同じ目線で一緒になって遊ぶ。それだけで子どもは大満足!東洋英和女学院大学のフィールドでこの夏遊ぼう!
横浜市緑区三保町にある東洋英和女学院大学「保育子ども研究所」は、緑豊かで広〜いフィールドを生かし地域に根差した活動を行っています。7月29日(土)は、保育について学ぶ学生さんと親子が一緒になって遊ぶイベント「子どもの広場 夏」が開催されます!准教授の山下久美先生と、3年の名取奏さんにイベントへの思いをお聞きしました。

いよいよ夏休み!でも……どうしよう。

小さなお子さんがいる家庭では、子ども達のワクワクとは裏腹に、長〜い休みをどう過ごそうと頭を悩ませているのではないでしょうか。

 

何を隠そう、私自身がその一人です。

 

乳幼児がいるわが家では昨年、夏休みの1カ月半のほとんどを家で過ごしました。その結果、お姉ちゃん達によるテレビ、ゲームの“暑〜い”争奪戦……。さらには宿題を教える傍らで赤ちゃんがひたすら泣くという珍事が日々繰り広げられ……来年はなんとかせねば!と決心した、という経緯があったのでした。

 

そんな折、気になるお知らせが耳に入りました。

横浜市緑区三保町にキャンパスを構える東洋英和女学院大学をご存知でしょうか。

敷地内に、水のせせらぐ森や、春になると筍がひょこっと顔をだす竹林を残し、横浜の豊かな自然を体感できます。この地で開学30年が過ぎました。

JR横浜線・十日市場駅からバスで約5分。小高い丘を少し上ると、道のカーブ右手側に正門が見えてくる

 

木漏れ日が優しく照らしてくれる、木々のトンネルを潜り抜けると……ビックリするくらい広い空とキャンパスが目の前に!

来たる7月29日(土)に、こちらのキャンパスで「子どもの広場 夏」という親子向けのイベントが開催されます。

 

「子どもの広場」は、これまで約15年間、ほぼ毎年開催されてきました。直近ではコロナなどもありやむなく一時中断をしていましたが、今年度、ようやく再開に漕ぎ着けたそうです。5月の第1回、6月の第2回に引き続き、7月で第3回目の開催です。

 

各回テーマを変え、学生さん達が手作りの遊具やおもちゃを準備します。中には、朝早くから集まって設営するほど大きなものもあるそう……!

屋外では、段ボールのソリで斜面を滑って降りたり、広い芝生で凧揚げをして身体をおもいっきり動かしたり……。

前回は、国際色豊かな地域の人達が集まり、英語で行うプログラムが大盛況だったそうです。

ほどよく斜度のある芝生でのソリ滑りが大人気。滑り降りたそばからまた滑りたくて、勢いよく芝生の坂も登っちゃう!(写真提供:東洋英和女学院大学)

 

学生さんが各テーブルにつき凧作りをレクチャー。前回は地域のボランティア会が仲介となり初めて地元のインド人の方もたくさん集まってくれたそう。大学ならではの英語力を活かした新たな取り組みで「一緒にやっていこう!」という内なるメッセージを発信している(写真提供:東洋英和女学院大学)

今回の内容はというと、広々とした大きな体育館の中に、様々なアスレチックスフィールドが登場!

涼しい室内で、存分に、全身を使った遊びが体験できます。

 

対象は0歳〜小学校低学年までと年齢幅が広いので、兄弟姉妹での参加もしやすいのがうれしいですね。

私も子どもが小学1年生と4歳だった時に参加しました。森の緑があふれ、どこまでも広いキャンパスに「わぁ~!」目を輝かせ、目いっぱい五感を使って遊んでいたわが子の姿が思い出されます。

家の中では見られない、のびのびとダイナミックに遊ぶ様子に、ビックリしたくらいです。学生さんが近くで声をかけながら、一緒になって遊んでくれるのも、子ども達にとってはうれしかったのではないでしょうか。

懐かしく写真を見返してみると、なんとも生き生きとした表情で体育館を駆けるわが子が(笑)とにかく楽しそう!

