
東急田園都市線・たまプラーザ駅からバスで16分、川崎市麻生区にある田園調布学園大学は2002年に創立。「捨我精進(しゃがしょうじん)」を教育理念として、一人ひとりの尊厳と人間性を尊重し、柔軟で寛容なこころを持つ人材を育成しています。人間福祉学部、子ども教育学部、人間科学部の3学部と大学院の学生たちが、緑が広がる丘陵地のキャンパスで学んでいます。

大学の門を入るとすぐに図書館があり、少し歩くと学食がある4号館があります。一般利用者は校舎の外を歩いて学食に向かいます
熱狂的なファンがいる学食
田園調布学園大学で学ぶ学生の雰囲気を、学食の店長で、運営委託されている株式会社アスパウェルネスサービスの内野美千代さんは「福祉の勉強をしているからか、穏やかで優しい方が多いですね。車椅子に乗っている学生さんを助けている姿はよく見かけます」と話します。挨拶をしたり食べ物の好き嫌いの話をしたり、学生との距離も近く「関わりがあると顔は覚えますね。今年卒業してしまったんですが、授業がなくても学校に学食を食べに来ては、自分が食べたものの写真を撮っていたという学食の熱狂的なファンの男の子がいました。卒業してしまって寂しいですが、卒業してからも2回くらい食べに来ました」と笑います。

「昼食はお蕎麦が大好きなので、自分で茹でておそばを食べることが圧倒的に多い」と内野さん(写真左)。入試・広報課の田中由実子さん(写真中央)もおそばを食べることが多いそう

下味が染み込んだ唐揚げはコクがあっておいしい。「商店街で売っているような優しい味がする!」と一緒に食べたライター仲間二宮沙織さんも笑顔
学食の人気メニューは、何と言っても毎朝7時から12㎏仕込むという唐揚げ!ランチの唐揚げ丼は、一日40食限定で定価の50円引きで食べられます。温玉唐揚げ丼、マヨ唐揚げ丼、タレ唐揚げ丼とバリエーションも豊富。また、1日50食限定の100円朝定食も人気メニューです。「朝定食は学生課の職員さんの提案で、3年前からはじめました。今までは試験期間中に提供していたのですが、今回初めて5日間限定で普段の日に提供しています」。

インパクトやボリュームを考えてメニュー開発も行っていて、この日の日替わりランチAのタコライスは、見た目もカラフル!圧倒的な存在感を放っていた「爆弾おにぎり」は、大きな唐揚げがどっしりとしたおにぎりに乗っていました

日替わりランチBの豚肉とニンニクの芽炒め丼は、量も味の濃さもちょうどよい感じ
取材当日は、田中さんからのアドバイスで混雑を避けて早めにランチをいただきました。12時を過ぎると学生たちがあふれてきて、一気ににぎやかになり、車いすの学生さんも学食に自然に馴染んでいました。
田園調布学園大学の学食を「地域の方たちにも気軽に使っていただきたい」と内野さん。図書館を利用している方が学食を利用することも多く、営業開始時刻の11時半に来て、すぐ図書館に戻っていく顔見知りの人たちも見かけるそうです。
人生のライフステージに寄り添う大学図書館
大学図書館も私のお気に入りの場所です。1日20名から30名ぐらいの一般利用があるそうですが、実は私も図書館を一般利用している一人。興味・関心領域の専門書も多く、カフェ風ハイカウンターの閲覧席でデスクライトをつけながら本を読むひと時をご褒美時間として楽しんでいます。図書館司書の髙野沙弥さんは、「図書館は学内でありながら、社会に開かれた公共空間です。今は一般、学生という区別がありますが、学生が学内にいながら社会の構成員の一員であると実感できる空間になれば」と願いを込めます。

図書館に入ると目の前に広がる全面窓が解放感あふれるアクティブ・ラーニングスペース。ちゃぶ台が並ぶ土間風の空間に懐かしさを感じます。初めて一緒に訪れた編集の梅原昭子さんも魅了され、取材後すぐに利用登録していました
図書館のエントランスは、二階まで吹き抜けになっていて天窓からの光が明るく降り注いでいました。アクティブラーニングスペースの絵本コーナーにある4,200冊の絵本は保育、教育、福祉、高齢者を大学の専門とすることを背景に「ハンディキャップがある人、子どもからお年寄りまで世代を超えて楽しめる位置づけとして置いています」と髙野さんは話します。触るタイプの絵本や、音楽が流れるもの、繊細な仕掛け絵本、懐かしの紙芝居「黄金バット」まで、手に取ってゆっくり読みたくなるものばかりです。また、学生たちに授業で疲れた頭をリフレッシュをして欲しいと用意された何十種類ものアナログゲームにも目を引かれます。

