遊びながら学べる!「たねダンゴで花壇づくり名人をめざそう!」実践レポ
3/7に青葉区役所で開催予定だった講座「たねダンゴで花壇づくり名人になろう!」は、新型コロナウイルスの感染拡大防止のためにやむなく中止になりました。しかし、材料は揃えたし、来年度に延期もできない、と検討の末、レポート記事で広く区民に内容を還元することを目的として、たねダンゴづくりのデモ会を実施しました。

講師は、グリーンアドバイザーの新井裕之さん。会場は、青葉区鴨志田町にある森ノオトの事務所の中庭です。フラワーダイアログに関わる森ノオトのスタッフとライター、区役所スタッフと、その子どもたちに参加者を絞り、たねダンゴのつくりかたを学びました。

たねダンゴをつくる工程は大まかに分けて3段階あります。

 

1、ケト土と赤玉土に水分を混ぜてこねて、親ダンゴをつくる

2、親ダンゴから約10個の子ダンゴをつくり、中に肥料を入れる

3、種をダンゴの上下につけてから再び丸め、珪酸塩白土をまぶす

 

うむ、なんと簡単なんでしょう! しかし、この裏にはさまざまな試行錯誤の物語があります。たねダンゴが生まれたわけを知りたい人は、こちらをお読みください。

では、つくっていきましょう。

 

赤玉土3、ケト土7の割合で混ぜる。ケト土は湿地帯の土。ヨシやスゲなどが堆積してできたもので粘り気があり、盆栽や苔玉づくりにも欠かせない材料だ。ケト土は、適度な硬さを保つつなぎ役。二価鉄イオン水、商品名メネデールを入れた水でこね、発芽に必要な鉄分を補給する。「なければ水だけでも良い」と新井さん

 

直径7センチくらいの親ダンゴを作っていく。水が足りない時には霧吹きで水をかける。ぎゅっと握っていくとだんだんまとまってくる。お皿に盛ると大きなおはぎのようだ。「大人数でのイベントでは、親ダンゴを作る作業を下準備としてやっておくこともある」(新井さん)

 

ダンゴから10個分くらいの子ダンゴをつくる。これはまだ手の小さな子でもできて楽しい作業。この日はビニール手袋をしているが、素手で土をこねてももちろんOK。土は決して汚いものではなく、生き物にとって心地よい環境を作ってくれる土台。生きていくために欠かせないものだ。土とのふれあいは、大人にとっても癒しの時間になるので、たっぷりとりたい

 

できた子ダンゴの中に、ミネラル補給と酸度や水分の調節役として粒状の珪酸塩白土(商品名はミリオン)と、効き目がゆっくりな化成肥料をひとつまみ入れて再び丸める。おにぎりに具を入れる時の要領だ

 

いよいよたねつけ。ダンゴの上下に、ちょんちょんとたねをつけて、もう一度丸めて、たねを土の中にめり込ませる。すでに「たねダンゴミックス」なる商品も! 秋まきと、春まきの2種類があり、春まき用のたねダンゴミックスには、ハゲイトウ、コスモス、ジニア、クレオメ、センニチコウなどが入っている。

 

「たねダンゴづくりは、全国各地で行われてきました。色々試してみた結果、たねダンゴに良いたねを厳選しているので、たねダンゴミックスを使えば失敗が少ないです。最初は、別々にたねを用意して、その時々で配合していたんだけど、結構面倒なんだよね。もちろん、好きな人は、自分で数種類のたねを集めてミックスしてください。他に、マリーゴールド、ハツユキソウ、ムギワラギクなどもおすすめ」とのこと。

 

講座では、最初に、どのたねがどの花を咲かすのかというクイズをする予定でしたが、少人数で土をこねる作業をやるところから始めたので、クイズはやりませんでした。たねつけの写真のたねダンゴミックスや、写真左下の分類されたたね(新井さん提供)が、どんな花を咲かせるのか? 学校がお休みの間にお子さんと一緒に調べてみてください。中には、直径1ミリもないような、小さなたねもありますが、その中に秘められたパワーたるやいかに? 花が咲いた時の姿と比べてみると、また発見があると思います。

さて、最後の仕上げに、粉状の珪酸塩白土、(商品名はハイフレッシュ)の上で、たねダンゴを転がして表面にまぶしたら完成だ。珪酸塩白土は秋田県で取れる真っ白な土だから、まるで粉砂糖をまぶしたトリュフチョコレートの用でおいしそう。くれぐれも間違って食べないように!