主催は大学に拠点を置く「保育子ども研究所」。保育子ども学科の学生さんが、地域貢献のためのボランティアとして、また学びの実践の場として、楽しい遊びの中でたくさんの親子と関わることを目的としています。

 

開催直前のお忙しい中、どんな思いで取り組まれているのか、山下久美先生と、保育子ども学科で学ぶ、3年の名取奏さんにお話をお聞きしました。

スタスタスタっと慣れた足取りで先生が行く先へついていくと、元気に青々と伸びる竹林の中へ。「お写真、いいですか」と聞くと笑顔で振り返ってくれた

山下先生は東洋英和女学院大学で19年、「自然と子どもとの関わり合い」をテーマに、たくさんの学生さん達を教えてきました。

「最近は特に、子どもへの大人の関わり方、役割が重要だと考えているんです」と先生。

保育に携わる上で大切にしていることをお尋ねすると、「例えば、子どもが虫に興味を持っている時に、どうやって大人が虫と関わるのか、その関わり方で子どもの反応が全然違います」と返ってきました。

その視点はやはり、「大人がどう関わるか」に向いています。

先生が研究のために飼育しているカブトムシのおうち。私の自宅近くではまだ聞こえない、セミ達の羽音が辺り一帯に鳴り響いていた

虫をめぐって、取材中にこんなやりとりがありました。

 

(山下先生)「虫かごを並べておいて、子どもの様子をよーく観察していると、じっくりと虫を見ている子は、そこに大人との対話があるんです」

(私)「やっぱり大人がたくさんの引き出しを持っていることが大事なんですね」

(山下先生)「いやいや、そんなことはないですよ。分からなくてもいいんです。一緒になって虫について会話をするだけで、子どもから自然と疑問が沸いてくる。大人との対話があるかないかで、興味の持続時間が全然違います」

(私)「なるほど……!同じ目線になって、一緒に疑問を語り合えばいいんですね!」

 

分かっているような気になっていたけれど、毎日の子育ての中で「同じ目線に立つ」ということが、なかなかできていないことにハッと気づかされました。

 

「子どもの広場」はどんなことからスタートしたのでしょうか。

「地域の子ども達に、私達ができることをしてあげよう。その思いが根源にあります」と先生は言います。

東洋英和女学院はカナダ人宣教師により開学されました。

保育の教育においてでも「人のために自分ができることをする」という建学の心が根ざしているのだそう。

 

私が「それが大学のミッションなんですね」と言うと、山下先生からは「ミッションというのは“応援”でもあるんです」と返ってきました。

「ここは、子どもも大人も一緒になってホッとできる遊び場ですよって。一緒になってやりましょう!というエールみたいなもの」。

 

あらためて第2回の写真を見ると、歌に合わせながらニコッと顔を見合わせたり、身を寄せ合って木の実を摘んだりと、人と人の距離が近く感じられるものばかり。

 

「できることをする」ーー。

シンプルなメッセージのようであり、その礎には「あたたかい手を差し伸べる」という気持ちが大切に受け継がれているのだなぁ、としみじみと感じました。

キャンパス内の野菜畑。この日は雨上がりで、葉とビニールについた滴が、キラキラと輝いていた。大きくな〜れ!

山下先生は、横浜市との協働事業「よこはま森の楽校 英和の森の自然遊び-もりっこ-」にも携わっています。

「もりっこ」は、大学内の雑木林を散歩しながらの自然遊び体験で、学生さんと参加する親子が1つのグループになります。ガイドの学生さんを頼りに探検しながら、花の名前、草舟や笛などの遊びを教えてもらったり、あちこちに身を潜めている小さな虫を見つけて観察します。

最後にはキャンパス内に自生する野草を摘んでの試食体験もあるそう(学生さんはみんなで筍を掘って食べることもあるのだとか……贅沢!)。

誰もがみ〜んな子どもの目線になって、視、嗅、触、味、聴の五感をフルに使い「自然の面白い」を全身で実感。いつの間にか童心に返ってしまいそうです。

取材にすらすらと応えてくれた3年の名取さん。保育士である母親の輝く姿に憧れて同じ道へ。授業はもちろんのこと、大学で開催する様々なイベントにも積極的にチャレンジしている

「コロナ禍で入学した私にとって、もりっこが、初めて子どもたちと触れ合う機会でした」と名取さん。

「雨上がりの日で、私は小学1年生の男の子と探検してたんです。その子は虫が大好きで。私もどんなところに虫がいそうか確認していたんですけど、思いもよらない場所からカタツムリを次から次に見つけてきて……。その時、男の子の顔が、すごく満足そうな表情をしていたんです!子どもの“発見力”って本当にすごいなぁって、心から思いました。自分では気付かないことや、知らないことを、逆に教えてもらいました!」。真剣な眼差しで語ってくれました。