ソファ席にはグループワークをできるネット接続されたPCもあります(一般利用不可)。図書館のお仕事に携わって20年以上の髙野さん(中央)、「ランチは最近、コンビニばかりで……学食のお話ができなくてすみません」
「赤ちゃんの時は親御さんと一緒に本を読んで、自分がお子さんを育てる世代になったらお子さんを連れてまたここに来てもらう。図書館の中でライフサイクルを作ろうと取り組んできたことが20年経ち、地域に土台ができてきたかなと感じます」と高野さん。図書館を利用していると、大学の目の前にある川崎市営プールを利用した帰りの親子や、じっくり新聞を読んでいるシニアの方まで幅広い年齢層の方々を見かけます。私も、これからも末長く図書館を利用したいと思いました。
親子の居場所、DCU子どもひろば:みらい
学内で地域に開かれたもう一つの場所が、DCU子どもひろば:みらい(以下、ひろば)です。大学が運営する子育て支援施設で、事前に申し込みをすれば、0歳~3歳の未就学児とその保護者がゆっくり過ごしたり、専属の保育士や大学教員等に子育てに関する相談をすることもできます。
大学院副学長の安村清美先生は、2022年10月にひろばが始まったきっかけを「幼児教育・保育の人材育成を考えた時に、学内に子どもと大人がいる環境を作りたかったのです。地域に開かれた大学として研究と実践が合致するような場を持ちたかった」と話します。窓の外には木々の緑が広がり、カラフルな遊具が並ぶひろばでは、この日も8組の親子連れがおもちゃで思い思いに遊んでいました。参加する親子は、近隣の方だけでなく福祉系学科の卒業生や、大学職員が子どもを連れてきたりと、開所時の予想を超えた学内でのつながりも生まれているそうです。子ども教育学部学部長の内藤知美先生は「卒業生も、ひろばに子どもを連れてくることが大学を訪れるきっかけになっているようです。ひろばで遊んだ帰りに、学食にちょっと立ち寄って食べて帰る人もいるようですよ」と話します。

学生に人気のある唐揚げについて「ちょっとヘビー」と内藤知美先生(中央)「若い頃は平気だったかもしれないけど……」と話す仙田考先生(右)に、にこやかに頷く斉木美紀子先生(左)。先生方はみなさん気さくで、お話しやすい雰囲気です
ひろばを運営するこども未来学部は、今年の4月から子ども教育学部となり、小学校の教員免許が取得できるようになりました。研究対象となる子ども達の年齢も、未就学児から小学生までに広がりました。安村先生は「教育理念は変わりませんが、学生が子どもに出会える場を作っていきたいと思っています。街には多世代が普通にいることが当たり前ですよね。ひろばにも、子どもも大人も出入り自由な空間を作っていきたい」と今後の展望をお話くださいました。

安村先生と当日入っていたスタッフの方々。「スタッフはみんな卒業生。現場経験後に自分たちも子育てをして、社会復帰のタイミングで集まってくれました」と安村先生
ひろばは、親子やスタッフの皆さんの話し声がにぎやかに響き渡り、子ども達と接するスタッフの方たちの優しい笑顔が印象的でした。学食店長の内野さんがお話ししていた「穏やかさや優しさ」を、この日お話を聞いた皆さんから感じ、教育理念である「捨我精進(しゃがしょうじん)」が大学に根付いていることを実感しました。
図書館やDCU子どもひろば:みらいを利用した後は、ぜひ学食に立ち寄ってみてください。穏やかな優しい味が、心もお腹もいっぱいに満たしてくれますよ。
(取材を終えて)
今回、入試広報課の田中さんにコーディネートいただき、たくさんの先生方にお会いすることができました。保育環境がご専門の仙田考先生は、大学敷地内にある畑でいも堀りイベントなどを開催。音楽表現がご専門の斉木美紀子先生は、楽器が弾ける学生さんを連れひろばで演奏をすることも。取材の様子を撮影していた番匠一雅先生は、「子どもが作る町ミニたまゆり」というイベントを企画・運営されています。先生方のご専門がとても興味深く、ぜひもっとゆっくりお話をお聞きしたいなぁと思いが膨らみました。そして、DCU子どもひろば:みらいスタッフ保育士の河邉真菜美さんは、実は森ノオトライターの二宮さんのお友だち!おすすめの学食は、からあげ丼と学園ラーメンだそうです。

田園調布学園大学
住所:神奈川県川崎市麻生区東百合丘3丁目4−1
電話:044-966-9211
・大学学食 11:30~15:00
大学授業によって時間変更あり詳しくは大学のホームページで要確認
・大学図書館 平日9:00~18:00 土曜日9:00~16:00 日曜日休館
大学授業によって開館時間休館変更あり。詳しくはホームページで要確認
https://library.dcu.ac.jp/drupal
・DCU子どもひろば:みらい 10:00~11:45(出入り自由)要予約
開室日程・予約はホームページから

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