 

たねダンゴができたら、いよいよ植付けです。

この時、下準備を済ませておくことが大事です。花壇を作る場所の土を耕し、雑草や古い根っこなどを取ってふかふかの状態にしておきます。プランターで育てる場合は、鉢底石と、野菜や花用の土を購入しておきます。

 

植付けの際の手順はこちら。

1、たねダンゴをつぶして、平たくする

2、蒔く位置に穴を開け、たねダンゴを穴に置いて土をかぶせる

3、水やりをする

 

気温25度くらいで発芽するので、4月から6月の間に植付けて、梅雨の雨を利用して育てるのが最も自然にかなったやり方です。発芽までの時期と開花の時期が違うものを組み合わせているので、秋まで長く花を楽しむことができます。

 

両手のひらで、たねダンゴをぎゅっと潰し、平らにする。ダンゴのままでも良いが、潰して表面積を広げてあげると、どのたねも発芽しやすい。土に穴をあけて、平らなダンゴを置き、その上に土を5ミリほどかぶせる。

 

「株間は、地植えの花壇の場合は40センチくらい。プランターならば、230センチくらい間をあけて。植木鉢なら真ん中に一個で花束のように育てます。埋めすぎず、飛び出しすぎず、白い珪酸塩白土がちらっと見えてるくらいがちょうど良いです」(新井さん)

 

新井さんの指導で、作業は順調に進みました。今回は、植付け体験をそれぞれにしてもらうため、通常は植木鉢に一つで良いところ、2つずつ配置しています。蒔いたらたっぷり水やりをして植付け終了です。しばらくは土が乾かないように水やりをします。植える時期によって発芽するまでの時間が変わるので、毎日チェックして、根付いたら、花壇の場合はもう水やりしなくても大丈夫。間引きもしません。

 

注:この日は、まだ寒いことから、あたたかくなってから各自で、たね付けと仕上げをしてもらうことにしました。そのため、ダンゴとたねと珪酸塩白土を別々に袋に入れて持ち帰りました。保管がうまくいけば、ダンゴの状態にしてから一年くらいはもつそうです。この日、たねダンゴを植付けた鉢は、新井さんが持ち帰り、しばらく温度調整して発芽するまで面倒をみてくれることになりました。

 

センニチコウや、コスモス、ハゲイトウなどは、草丈1メートルほどになります。マリーゴールドやヒャクニチソウなど草丈40センチくらいのものと組み合わさって、自然な花束のようになるというので、開花が早くも待ち遠しいです。

 

夏にはこんな花壇ができているでしょうか。(写真提供:新井さん)

 

今から準備すれば、まだまだ春まきのたねダンゴづくりに間に合います! 公園の花壇、空いた畑や街路樹の下、学校の花壇などで、たねダンゴづくりに挑戦して、花いっぱいの風景をつくってみませんか?

Information

森ノオトでも、たねダンゴに関するお問い合わせを受け付けています。今回の材料が少し余っています。数が限られますが、たねダンゴを公園や学校に植えたいという方はご連絡ください。

たねダンゴのことをもっと知りたい方はこちらを参照ください。

公益社団法人日本家庭園芸普及協会

https://www.kateiengei.or.jp/

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この記事を書いた人
梅原昭子コミュニティデザイン事業部マネージャー/ライター
引き算の編集が好きです。できないこと、やりたくないことが多過ぎて消去法で生きています。徒歩半径2キロ圏内くらいでほぼ満ち足りる暮らしへの憧れと、地球上の面白い所どこでもぶらりと行ける軽さとに憧れます。人間よりも植物や動物など異種から好かれる方が格上と思っている節があります。
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