を脱いで裸足になってみると、足の裏の感触もスルスルと気持ちがよくて、自宅(賃貸)の偽ものフローリングとは歴然の差を感じてしまいました……。

 

ウィズハウスプランニングで建てた家を実際に見学した。木の香りが心地よい。左から5番目が家主のFさん

 

木がふんだんに使われた、通気性のよい工法で建てた家を実際に目で見て、香りをかぎ、肌でさわってみて、やっぱりこんな家に住みたい! と、見学した参加者のみなさん一様に感じているようでした。午前中に話し合った理想の住まいが、まさにここにある! と、歓声が聞こえるほど。

昔は、地域にはえていた木を使って大工さんがトンカントンカン家を建てて、子や孫の代まで長く住むのが当たり前だったんですよね。自然素材は時間がたっても美しいし、メンテナンスすればまた使え、古材となっても再利用できるので、物を大事にする心も育てられていたように思います。目の前の利便性やコストの面にとらわれず、安心・安全を選んで未来の子どもたちに住み良い家や街並みを残していけたらいいなと思いました。

さて、あおばECOアカデミー第5回は「消費」がテーマ。10月4日(金)に開催され、大盛況に終わりました。次回11月18日(月)は最終回。「まちづくり」のフロントランナーがゲスト講師です。詳細は近日中に発表します。お楽しみに!

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