『小さき声のカノン ー選択する人々』の中には、子どもを被ばくから守ろうとするお母さんたちの様々な「選択」が映し出されています。福島を離れると決めた家族、福島に残り身を守るための地道な活動を続けると決めた家族……。
東電福島第一原発が起きた当時、私にはまだ子どもがいませんでした。東京に住み、横浜で働いていたあの時、「もし子どもがいたとしたら、私はどんな選択をしていただろう?」と、考えることがあります。登場するお母さんたちに自分を重ねながら、胸がヒリヒリするような感覚でこの映画を観ていました。
監督は核をめぐる三部作として知られる『ヒバクシャ ー世界の終わりに』『六ヶ所村ラプソディー』『ミツバチの羽音と地球の回転』の鎌仲ひとみさん。福島原発事故から4年が経った2015年に公開された『小さき声のカノン ー選択する人々」は、被ばくや放射能への関心が薄まりつつある日本社会に対して、今なおその恐怖と戦い続けている福島、そしてチェルノブイリに暮らす母親を映し出しています。同時に、泣き悩みながらも、子どもたちを守るために自ら動き、小さな声を発信していく母親たちの強さが、この映画を通して感じる希望でもあります。
情報があふれ、何が正しいのか判断が難しい今。放射能や被爆に対して、全く気にしない人、そもそも関心すらない人、気にはしているが特に何もしない人、食事だけでもリスクの少ないものをと特定の地域の食材を揃える人、移住する人、街頭に立ち「反原発」を訴える人……など、私のまわりにもいろんな立ち位置のお母さんがいます。長男が生まれてから、私もそのグラデーションの中を迷いながら生きてきたように思います。そんな私が、子どもたちの未来のため、そして今を生きる私自身のために何ができるかと考えたときに、「持続可能な地域社会を足元から作る」、常々そう語っている森ノオト編集長の北原まどかさんの思いに賛同し、今こうして森ノオトでの活動を続けているのだと改めて感じる機会になりました。
今回の上映会を企画した「おでぶな会」もまた、子どもたちの未来を考えるお母さんたちの集まりです。実行委員の一人、大住みささんは「放射能のこと、日本という国のこと、このままで本当に大丈夫なのだろうか? と少し不安に思ってはいるけど、何となく語りづらい感じがする今の世の中。その不安の受け皿になりたいと思って活動しています。今回の映画を観て、私たち母親は次にどう行動すれば良いのか、それを考えるきっかけになれば」と話していました。
当日はドキュメンタリー映画をもっと身近に感じてほしいと、上映後にはこの映画のエンディングテーマを歌うNUUさんのミニライブとダンスも。午後の部は鎌仲ひとみさんの監督トークが予定されています。また今回の上映会で感じたことなどを自由に語る座談会も2月23日(木)に開催される予定です(詳細は当日)。
ドキュメンタリー映画は、見なくても済む、見ようとしなければ気づかない、世界でのあちこちで起こる「リアル」を映し出します。東日本大震災、そして福島原発事故から6年、今、もう一度立ち止まって、いまだ進行している現実を、観て、感じて、考えてみませんか。
カノンとノディンのおでぶな上映会
「小さき声のカノンー選択する人々」「戦争のつくりかた」
日時:2017年2月5日(日)
午前の部 10:00-12:30(開場9:30)
午後の部 13:30-16:30(開場13:30)
ゲスト:午後の部 鎌仲ひとみ監督トーク
午前&午後の部 NUUミニライブ with クリス香織(HULA)&Dance
会場:アートフォーラムあざみ野 レクチャールーム
横浜市青葉区あざみ野1-17-3
料金:大人1000円 中高大学生 500円 小学生以下無料 親子席8ペア
有料保育有り 9:30-12:00、13:00-16:30(申込はアートフォーラムあざみ野子どもの部屋 045-910-5724へ)
申込方法:https://www.kokuchpro.com/event/odebuna こちらよりチケットの予約を。
問合せ:おでぶな会 odebuna9-kai@yahoo.co.jp 090-9840-4181 (林さん)
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