 

それをきっかけに、決まった通りでなくてもいい、一緒になって夢中になれば、子どもは十分満足してくれるんだ!と考えが変わったそう。

その柔軟さがとても軽やかで、羨ましくもあり、ひとりの親として見習わなくてはと気が引き締まる思いで深くうなずいたのでした。

 

子どもの広場への思いをお聞きしました。

「1回目の子どもの広場では、屋外アスレチックスを担当しました。授業で、アスレチックスの修理もしたんです」。

遊具のメンテナンスをする資格を持つ教員の下、自分たちの手で修復をくり返しながら、今日まで受け継いできたそう。

 

記事冒頭の写真がその手作りアスレチック。

学生さんたちは、遊具の安全についての3~4回の講義を受け、それから実際の修復へ。今回は太鼓橋の丸太と、登って滑るタワーの大きな板、よじ登るための網を、一つひとつ取り換えました。

想像するだけでも重労働……脱帽です。

そんな彼女たちですが、遊具には親しみを込めて、ニックネームを付けて呼んでいるのだとか。思わずほっこりし頬が緩みました。

 

「前回参加した子ども達が、何回も繰り返し遊んでくれて。頑張って修理したこともあって、すごく楽しそうに遊具で遊んでくれたのが本当にうれしかったんです!」と名取さんが目を輝かせます。

 

こんなエピソードも教えてくれました。

「小さな子が怖がって、なかなかチャレンジできないでいたんです。私が両手を広げて『大丈夫だよーっ』て言いながら待っててあげたら、勇気を出して挑戦してくれて!私も授業で実際に遊んでみたんですが、最初、怖かったんですよ(笑)自分で体験して、気持ちがわかるからこそ、自信をもって大丈夫って言えました」

 

名取さんのお話の中には、日々の子育ての中で、共通する部分がたくさんありました。

「今日はこうしよう」と思っていても、時に子どもは、楽しい(予期せぬ)ハプニングを運んできてくれます。昨年の私自身がそうであったように……。

「決まったことにとらわれず、その場を一緒に楽しむことが一番大事!」「まずは自分がやってみる」名取さんの言葉は、夏休みに突入する私の心を、しっかりと射止めました。

 

「子どもの広場 夏」は、いつのまにか遊び方を忘れてしまった大人と、ワクワクいっぱいの子どもが、一緒になって遊ぶ最初の一歩にピッタリなイベントではないでしょうか。

年は違えど保育を学ぶ学生さんは、同じような悩みを分かち合える、パートナーになってくれるかもしれません。

 

子どもの成長は早いものです。

夢中になって好きなことに没頭する、イキイキとした子どもの眼差しを見逃したくない!!

東洋英和女学院大学の大自然と、人の温もりあふれるキャンパスで、子どもと一緒になって遊んだ思い出をこの夏の成長の1ページに刻んでみてはいかがでしょうか。

この眼差し!好きなことに夢中になる真剣な瞳!

Information

「子どもの広場 夏」

日時:7月29日(土)午後1時〜3時

場所:東洋英和女学院大学 横浜市緑区三保町32

対象:0歳から小学校低学年までのお子さんと保護者

申し込み:以下のフォームよりお申し込み(7月26日(水)締切) https://docs.google.com/forms/d/e/1FAIpQLSdy1sT_CYfKixH87J7adu_lI0pRjqDgbei-aBsbNjZtyhnSRA/viewform

 

主催:東洋英和女学院大学 保育子ども研究所

 

東洋英和女学院大学

https://www.toyoeiwa.ac.jp/daigaku/

 

8月1日(火)には「ゼクシィBabyおでかけPark」が開催されます。教員による「リトミック講座」「おもちゃ作り講座」に親子で参加できます。保育士を目指す高校生も参加する大型イベント。

詳細は以下、大学ホームページのニュースよりご確認ください。

https://www.toyoeiwa.ac.jp/daigaku/news/20230710-17799.html

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この記事を書いた人
永田由衣ライター
子どもの頃に自然の偉大さとそこに集まる仲間に魅了されキャンプが大好きに。バックパック一つあれば生きていけると思っている。夢はトレーラーハウスに住むこと。現在は3人の子育て真っ只中。書道で地域をつなげるコミュニティをつくりたいと常に模索している。
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