横浜市青葉区鴨志田町。東急田園都市線・青葉台駅からバスで15分ほど、豊かな田園風景が広がる寺家ふるさと村と隣接する住宅街。小さなまちですが、個人経営の飲食店が点在し、ランチタイムが楽しいまちでもあります。
暮らしに近い鴨志田町近隣の新しいお店情報のチェックを欠かさない私。ある日、自転車で通りがかったお店の前に、新店オープンの張り紙がされていることに気づきました。鴨志田中央交差点から環状4号に向かう通りに面し、森ノオトで過去に取材した美容室「poma」さんのお隣です。
「鴨志田にイタリアンができる?!」
このニュースに、心が躍った鴨志田エリアの住民は私だけではないはずです。
2023年6月にオープンした同店を営むのは、安居朋美さん。仕入れから調理、接客まで、一人でお店を切り盛りしています。ドアを開くと、カウンターキッチンに明るい光が注ぎ、気持ちよく整えられた店内に居心地の良さを感じます。
「本当にここでお店を開いてよかった。それにつきます。お客さんがお客さんを呼んでくれたり、うちの店のチラシも配ってくれたりして、とにかくみんなよい人ばっかりです」と、オープンから1年半が経ち、今の心境を語ります。
ランチ時は日替わりのピザかパスタを選べるランチセット。夜はアラカルトとワインを楽しめるお店です。キッチンカウンターの奥に見えるピザ窯で、一枚ずつ焼き上げるピザは、焼きたてアツアツでチーズがトロリ。ファンの多い逸品です。「自分でも、うちの店って手が込んでるよなぁと思うんですけど」と笑う安居さん。料理に添えるまるパンやデザート、オイルまで、そのほとんどが自家製です。
私がチョッパーを訪れるのは、だいたいランチタイムのラストオーダーギリギリの時間。ぺこぺこでお店に駆け込んだ私の胃袋を、丁寧に作られた前菜やパスタ、ホッと一息のコーヒーが、いつも満たしてくれます。「お客様、いつもこの時間帯に駆け込んできますよね」と、にやりといたずらな表情でキッチンカウンターから声をかけられたのが、とても印象的でした。手際よく調理している、ちょっとシャイな料理人なのかと思っていたら、大きな声で笑って、歯に衣着せぬトークが炸裂する安居さん。料理の腕前はもちろん、店主との会話も、オープン1年半あまりで、たくさんの常連がついている理由なのだろうと思います。
安居さんが料理の道に進むことになったのは、30歳の頃。百貨店で販売のお仕事をしていたけど、何か手に職をつけたいと思いながらも悶々と悩んでいた安居さんに、職場の先輩が「自分から変わっていかないと」と背中を押されたのがきっかけだったのだそう。一歩踏み出し、働きながら調理師専門学校で学びました。「なんか明るい感じだし、料理として好きだし、向いているかなって」と卒業後はイタリアンの道を選びました。そこからは、都内や横浜、川崎近郊のいろんなイタリア料理店を渡り歩いて18年、経験を積んできました。
ずっと自分の店を持つことを目標に、修業しながら自己資金を貯めてきたという安居さん。「カウンターがあって、明るいイメージで。こういうお店がいいなって、内装の感じも、具体的に絵を描いたりしてましたね」。あたためてきたその思いを実現する場所として、「どんぴしゃだった」と、現在のお店との出会いを振り返ります。地元であり、現在も暮らす新百合ヶ丘エリアからの距離感も良く、駅前でもない、ほどよい住宅街。思い描いていた風景が、この鴨志田町にあったのだと言います。
ワインが飲める大人にうれしいお店であり、ファミリー層は誕生日などのお祝いごと、テラス席はワンちゃん連れ、ランチはママ友グループでワイワイと。歩いていける距離に、おいしいピザとワインが楽しめるお店がある。安居さんの話を聞きながら、このお店に訪れるあの人、この人と知り合いの顔が浮かび、この地域に住む人々にとって、チョッパーの存在が、暮らしの中の新しい楽しみになっていることを感じます。
「一人でやっているし、まわりに助けてもらわなきゃ、と思って、いつもの自分の感じでSNSでも、『今ヒマです!』とか投稿しちゃうけど常連さんがそれを見て来てくれたりして。とにかく、地域の皆さんに愛されるお店になっていきたいし、1日でも長く続けていきたいです」と、安居さんらしいクシャッとした笑顔で、夢を語ってくれました。
11月23日に開催する「あおばを食べる収穫祭」がマルシェ初出店。店頭で人気のまるパンとピタサンドを販売します。「爪痕を残しますよー!」と気合い十分のチョッパーから、今後も目が離せません!
ピッツェリアチョッパー
住所:横浜市青葉区鴨志田町504-3吉岡コーポ101
営業時間:11:30-15:00(L.O.14:00)、17:30-21:30(L.O.料理20:30、ドリンク21:00)
定休日:水曜
電話:045-482-6120
Instagram:
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